冷静と情熱のあいだ

役者大好き度☆☆☆☆☆ 人生について考えたくなる度☆☆☆☆

総合評価☆☆☆☆(迷ったら見るべし)

美術絵画の修復士を志す阿形順正(竹野内豊)は、フィレンツェの工房で修復の修行に明け暮れ、その才能を開花させようとしていた。しかし、彼の心の中には常に空虚な穴がぽっかりと空いていた。それは、かつて愛した一人の女性の存在をどうしても忘れる事が出来なかったからである。学生時代をともに過ごし、そばにいるだけで心が休まり、まるでテレパシーが通じ合うかのごとくお互いの全てを分かり合えた女性、あおい(ケリー・チャン)。香港からの留学生で、常に冷静で聡明だがその心の奥には情熱的な愛情が流れ、愛する事は孤独だと教えてくれた唯一の女性、あおい。順正は、自分の修復している絵画の中にも、街で通りすがる人の中にも、二度と会うことはないであろう彼女の姿を未だ探しつづけていた。

微妙にすれ違いながら成長していく2人だったが真実と歳月は、順正のあおいに対する思いを忘れさせるどころか、どんどん深く確実なものにしていくのだった。順正に残された最後の望みは、10年前の他愛もない約束、“あおいの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモのクーポラで待ち合わせる。”というものだった。あおいはもう忘れてしまっているに違いない。しかし順正は、再びイタリアへと旅立つ。一縷のはかない望みだけに全てをかけて。あの愛は真実だったということを証明するために…。

竹野内豊、ケリー・チャン、フィレンツェ、絵画。う〜ん、このキーワードで既に言うことなし。ストーリーも順正があおいを思い続けるという、非常に自分に似た性格で、とても自分とシンクロしました。2001年の春に、フィレンツェに行ったこともあり、「あ〜あそこだ!」という感動もあり(もちろんドゥオモも登りました)、プラスアルファがされまくった映画でした。

プラスアルファと言えば、脇役の篠原涼子、ユースケ・サンタマリアもいい味をだしています。この2人の配役もまさに適役で、存在感が在り過ぎず、無さ過ぎず、ああいうタイプの女を演じさせたら篠原涼子の右にでる女優はいないでしょう。

冷静=あおい、情熱=順正、その2人のあいだで繰り広げられるラブストーリー。それだけ好きになれる人がいることはとても幸せなことだということを改めて感じさせられる映画でした。