幸福


雨垂れを母音のように奏でながら
世界が私を撫でていく
そうして時が私を奏でている

光も影もない場所へと流れ着く
境界線が消えたあとには
どうやって貴方を抱きしめたらよいのでしょう

考えすぎると水は腐る
背中をつたう真珠の汗
哀しみを修飾するいとまもない

数え上げた吐息は嘘を吐く
言葉はない
貴方を失うことが怖いのではない

口籠もる
濁点と呪文




2003/11/25