結晶


わたしを揺さぶるとからからと音がするでしょう
結晶になったのです
わたしの眼は光を失ったでしょう
すべては結晶の糧になったのです
わたしの衣服はやぶれ
髪を振り乱し
粗末な食事をかき込み
音という音をつめ込んだその結晶が
ひとつぶ
この瞳からあふれたとき
それを受ける手のひらが見つからないことに
わたしは怯えるだけの生き物です

その爆発は宇宙の鼓膜をやぶり
永遠の静寂がそこに眠るでしょう

そんなひとつぶひとつぶが
あつまり
この海は脈打っている
終わりなき
血潮のなかの寓話
星々の慟哭




2003/12/13