(作成中2004年8月24日)

ここでは旅の仲間下巻第8章のナマリエの詩を元にRGEOのトールキンの解説からQuenyaについてわかること,推測できることをつれづれなるままに書いてみます.


以下,ナマリエの詩にRGEOを元に英単語を対応させたものです.RGEOでは語句の順番が入れ替わっていますので旅の仲間下巻第8章の語順にあわせました.ラテン語のように語順には自由度があるのでしょうね.

Ai!    laurie"   lantar   lassi      su'rinen,
Alas!  leaves   fall(複数) golden(複数)  wind-in

Ye'ni   u'-no't-ime"    ve    ra'mar   aldaron!
years   not-count-able   as    wings   trees-of

Ye'ni  ve   linte"     yuldar    ava'nier
years  like  swift(複数)  draughts   have passed away(複数)

mi     oro-mardi   lisse-miruvo're-va
in the    high-halls   sweet-nectar-of

Andu'ne"  pella,           Vardo    tellumar
west    beyond(the borders of)   Varda's   domes

nu     luini   yassen       tintilar  i    eleni
under    blue   which-in(複数)  twinkle  the   stars

o'ma-ryo    aire-ta'ri-li'rinen.
voice-hers    holy-queen's-song-in

Si'    man  i   yulma  nin    en-quant-uva?
Now   who  the  cup   me-for  re-fill-will?

An   si'   Tintalle"    Varda   Oio-losse"o
For   now  Star-kindler   Varda   Ever-white-from

ve    fanyar      ma'-rya-t     Elen-ta'ri   ortane"
like    (white)clouds  hands-her-two S tar-queen   lifted up

ar   ilye"    tier    undu-la've"   lumbule";
and  all(複数) roads   down-licked   (heavy)shadow

ar    sinda-no'rie-llo    caita   mornie"
and   grey-country-from   lies    darkness

i    falma-li-nnar
the   farming waves-many-upon(複数)

imbe"   met,              ar    hi'sie"
between  us-two[Varlda and Galadriel]   and   mist

un-tu'pa    Calaciryo   mi'ri   oiale".
down-roofs   Kalakirya's  jewels   everlastingly.

Si'   vanwa    na',   Ro'mello        vanwa,  Valimar!
Now   lost     is,   [to one] from the East  lost,   Valimar!

Nama'rie"!  Nai      hir-uva-lye"    Valimar.
Farewell!   be it that   find wilt-thou   Valimar.

nai     elye"     hir-uva.     Nama'rie"!
be it that  even thou   find will [it].   Farewell!


トールキンの注釈から大雑把に単語の意味について.

Tintalle. 「She that causes sparkling, kindles lights」.tintilarなどにあるようにtin-は「sparkle, glitter」の意味.クウェンヤ語のtinwe「spark」はシンダール語のgilと同様にしばしば「star」の意味で用いられる.

Valda.「The Exalted」ヴァラールの女神達でもっとも偉大な方であり,Elder king(Mマンウェ)の配偶者.シンダール語での名はエルベレス,意味は「Star-queen」

Oiolosse.その後一般的に使われる別名はTa'niquetil「high white peak」,ヴァリノールの山脈,ペローリで最も高い,すなわち地球で最も高い山.oi,oioはever, everlastinglyの意味.参考としてoialeがある.losは降雪に使われる語幹である.クウェンヤ語の形容詞形ではlosse「snow white」,名詞としてのlosseは「fallen snow」の意味.シンダール語ではlossがsnowの意味です.例えばLossoth(loss-hoth)は追補編Aにあるように雪だるまの意味.lossenは「snowy」の意味で形容詞はglos(s)で「dazzling-white」の意味.シンダール語ではg-はl-の接頭辞としてよく用いられる.Oiolosseの意味は「Ever-snow-white」となる.シンダール語ではUilosである.サムの祈りの言葉で出てきたFanuilosを見よ.

Calaciryo.Cala-cirya「light-cleft」のgen.

laureはgoldの意味ですが金属としての「金」では無い.黄金の葉,などの「金」である.派生する形容詞形はlaure"a(複数形はlaurie")であり,「golden」の意味.参考として中つ国の秋を意味するlasselanta「leaf-fall」がある.


トールキンの注釈より,クウェンヤ語の発音について.

全ての語でアクセントは第1音節にある.しかし,3音節以上の単語についてはアクセントは最後から2番目の音節が長い音節であればそこに移る.短ければ最後から3番目の音節に移る(e'leniのように).(マグネットのつぶやき:ラテン語と同じっすね).第一音節はたいていある程度のアクセントを残しており,長い音節の場合,特に複合語は同じアクセントの強さになる(O'roma'rdiなど)


文法などマグネットが調べたこと(2004年8月24日)

mornie"といえば映画でエンヤの詩にありましたね.確か.

この詩から推測できること.

語尾のoについて二つの法則が見て取れます.一つはvaldoなど複数形を表す場合と,Oiolosse"oなどfromがつく場合です.

動詞に-uvaがつくと未来形のようです.

eleni,mi'riなどから-iが複数形を表すようです.

maryat,metから-tがtwoとかbothとかを表すようです.

まず,クウェンヤ語はエルフ語のラテン語ということなので,ラテン語を少しかじってみました.ラテン語の名詞は6つの格変化があります.

1.主格 〜が

2.呼格 〜よ!

3.対格 〜を

4.属格 〜の

5.与格 〜に

6.奪格 〜によって

各々の格には複数形が存在します.

ラテン語には名詞に性があり中性,女性,男性があります.女性名詞のほとんどが-aの語尾で終わるものです.

格変化には何通りかがあり(というか不規則がいっぱいある),そのなかで-aで終わる名詞は「第一変化」と分類されます.クウェンヤでも-aで終わる名詞はある規則があります.

主格,呼格,対格は同じ形です.で,複数形には-rがつきます.

valaがvalar.aldaがaldar.など.

属格には-onがつくようです.

aldaがaldaronなど.

他の名詞はちょとまだわかりませんが,「第二変化」に属していると思われます.

主格,呼格,対格は同じ形です.で,複数形には-iがつきます.

lasseがlassi,elenがeleniです.

おそらく属格には-onがつくと思われます.

elenの属格複数はelen-i-onなど.

だから,silmarilの属格複数はsilmaril-li-onで「シルマリル(たち)の」の意味になるのでしょう.quentaが「物語」だとすると(まだ確認していません)quenta silmarillionで「シルマリルの物語」となります.