氷塊


ちいさなちいさな鈴を胸の底で鳴らしてみる
あまりに愛おしくて
耳を塞いだ


あなたの声を忘れないように
あたらしい雪崩を拒んだ
轟音に包まれてもわたしには
もう何も聞こえない
ふるい人形の碧い眼のように嘘を吐き
その響きだけをなんども甦らせる
氷のようになんどでも甦らせる
いつのまにかそれは
誰の響きでもなくなっていく
忘れようがない
忘れるものがない

愛おしい何もかもが愛おしい
あなたではないすべてのもの
世界を手にしたようだよ
白く微発光する粒子に凌駕され
失いようがない
失うものがない


もういちどあなたと出会いじぶんを壊す
ただそれだけ
衝動と
音を取りもどす