あなたの声が 打ち寄せる 削り取られたわたしは やがて 切り立つ崖になる 行き場を失った 両脚は 落下と飛翔の 区別がつかない 惑いは騒ぐ 呼んでいる 海猫の歓喜 其処で 空と海は滲み合い 見紛うような 分岐路はない 曉を舞う 火の粉の色が降りかかる前に 重力を裏切って 羽ばたく あなたのもとへと 閉ざされた扉に雪崩れ込む 世界 あなたへとひらいた わたし 磁気を帯び 脊髄を奔る なつかしい 体液の熱さ 凍えた種子のなかで 甦る双翼 奇蹟を誘い 編み込まれる絆 時を跨ぎ 続くタペストリーの 一片を今 標しはじめた |