熟れすぎた炎


松明を手にした亡霊が立ち並ぶ長く朴直な回廊
道標が他にあったなら駆け抜けることもできただろう
置き忘れた燃えさかる炎の影に満ちる灰
黄色く濁り熟れすぎたこの瞳が映る

かつて水面に見た蒼白の真実は
入水を夢見ながらも透徹を貫き
あなたの響きだけを反芻していた熱情に
全ての色を絡め取られていたというのに

浮遊を経巡った切ない願いは
瞳を閉ざしたその時刻化石となって我に返る
花は花のまま窒息し望み通りの永遠を知る
あなたの指も知らぬまま割れた太陽の半片
新たな種を握り取るその温度さえも忘れ

松明の炎だけが僕をあやす
常ならぬものが薄明りに流す精霊
死神さえも愛したら甦ることができるだろうか
あまりにもはやく通り過ぎた季節に手を翳す
渇き切った指の間をこぼれ落ちた砂粒の数だけ