悪夢


アスファルトの照り返しが
蒼白い太陽より眩しかったとして
どうだっていい
まばたきの隙間に貴方の光を落としてしまった
なま暖かい生活の溝に 生け贄は
処理され 流されてしまった レバーを引き
私の手による
悪夢

怯えることに怯え
俯いて歩く
この足は天蓋を蹴りつける
規則正しい私の
回転
秩序と繰り返し
脈打つ心臓の煩悶
私は私でいいのだろうか

星座の
半拍の休符
盲目の瞬間の律動
その瞳の中に神のタクトを見た
忘れようもない
このポーズを解凍してください
私は
叫びたい

転がりたい
無垢な悪魔のように
その頬を切り裂く指
望みなどしない
その背筋をなぞる
吐息と涙
答えなくていい
赤黒い渦
髪の焦げるような匂い
手は離さない
名付けたくはない
失うほどに満ちていく
おそろしい昼は終わる
蜃気楼が夏に襲いかかる