Passage
世界は 悲しみの底を知り 溢れる涙に浄められた 深い瞳 汲み出すあの棺から 縒られた糸 雨より細く あなたは支えを失くしたように ためらいながら そっと右腕を伸ばした 夢は消える 真実になるため やがて巡り来る季節に また夢を見るため この幻の世界のなかで あなたはわたしの影を追った 信じられるもの何ひとつない空白に 夜は明ける 光を知るため そして巡り来た朝日は 果実を手に落とす 振りほどけない痛みを抱き締め 踏み出す道なき道に 青白い無限の輪郭を見る あなたはそうして知るの あなたを包む闇になりたい その輝きが今より 際立つように 道標まで見紛う場所で あなたの詩(うた)が途絶えるのなら 世界も果てるということ 覚えてて 視界の片隅に 私はその陽射しを浴びて 花ひらく永久の約束を 蕾の奥 深く潜めて声を待つ 信じている |