真夜中過ぎの喪失は 歯止めの利かない連鎖の刃 リプレイされる画像の劣化を 分別ある毛細血管が鎮魂する 破れた瞼の負債が走り 辻褄を合わせる涙は忙しく 庭の香草に水を撒いたの 余白に注ぐ甘い水 晩春の地殻に置き忘れられたその鞄 わたしはそれをひらけない 土の香がうねる 静けき自然は暴君で 率直な花の時間でさえ乱す |
チキンスープに浮かぶ蝿 窓の外に赤らんだ闇 わたしは花を開いていますか 綺麗だと云ってくれますか あしたの朝に訊ねよう 夜露が乾くその頃に とおい泉は湧き溢れ 森は湖水に沈んだという |