昇華




蕾の中で疼く銀河系の傾く回転
故障したレーザーの焼き焦がした粒子の不在
言霊に託した純化と非物質化
双水晶の境界に煌めく虹の舞台装置
飛び跳ねる表情のない碧月の兎
左指で弄る既視感果てない夜露にずぶ濡れのまま
晴れ澄み渡る空の満ち満ちた香気が過ぎる


声が響き重なる折り畳む飛び立つ
捩らなくとも既に撚られていたふたつの糸
中空で雑音を振り切った種子が走査する
夜露を吸ってひび割れていく発芽の時
昇る緋色の溶鉱炉融かされて滲み行く色彩の目覚め
その声を握りしめこんなにも震えながら
永遠を傍受してその華はほころぶ