紋章

そうやって
しゃぶり尽くした丸い棘
漂白された石でさえ
酔いどれた記憶に舌を打つ
息吹が行く
風の誘いを待ちつづけながら
羽根は夜露に重く
いのちの謎をさらによじりつける
切れた城壁のロープ
絡まる蔓の硬質な有機結合
飛翔する放逸にあらがう秘密結社
はじめから
そんなものはなかったのかもしれない
空笑いする道化師の頬に
漂白された面でさえ消えない

たとえばそれは
不可分な素粒子に刻まれた曼陀羅
合致する符号を希求する掟
目交(まなかい)にほとばしる波濤





2002/3/24