恐竜はどこへ・・・

     黄金時代の終わり
恐竜は絶滅してしまったのか・・・・。かつてはそう考えられてきましたが、今は姿を鳥に変えて、現代に繋がれているとも考えられています。恐竜から鳥をつなぐ、様々な化石が発見されているからです。
<隕石衝突説>
約6500万年前、新生代が始まったのを堺に、恐竜は絶滅したと考えられています。なぜ、滅んでしまったのか・・・・有力な理由の一つに「隕石衝突説」があります。直径10キロメートルもある巨大な巨大な隕石がメキシコのユカタン半島に衝突して、環境異変が起こったのが、原因の一つではないかと思われています。急激な環境変化に巨大化した恐竜は適応できなかったと言われる由縁です。しかし、種の多様性が隕石衝突より数百万年まえから減少していたことを考えあわせると、絶滅のひとつの要因ではあっても、他に何らかの理由があったと考える考古学者も少なくありません。

白亜紀も末期になってくると、恐竜たちの種の多様性に待ったがかかりました。その減少とともに、哺乳類などがいっしょに生活するようになってきました。植物の種類にも変化が見られています。気候も徐々に変化していき、恐竜の黄金時代はだんだん住みづらい環境になってきたのです。

<最後の恐竜たち>
最後の恐竜はティラノサウルストリケラトプス、エドモントサウルスなど、それぞれの系統でもっとも繁栄した種です。そのように考えると多様性が減っていても、衰退傾向にあったわけではないと考える学者もいます。結局、なぜ絶滅したか、真の原因は定かになっていません。様々な要因を想像することができるからです。ただ、現在、色々な考えをまとめてみると、やはり隕石衝突説が有力であるようです。

<恐竜は滅んでいない>
最近発見されている化石から、肉食恐竜の一部が鳥類へと進化したということがわかってきました。恐竜は鳥へと姿を変え、現在も生き続けているのです。新たな化石の発見により、どこまでが恐竜でどこまでが鳥と線引きする境界線が難しくなっています。
ドロマエオサウルス
ヒパクロサウルス

ドロマエオサウルス

獣脚類ドロマエオサウルス科
(全長)2.5メートル
白亜紀後期
カナダ・アルバータ州
1922年、命名された小型の肉食恐竜。恐竜としては、比較的大きな脳をもっていることと、鳥類に近縁なことで有名な恐竜です。現在、カナダのアルバータ州立恐竜公園になっている場所で、頭骨が発見されたのを最初に、歯や部分骨格は見つかっていますが、いまだに完全な形では発見されていません。他に比べて、歯が少ないことと、扁平で先端部分が強くカーブすることが最大の特徴です。体は小さくても、大きな脳や目、物がつかめたと考えられる手をもっていたことから、すばやく走る狩りの名人だったと考えられています。

ヒパクロサウルス

鳥脚類ハドロサウルス科
(全長4メートル)
白亜紀後期
アメリカ・モンタナ州
頭にトサカ状の骨をもつグループ、ランベオサウルス類に属す恐竜です。頭頂部が丸く高くなっているのが特徴。発見当初、このトサカがついた頭部が見つかっておらず、命名の意味となった「非常に高いトカゲ」は、胴の背骨の棘突起をさしていました。今回展示されていたものは、1993年にモンタナ州で見つかった、2番目の化石です。この種は、成体・幼体・胚・卵までいろんな成長段階で見つかっており、個体成長を調べるうえで大変役立っています。成体は9メートルに成長しますが、展示の個体は4メートルと小さく、亜成体と思われ、まだ頭のトサカ部分ははっきりできていません。

恐竜の時代の終焉・・・
    そして、一部は鳥になった・・・・・

6500万年前、本当に恐竜は死に絶えてしまったのでしょうか・・・・。いいえ、一部が鳥類へと進化し、今に到っているのです。その説を裏付ける数々の化石の証拠が残っています。
19世紀の半ば、トーマス・ハクスレーが、恐竜と鳥の関係に注目しました。ふたつの脚には、類似点が多いのです。
1970年、イェール大学のジョン・オストロム教授が、小型の肉食恐竜・デイノニクスアーケオプテリクス(始祖鳥)の比較研究を行い、鳥類は小型肉食恐竜の直系の子孫であることの結論付けました。
1986年、同大学、ジャック・ゴーティエ教授が、恐竜の系統を定義するための分岐図を発表しました。これにも、鳥類は恐竜の直系子孫と記されたのです。

