狂信的魚群


浮かされた窓に 剥がれた躯が舞う
室内楽の極まる彎曲
螺旋型のボーイング 光速の果て
呪文は喘ぎ 衝動が呻く

叫びはどこで遮断される?
どこまで貴方は海を汲み取る?
境界線の略奪と陵辱へ切望
それでも貴方はこの肌に葉脈を記し
意味を孕まぬ記号を埋め込む
ここは深海 落ちた鍵の在処は見えない

答えを探すなんて止め 君は言う
可愛い嘘吐きさん 貴方は言う
抗い続ける 向日葵の従順など
どこまで舐めても 鉄錆の滴




遠くで銃声がし 闇粒は身を寄せ合い
遠くで獣は走り 大陸はそれを無視した
みんな遠い ここからは遠くないものがない
貴方の吐息だけが近ければ
空が紅いことなどどうでもいいの
ここは深海 刹那も眠る床
密会する色 エゴイストな黒と黒
融け合っても 弾き合っても 黒と黒

砕け散るまで私にぶつけて
漸近線に放り出すのはいや
砕け散るまで貴方をぶつけて
単焦点のレンズが焼け焦げる前に
煌びやかに鱗を纏った亡霊たちにまみれて
忘れかけた電解質の手触りで抱いて





2002/3/17