バンティムルン(蝶の谷)

Bantimurung

 マカッサルから北へ向かって マロス(Maros) で右折、しばらく田園風景を眺めながら走ったところにバンティムルン(Bantimurung)の渓谷がある。乾期ても豊かな水が流れる二つの滝、そのあいだの散策コース、鍾乳洞などがある自然保護地域。マカッサルから約40Km、片道1時間、散策の時間を含めて3〜5時間、出来れば時間をかけてのんびり過ごしたい。足場が悪いので運動靴が必要。生い茂る熱帯植物、鳥、各種の蝶、猿が見られる。

 1856〜1857年に英国のAlfred Russel Wallace はここで多くの新種の蝶を発見、珍しい蝶の生息地として有名になった。蝶は3〜4月頃が一番多いとのこと。

 

 ところが、1999年3月30日の"JAKARTA POST"によるとバンティムルン 国立公園の蝶が絶滅の危機にあるという。ハサヌディン大学の科学者Mappatoba Silaの調査では、これまで270種の蝶が登録されているが、実際には143種しか生息していない。種の減少の原因としては環境破壊、殺虫剤、違法な蝶の採取があげられている。データではすでに1970年代の始めに減少傾向が見られ、商業目的の採取が指摘されていたが、最近では水田の農薬使用もその原因となっているという。100種以上の蝶の絶滅は非常に残念である。南スラウェシ州の自然保護協会のEdi Djuharsyah 氏によればバンティムルン の蝶は観光資源としての価値はすでになくなっていると指摘している。

追記 (2003-9-29)

 バンティムルンの自然保護局のAbdul Rasyid 氏によると、バンティムルンの蝶は絶滅の危機にあり、その原因は違法な捕獲、観光客の増大、蝶の餌となる草やゴミの焼却のほか、保護区域外における合法的な捕獲が影響しているという。(Fajar 紙 2003-9-29)

追記 (2010-6-7)

 2010年5月16日付けのKOMPAS 紙に下記の記事があった。
 「バンティムルンの蝶の種類は一層減少している。その原因としては人間社会生活、観光施設の建設に伴う蝶類の産卵場所の減少が挙げられる。公園 (Balai Taman Nasional Bantimurung Bulusaraung BTNBB) の調査によると、1990年代の調査時点では107種の生存が確認されているが、最近の調査(2008−2010 4月まで)では89種しか確認出来ていない。未確認の18種については、現在も探索を継続している。BTNBBの生物多様性の活用ワーキンググループのコーディネーターによると、原因は3つある。

  1. 観光施設の建設により、蝶の産卵場所が減っている。蝶は幼虫を安心して育てることができる保証がなければ産卵しない。
  2. 蝶は湿った河の辺を好むが、河の周辺では観光客が多く、蝶にとっては邪魔な存在である。
  3. 最近、とくにこの2年くらい、蝶の捕獲が横行している。

 19世紀、Alfred Russel Wallace の見たバンティムルンは数千種の蝶が雲のように群れをなしていたようだが、今は全く見られないという。」