符号


咲き誇る花もやがて土塊となる日が来るから
哀しい歌も歌ってあげよう
命はいつか空や海の青となるから
この景色がきみのポートレイト
きみという点の集まり
貝殻のようにきみが笑う

曲がりくねって足跡が続く
ひとつとして同じ足跡はない
これはかつて来た路
いやこれから歩み行く路だろうか
辿っていこう 夕映えの果てへと
今なら間に合うだろう

星々の生まれる泉があるという
踵の下には秘密の黒い符号
折り返すのはいつでも今
言葉が砂にこぼれるよりも早く

矛盾が針のように正確に刻まれていく
この午後の空白も
寄り添う肩の温もりだけにうずもれて
何もかもがどうでも良くなる
何もかもが美しくなる
この幻惑こそが真実だったなんて

きみの頬を知らない風が吹き
戸惑い胸痛めても
つないだ手が離れる日が来ても
きみのなかにぼくは生きているだろうか