融けて水に還る 細胞の群
形を持ち 形を捨てて
泡はみんな 同じ像を映して
数えきれない命を くりかえしていた

何も所有しなくなるまで?
何も体現しなくなるまで?
全ての無益のために?

やがて 泡は旅立つ
泡でなくなるという 理由だけ背負って
無は ひとつしかないから
愛と 同じで
見上げる光 名もない星
いとしさに 胸を切り裂く色

泥のなかで はじける
次の瞬間
泡のなかに 淡緑の世界があった
世界のなかに
そっくりな ふたつの泡は生まれた