不燃物


つくり笑いの太陽が落ちて
溶岩の海を裸足で歩いた
色もなくノイズが燃えている

私はどこにもいない
眼底にさすらう幻それが存在
あなたが私を見ようとするから
私はどこにだっている
揺れる草笛にシャッターの落書きに
アスファルトにそよぐ蜻蛉に

記録された軌跡の無秩序
神経叢を這う亡霊の指先
蜘蛛の巣を象る見知らぬ星雲
光の速さを超えたなら
何もかもを振り切って余りある

この髪の一筋にも同じ信号は流れ
疾走に燻らす煙の行き先
虹のなかに新しい色が今生まれている

茨を豪奢なドレスに変え
流した血は転がるルビーに
ありふれた魔術師のくちずさむ歌