辺疆


神よ貴方を世界地図のように鏡に映して下さい
そうして生まれた分身を一人惜しまず私に与えて下さい
花びらは一枚足りない
鋼の地下室に静かに満ちるやさしさのあとの報いを
貴方の爪が剥がしてゆく
私の指紋は濃くなってゆく
涙とともに落としてしまった青色の点滅
街はそのなかに消えかかっていて
私の座標をおしえて
それで総ては容易く変容する
この両眼を覆ってくれるだけでいい
私はようやく虚(から)になれる








2003/10/09