鳥類には羽毛があります。現在の生物には、鳥類以外で羽毛を持つ個体は存在しません。もし、恐竜が鳥類の先祖であるなら、その進化の途中で羽毛のある恐竜がみつかっても不思議ではないはずです。しかし、羽毛のような柔軟組織の化石としての保存は難しく、なかなか証拠を見つけることができませんんでした。多くは、うろこ状の皮膚を持ち、爬虫類のようなものと思われていたのです。
ところが、1996年、中国のリャオニン省西部の土地で、これまで未発見だった羽毛を持った恐竜が発見されたのです。小型の肉食恐竜でシノサウロプテリクス(中華竜鳥)と名づけられました。獣脚類特有の鋭い歯、長い尾、短い前足、そして何より体毛のようなやわらかい毛で覆われていたのでした。がくしゃの多くは、この体毛は原始的な羽毛であったのでは・・・と考えているようです。そして、断熱・保温の役割を果たしていたと思われます。
翌年、同じ土地からさらに羽毛を持つ恐竜2体が発見されました。プロトアーケオプテリクス(原始祖鳥)カウディプレリクス(尾羽竜)です。この2体は、シノサウロプテリクスより、鳥に近かったと考えられていますが、飛ぶことはできなかったようです。
1999年、さらに別の羽毛恐竜が発見されました。そのひとつ、ベイピアオサウルスは、ここでみつかった最大の獣脚類です。全長2メートル、細かい歯を持ち、ずんぐりした胴に短い尾が特徴です。そしてもう一つ、シノルニトサウルス(中国鳥竜)は、ずっと小型で、歯は短剣のように鋭く、上下に羽ばたくことができたと考えられる長い前足と、こん棒のように硬い尾を持っていました。この恐竜が最も鳥に近かったようです。
2000年、さらに6体の全長40センチにみたない、小さな恐竜が見つかり、ミクロラプトルと命名されました。この恐竜はほぼ鳥といっていいほどの特徴を持ち合わせていました。上下に羽ばたける前足の存在、脚は樹上生活に適した構造になっていました。
そして近年、この場所で新たに発見されたシノベナトールという恐竜は、羽毛を持っていたと思われ、全長は1メートルにもみたなかったようです。頭骨は初期の鳥類によく似ており、かなり高い知能を持っていたと考えられています。

リャウニン省の羽毛恐竜の発見は、世紀の大発見で、恐竜から鳥類へと進化していった道筋をなぞる、大切な証拠です。気候の変化に伴い、体温の維持、保温にたけ、体を小さく・軽くすることで樹上生活に適したことから、新しい生活の場で対応できるようになりました。飛ぶ・・・ということで、敵から見を守ることもできるようになったのです。
恐竜は、鳥へと姿を変え、現在もその子孫が繁栄しているのです。

中国の羽毛恐竜たち・・・・・

シノサウロプテリクス
(中華鳥竜)

獣脚類コンプソグナトゥス科
(全長)120センチ
白亜紀前期
中国・リャオニン省
最初に見つかった羽毛恐竜。首から背筋をたどって繊維状の構造がみとめられ、羽毛の原型と考えられています。羽毛を持つものの、原始的なことから、コンプソグナトゥス類に分類されています。

ベイピアオサウルス

獣脚類テリジノサウルス科
(全長)220センチ
白亜紀前期
中国。リャオニン省
この地層では最大の羽恐竜。草食恐竜のような歯をもっているが、特異なテリジノサウルス類に分類されています。前足に繊維状の羽毛があったと考えられています。

カウディプテリクス
     (尾羽竜)

獣脚類カウディプテリクス科
(全長)80センチ
白亜紀前期
中国。リャウニン省
前足と尾の先端に羽毛をもつ恐竜です。尾羽は扇のような形で、見た目はかなり鳥に近かったようです。前足は小さく、とても飛べないが、飛ばなくなった鳥とも呼ばれています。

ミクロラプトス

獣脚類ドロマエオサウルス科
(全長)40センチ
白亜紀前期
中国リャウニン省
成体で始祖鳥より小さい唯一の個体。原始的なドロマエオサウルス科に属し、樹上生活をしていたと思われます。体が小さく軽かったため、木の上から滑空していたのでは・・・と想像されています。

シノルニトサウルス
    (中国鳥竜)

獣脚類ドロマエオサウルス科
(全長)120センチ
白亜紀前期
中国リャウニン省
全身が羽毛に覆われ、前後、上下に動かせる肩関節をもっていたとされ、かぎりなく鳥に近かったと考えられています。さすがに、飛べなかったが、その後の進化で鳥類が生まれた証拠になるよう化石です。