千と千尋の神隠し

宮崎駿度☆☆☆☆☆ まったり度☆☆☆☆☆ 

総合評価☆☆☆☆(まさに宮崎駿映画です)

物語は、父親の運転する車で引越し先の新しい家へ向かう場面で始まりますが、千尋にとっては、新しい学校も新しい友達も新しい環境もすべてが煩わしく、憮然とした表情をしています。宮崎監督が’88年に製作した「となりのトトロ」の、12才と4才の姉妹サツキとメイが、大喜びで引越しを迎えていたのと比較すると興味深いです。

千尋の乗る車がいつの間にか迷い込んでいたのは「不思議の町」。もの珍しさにつられてずんずん足を踏み入れていくのは両親の方。なにしろ、高度成長期に育ったお父さんとお母さんは、何事に対しても貪欲なのです。千尋は両親を制止します。彼女は両親とは正反対に、好奇心が旺盛ではなく、自分の世界から一歩足を踏み出せないタイプです。「不思議の町」の掟を破った両親は、豚にされてしまいます。たったひとり残された千尋は茫然。ひとりで生きていかなくてはなりません。おまけにその町を支配する強欲な魔女・湯婆婆に「名前」を奪われてしまいます。そして「千」という名に変えられて、働くことになります。こんなことは生まれてから10年間で、もちろん初めてのこと。はじめは自分では何もできない、やろうとしない千尋が、幾多の困難を乗り越えて少しずつ成長していく姿が描かれています。

いや〜、安定した宮崎駿作品。安心して見られました。パンフレットの中で監督は、あまり主題といったものはなく10歳の女の子のための映画をつくってみた、と言っていましたが、僕には、自分では何もできない、やろうとしない現代の若者(もちろん全てがそうではないが)に対するメッセージとも取れるなぁ、と思いました。愛くるしいキャラクターがいっぱいでとても楽しい映画です。「紅の豚」に続いて人が豚になっちゃいます。豚が好きなんでしょうね、きっと。

プラスして、途中にCGが使われているシーンが随所に見られたけど、やっぱりすごいという気持ちと見慣れないという違和感が交錯しました。

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