直線




水瓶からしたたり落ちる滴を見ていた
わたしはただ足下を指差し
過ちの数を指折るように
微睡みは贖罪しない
憐れみの甘美さが味蕾を占領し
豊艶に渦巻いて麗しくとも
荒れ果てた湿地帯に立つ素足の泥
くるぶしでもたつく祈りを立ち昇らせることにはならない
直線は必ずしも愚かさを体現しない
伸ばした中指の骨が僅かに曲がっているのは
ぶら下がった過去が重いからではない

足下の泥を鷲掴み
想いで捏ね上げたわたしのピストル
虚空を打ち抜く覚悟をしたら
わたしは緩やかに両手を上げる
そこに描かれるべき直線だけが
わたしのために用意された星




2002/4/17