その神殿に立ち入るために わたしは過去をもぎり取り 差し出すその手をはじかれた 魔物は汚物を愛さない 欲しいのはお前の今だと轟いた声 清き水の沸点は高い わたしの今は濁された 指定された無機物は検知されない わたしの今は拒否された 古時計は振り子を凍らす |
哀願する涙には微塵も含まれはしない 酸化した鉄をあなたは要求する 矛盾を叫ぶ それこそを献上せよとあなたは云った わたしの空は低くなる 総てのものが聳え立つ その森はいよいよ深く 扉の前で立ち尽くす姿は ガラスのひずんだ表層に揺れ 飛び立つ鳥の羽音だけがした 今を零しつづけた聖杯は 後悔という名を持たず それでも今日を零しつづける 魔物は天使の眼で笑う こぼれてもこぼれても 聖杯は常に満ちていただろう 謎などはじめから解けていただろうと |