十三夜


震える弦の上で血が滲む
迷走する音色の上で魂が滲む
声紋の持つ色彩
叫び出したくなるのを無心にこらえ

待ちきれず浮遊を愛するわたし
置き去りにされた躰が傷まみれ
不注意にガラスのエッジを綱渡り
満月まではまだ二日
それまでにこの青痣は消えるのですか
時をどう測り取ればいいのですか
あつらえるための余暇は永すぎて
すべての果実は腐ってしまった

この石しか残されていない
あなたに捧げられる唯一の色彩
光に融け入りそうな透き通る桜色
真白い羽を生やし今夜空へと立ちのぼる