ビリビリ・ダム

Bilibili Dam, Waduk Bilibili

 

完成前の1997年ごろ撮影
 

2001年ごろ撮影
 

 マカッサルは南スラウェシ州の州都として、また東部インドネシアの経済活動の中心地として急激な膨張を伴いながら発展している。このため乾期には都市用水、潅漑用水が不足し、また雨期のいは排水施設の不足に起因する洪水被害が発生する。また都市の発展に伴い電力の需要も急激に増加している。
 このような問題に対処するためインドネシア政府はJICAの支援を得て、1978年にジェネベラン河の洪水防御及び水資源開発のマスタープラン「ジェネベラン河総合開発計画」を立案した。こ海外経済基金(OECF)の資金援助によりマスタープランの中核となるビリビリ多目的ダムの建設が行われた。ダムの建設により治水・潅漑・上水道・発電で大きな効果が期待されている。全事業の完成は西暦2000年の予定である。この工事は日本の(株)建設技術研究所、(株)間組によって行われた。
 本事業と平行して「ウジュンパンダン上水道整備事業」や「ビリビリ潅漑事業」、「多目的ダム発電事業」も円借款により進行中であり、それらの完成によりこのダムの効果が発揮されることになる。
 ビリビリ多目的ダムはウジュンパンダンから 東南方向、車で約1時間のところにある。マリノへ行く途中、路肩に車を止め展望できる。    (国際開発ジャーナル1998年4月号記事から)

追記 (2006-10-12)

ODAの現場 泥ダム251億円 完成5年 さらに100億円融資
 (読売新聞 2006年10月6日 朝刊)

 円借款251億円を投じて建設されたビリビリ多目的ダムが、わずか5年で多量の土砂によって埋まり始め、日本側が緊急対策として、さらに約100億円の追加融資を行っていたことがわかった。ダム上流部で岩盤が崩落したことが原因だが、その危険性は、建設前から指摘されていた。事前調査を行ったコンサルタント会社は、緊急事業の事前調査も担当する。読売新聞記者が現地を訪れたとき、ダム湖(約18平方キロ・メートル)は諏訪湖(長野県)よりも大きい。上流部は流入した泥で茶色く染まり、まるで干潟のようだった。ダム湖に注ぐジュネベラン川では、重機で土砂の掘削が始まっていた。毎日、トラック約30台分の土砂を運び出しているが、現場責任者は「いつまでたっても終わらないよ」とこぼした。

 このダムは治水、かんがい、上水などを目的とし、1999年に完成したが、2004年3月、同川の上流にある山で大規模な崩落が発生、川に流れ込んだ多量の土砂は約35キロ・メートル離れたダム湖まで達した。同ダムの場合、体積する土砂の許容限度は2900万立方メートル。50年間はダム機能をそこなわないように計画されていたが、崩落直後に国際協力機構(JICA)が現地調査した結果、09年にはほぼ満杯になることが判明したとして緊急対策を提言、追加融資が決まった。

読売新聞2006年10月6日夕刊の関連記事
 この問題でコンサルタント会社が昨年9月、ダム湖に堆積した土砂量を測定したところ、すでに許容量(2900万立方メートル)を越えていることがわかった。国際協力機構(JICA)が2004年6月に予測したペースを大幅に上回っており、今後、さらに日本側の負担が膨らむ可能性が出てきた。インドネシアの公共事業省では日本側からの追加融資を受け、新たな砂防ダムの建設計画などを進めているが、土砂の堆積ペースが予想以上に速いため、早急に除去する必要が出ている。

現地新聞 Fajar 2004年12月3日の記事
 
バワカラエン山 (Gunung Bawakaraeng) から崩落した大量の土砂がビリビリ(人造)湖 (Waduk Bilibili) に迫っている写真が掲載されている。大量の土砂がダム湖に流入するため、ダム湖を水源とするソンバ・オプ浄水場(これも同じ時期に日本からの円借款により建設された。浄水能力は1日当たり86,400 トン)の浄水能力が水質汚濁により大幅に低下していること、また、縣濁した土砂を分離するため大量の薬剤を投入するため水道事業は財政破綻をきたしていることが頻繁に報道されている。ダムや浄水場が近い将来機能しなくなっても、インドネシアには莫大な借金が残る、と現地の新聞はこのプロジェクトの責任を追求する論調の記事が目立つ。(2006-10-13追記)

追記 (2006-10-18)
 バワカラエン山 (Gunung Bawakaraeng) の巨大崩壊崩壊と土砂の流出については社団法人砂防学会 (Japan Society of Erosion Control Engineering) の砂防学会誌 第58巻 第5号(通巻262号 2006年1月発行)に「スラウェシ島バワカラエン山巨大崩壊踏査報告」にも詳細が報告されている。 崩落は2004年3月26日に発生し、33名が犠牲になった他、12の住宅、学校1棟が破壊されるか土砂に埋まった。崩落した土砂の量は推定2兆4千万立方メートル。崩落直前の3月1日から26日の間の降雨量は782mmに達した、また地震は観測されていない、と報告されている

 バワカラエン山
とビリビリダム、マカッサル市街地との位置関係は一般に市販されている地図では明確でないが、 Google が提供する航空写真でみるとよく判る。(写真右) 

 Google の航空写真では写真を拡大してさらに詳細に崩落らしき状態、土砂がダムに流れ込んでいるように見える写真などを見ることができる。

  上の写真ではビリビリダムの湖は青く美しく見える。しかし写真をさらに拡大していくと様相が一変し、湖は白濁したように見えます。(左の写真、Google の航空写真) これは撮影した時期の違いによるものなのでしょうか?写真左下がダム、放水している水も白濁しているように見えます。

関連情報:バカル・ダム