測定不能


蜘蛛の糸張り巡らされたあなたの張りつめた肌
甘い甘い毒薬の雫舐め取ったこの舌が痺れ
薄闇に解き放たれた狂気が神経を嘘で縛り上げる
欲望の底はそうして失われた苦悩の底辺とともに

青い果実の囁きが鼓膜を生温く揺るがしている
解毒できないその香りの正体を哀願し僕は呻く
捉えようとするそばから伸ばした指も背筋を走る戦慄も
無防備に熱いパルスにとろけてしまう

無意味の名を冠した足掻きは常にそのあとの
降伏がもたらす悦楽のためのテイクバック
時を止め奈落へと堕ちていく萌えたばかりの新緑を
凍りつかせてふたつの白い炎は祈る

理不尽を燃やし罪をこうして贖ったなら
何処までも溶け合ったまま測定不能の熱を放ち
次元の狭間を彷徨いつづける
世界からはみ出した脚
日常を葬った恋慕に花をくべ