セッション開始前


この物語はリー公爵領の北の辺境地,ポテト村から始まります.ポテト村のはずれに一人の冒険者が倒れています.冒険者といっても若い村娘にしか見えない,エルフの娘,この物語の主人公の一人ローザです.

「うぅ〜,おなかがすいたよぉ〜.もう動けないよぉ〜」

何とも情けない主人公ですが彼女はもう2日も飲まず食わずなのです.もうだめだと気を失いかけたとき,村の方から年の頃13歳ぐらいの男の子がやってきました.鼻水を垂らしてボーとした顔をしています.ローザは彼に食べ物を無心しますが,聞こえているのかいないのか男の子は彼女の前で突っ立っているだけです.

「な,何か食べ物を...」

ローザはそうつぶやくとそのまま気を失ってしまいました.

しばらくしてローザが目覚めたのは質素だが清潔なベッドの上でした.そばには先ほどの少年が看病をしていたのか,ローザに寄り添うように寝ています.

「おや,お目覚めかえ?」

ローザが声の方を向くとそこには老婆が立っていました.しわの深い気の強そうな顔をしています.ローザは助けてくれた礼をいうと,自分の境遇を語り始めました.

「路銀を盗まれて難儀しておりました....おかげで2日も飲まず食わずだったんです...」

老婆はあきれ顔で言います.

「若い娘が一人で旅なんぞするからじゃよ.しかたがないねぇ.今温かいスープを持ってきてあげるから.」

しばらくしてローザは久しぶりの食事にありつくことができました.ローザが人心地ついて老婆に感謝を述べていると,先ほどの少年が居間に降りてきました.彼はローザのそばにちょこんと座ります.ローザは彼の頭をなでながらこういいます.

「私はローザ.坊や,ありがとうね.お名前はなんて言うの?」

「.....オリヴァー...」

ローザはオリヴァーとしばし遊んだあと,この村で路銀を稼ぐ仕事は無いかと尋ねます.老婆は村の宿屋の主人に声をかけてくれるそうです.ローザは重ね重ね感謝の意を述べます.

「おばあさんと坊やがお困りの時は是非お声がけください.」

「そうさせてもらうよ....しかし,珍しいこともあるものだねぇ.この『おばかさん』が人見知りをしなかったのは初めてじゃよ...よかったら,これからもちょくちょくこの子の相手をしておくれ」

こうしてローザは「子鹿亭」でアルバイトをすることになりました.


さて,ローザが子鹿亭で働いて4日目のことです.持ち前の気だての良さもあり,酒場ではちょっとしたアイドルになりつつあります.周りに宿もないことから子鹿亭にはいつも通り,村の農民達だけでなく旅人も何人か集まっていました.カウンターの真ん中には学者風の知的な男が座っています.貴族の出身でしょうか,上品な感じで高慢なところは少しも見受けられない好青年です.隅の方にはモンクの屈強そうな男とホビットの吟遊詩人が座っています.何とも奇妙な取り合わせです.モンクは黙々と食事をしていますが,顔立ちはなかなかのものです.吟遊詩人の方はにぎやかに近くの農民や酒場の主人に話かけています.ローザはちょっとモンクに気がありそうです.盛んに注文を聞いたりと話しかけますが,モンクの方は無愛想でとりつく島もありません.

(セッションにつづくw)


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