手紙


うまくとどけようと夢中になって
リボンをかけた箱のなか空になってた
その手を掴むのに必死になって
手渡すはずのもの見失っていた
真っ逆さまに落ちていく
渡した虹へのロープから

ただそばにいるよ
迷うときには一緒に迷うよ
寒いときには一緒にふるえよう

思うだけで伝わらないのなら
こんな世界は朽ちればいいと
理由ばかりを欲しがって
空に放った矢は戻る
突き刺した心は広く
はじめての海にとけていく

ただそばにいるよ
瞳は盗めないけど
同じ血は流れないけど


確かめなくても掴みきれなくても
信じ抜ける心だけ在ればいい
心を映した空から初雪は舞う

価値と争い勝った人々
シナリオ通りに生きた人々
残った苦さを忘れるためまた闘う

それでもいい 過ぎ去った夢


ただそばにいるよ
瓦礫のなかたたずむときにも
鮮やかな光を追うときにも

あなたという大樹のかげに
微睡む名もない花でありたい