

私たちは、袋をかぶって釜のような石のドームの中へはいっていった。熱い。足の裏が熱い。もらった袋をしいてその上にあぐらをかいてすわる。歩いた2,3歩で足の裏が焼けるようにあつい。700度ぐらいまで温度をあげたあと火を消して、120度から150度のそれにはいる。手が出ないように麻袋をもち、すっぽり袋をかぶって、口を開けてそこで呼吸をした。熱い。ロンちゃんが1分ももたないですぐにリタイヤした。そのあと会長もリタイヤした。私は袋のかぶり方がよかったのか、まだ、だいじょうぶと、長々とはいっていた。そろそろでないとやばいかなーと思って、出口を探した。それが熱かった。あちあちあちーーーといいながら出てくると、他の二人が心配してた。あんまりでてこないので、中で倒れているかと思ったって。3人でむしろにねっころがっていると、一番先にでたロンちゃんが呼ばれた。こちらにどうぞって。なにやら銭湯の風呂への入り口みたいなところがあって、水の音がしている。会長も呼ばれた。しばらくするとふたりが全身に泥をぬられてもどってきた。そして別の部屋へはいっていった。私も呼ばれた。バスローブを脱がされ、パンツ一枚。手招きされて、そこで泥をはけでぬられる。全身。顔も。
係りの人は、みんな黒いブラとパンツをはいている。ちょっとすけすけ。裸のつきあいってとこかしらん。私もふたりがまっている部屋にいく。3人ならんで扇風機をあびる。どうやら泥を乾かす部屋らしい。「とうとう裸のつきあいになってしまったねえ。」と会長がいう。でも、会長が、泥のついてない部分を指差して、「ここはついてない。はけで面と裏と一回きりだもんね。いいかげーん。」会長はいいたいこというけど、たいてい、思ってはいても口には出せないことだったりするので、いっしょにいるとありがたい。最初だったロンちゃんは乾いてきた・・・と思ったらこちらにどうぞと、3人いっしょにいわれる。私の泥は乾いてないのにー。パンツを脱いでシャワーで泥を落とせといわれる。きゃ。そして、泥風呂に案内される。で、顔について泥を洗えといわれる。泥風呂って?って思うような軽く濁った風呂。しかもお湯がでてるようすもなければ、どっかに吸い込まれる様子もない。3分ぐらいたつとひとりづつ呼ばれてシャワーで泥を落としてもらう。つぎによもぎの風呂にはいれといわれる。地下で黒い下着をきたおばちゃんたちは、日本語の案内はできても、会話はできないみたい。一方的にあっちだこっちだいわれる。ヨモギが網に入って浮いているお風呂。私ははんじゅんまくは耐えられても、長ぶろは苦手。よもぎのふくろを抱きしめて体にいいかしらといいながらも、ぐったりしつつあった。すると今度は次のお風呂に案内された。そのまま移れという。酒のおふろだって。匂いする?ってみんなにきくと、何も匂わないとか。ただのお湯?長湯でゆだってきた。あかすりは、ピンクのレースのカーテンにしきられたベットの上でそれぞれ行なわれる。ベットはビニールシートでおおわれている。黒の下着といいピンクのカーテンといい、なんともいえない雰囲気だ。旅は恥のかきすてだからできることかも・・・ってつくづく思う。また、こちらにどうぞって3人いっしょに呼ばれる。2人が行きかけたときにシャワーの向こう側にあったベットのお姉さんがひとりはこちらにという。でもロンちゃんも会長もいかない。お姉さんがむっとしたので、私がはいはい・・ってそこにいった。むっとしたおばさんにこすられるのかしらんと不安な私。
まず、顔にきゅうりのおろしたものがのせられた。きゅうりのパックだ。ぱっくしながらあかすりなのね。冷たくて気持ちがいい。でも、おばさんの指が生温かい。変な感触だ。きゅうりのつめたさと指のあたたかさ。すると体になにやらしたたりおちて、まず足首からごしごしされた。ロンちゃんは首から、私と会長は足からこすられた。会長はその点をあとで、ふりかえって怒っていた。他人に裸を見られているという恥ずかしさから、緊張している私。でも、こすられて気持ちがいい。このふたつがせめぎあっている。しっかりめをつぶったままで開けられない。あかすりは、おみやげ用によくある布ではなくて、固めのスポンジのようなもので、こすられる。私のおばさんは何もしゃべらずに、ひたすらこすっている。またの付け根にまで手がはいってくる。もうまないたの上の鯉だ。どうにでもしてくれという気分になってくる。胸もごしごし。あかはどれくらいとれているのだろうか。目を開ける勇気がない。体をうつぶせにひっくりかえされる。きゅうりが顔から落ちる。落ちた胡瓜の上に、顔をのせられた。おしりもごしごし、裏の足も付け根までごしごし。もうやってくれって感じ。どうにかひととおり終わったらしく、お湯がざばーんと掛けられて体がまたふにゃふにゃになる。すると今度はベビーオイルが体にふりまかれる。(これは人のを見てたから、あれだと確信した。)そして、蒸したタオルが体の中央におかれた。体をマッサージしてくれるらしい。全身をもみほぐしてくれる。肩のつぼに指をいれられたときには、どかーんとなった。緊張しているのだろうか。足の裏をとんとんし、ひざしたもなでるようにマッサージしてくれる。しばらくマッサージに身をゆだねていると、おばさんが「髪の毛を洗います。」と言った。髪にはめていたシャワーキャップがはずされて、ていねいにきゅうりがとられ、髪を洗ってくれた。シャンプーとリンスは、マシェリが使用されていた。もし、日本の美容室みたいにかゆいところはありませんかと聞かれたら全部といいたくなるほど、やさしすぎるシャンプーで、すこし痒かった。髪の毛をタオルでまいてくれて、起こしてくれた。私はありがとうともカムサハムニダともいえずに、ぼーっとしていた。