ほくろ




声が聞こえたら 瞳を見せて
ううん違うの その目じゃなくて
あなたが子犬を抱き締める時の目

振り向いたなら 笑顔を見せて
なんだかちょっとぎこちないのに
ずるいくらいに心をつかむその笑顔



忘れたなんて言わせない
あの夏の草原の風
世界中があなたの匂いに包まれて

目を閉じれば何もかもが
馬のたてがみの手触りまでも
よみがえり 夢のようでこわいわ

ねえ しっかり手を握って
わたしがどこかへとんでいかないように



たとえ世界から光が消えてしまっても
このぬくもりだけは消えないで
はぐくみそだてる ちからのすべてを
どんな色も 塗りかえるその愛を

流して どこまでも続く河のように
やがて海へ空へと そして雨へと変わっても
隣同士の花びらを潤すふたつの雫となって
どうかこの土へ還ってこられますように



だけどやっぱり お願いだから
生まれ変わっても 同じところに
ほくろをつけて 生まれてきてね
あなたがあなただと すぐにわたしがわかるように




1999/歌詞として書いたもの