燻蒸




変哲のない草叢が馥郁とした花園に変貌する日
前世の苦悩を剽窃した脳髄で燻蒸が試みられる
乾き切ったセージの煙は白く焦らされて窒素の隙間を滑る
転がるように重なるように時を折り畳んで立ち昇る
眼窩の奥で網膜はより平坦になった
そこに映る画像の影が濃くなったために
わたしは光を知ったことに気づいた




2002/4/23