資料 この法案は1968年3月12日に国会へ提出されたが、不成立。以後、1972年まで数度にわたり成立への動きがあったが、法案は成立しなかった。

外国人学校法案

(目的)

第一条       この法律は、外国人学校の制度を設けることにより、わが国に居住する外国人に対する組織的な教育活動が国際的な友好関係の増進に寄与するとともに、その自主的な教育がわが国の利益と調和を保ちつつ発展することができるようにすることを目的とする。

(外国人学校)

第二条       もっぱら外国人(日本の国籍を有しない者をいう。)を対象として次の各号に該当する組織的教育を行う施設は、外国人学校とする。

  一 修業年限が一年以上である事。

  二 授業時数が政令で定める授業時数以上であること。

  三 教育を受ける者が常時四十人以上であること。

(外国人学校の教育)

第三条       外国人学校においては、広く国際的な友好関係の増進に寄与することを旨として、その自主的な教育が行われるものとする。

  2 外国人学校においては、わが国と外国との間における理解及び友好関係を著しく阻害し、又はわが国の憲法上の機関が決定した施策をことさらに非難する教育その他わが国の利益を害すると認められる教育を行ってはならない。

(設置者)

第四条       外国人学校は、次の各号に該当する者でなければ、設置することができない。

  一 外国人学校を運営するために必要な経済的基礎を有すること。

  二 経営者が外国人学校を運営するために、必要な知識又は経験を有すること。

  三 経営者が社会的信望を有すること。

(校長及び教員)

第五条        外国人学校には、校長及び教員を置かなければならない。

  2 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九条の規定は、前項の校長及び教員について準用する。

(設置等の認可)

第六条       外国人学校の設置、廃止、設置者の変更及び目的の変更は、政令で定めるところにより、文部大臣の認可を受けなければならない。

  2 文部大臣は、外国人学校の設置の認可の申請があったときは、申請の内容が第二条から前条までの基準に適合するかどうかを審査した上で、認可を決定しなければならない。

  3 前項の規定は、外国人学校の設置者の変更及び目的の変更の認可について準用する。

  4 文部大臣は、第一項の認可をしない処分をしようとするときは、あらかじめ、申請者に対して、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。

  5 文部大臣は、第一項の認可をしない処分をするときは、理由を付した書面をもって申請者にその旨を通知しなければならない。

(届出)

第七条       外国人学校の設置者は、その設置する外国人学校の名称、位置又は学則を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、文部大臣に届け出なければならない。

(是正命令)

第八条       文部大臣は、外国人学校についてこの法律又はこの法律に基づく命令の違反があったときは、該当外国人学校の設置者に対して、違反の是正のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

(閉鎖命令)

第九条       文部大臣は、外国人学校の設置者が前条の規定に基づく命令に違反した場合その他外国人学校について重大な法令の違反があった場合において、第一条に定める目的の達成を著しく阻害するためやむを得ない必要があると認められるときは、その設置者に対して、該当外国人学校の閉鎖を命ずることができる。

  2 文部大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、該当外国人学校の設置者に対して、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。

  3 文部大臣は、第一項の規定による処分をするときは、理由を付した書面をもって該当外国人学校の設置者にその旨を通知しなければならない。

(報告及び検査)

第一〇条 文部大臣は、第一条に定める目的を達成するために必要があるときは、その必要な限度において、外国人学校に対して報告させ、又は前二条の規定による権限を行う必要があると認めるときは、当該職員に、外国人学校に立ち入り、その運営の状況若しくはその帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。

  2 前項の規定は、次条第一項の施設につき文部大臣が同条第二項の規定による命令をするため必要があると認める場合に準用する。

  3 当該職員は、前二項の規定により、立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

  4 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(教育の中止命令等)

第一一条 文部大臣は、外国人学校の施設が第二項の教育を行うものと認める場合には、当該施設の設置者に対して、一定の期間内に外国人学校の設置の認可を申請すべき旨を勧告する事ができる。ただし、その期間は、一月を下ることができない。

  2 文部大臣は、前項の施設の設置者が同項の規定による勧告に従わず引き続き第二条の教育を行っているとき、又は外国人学校の設置の認可を申請したがその認可を得られなかった場合において引き続き同条の教育を行っているときは、当該設置者に対して、教育をやめるべき旨を命ずることができる。

  3 第九条第二項の規定は、前項の規定による処分をしようとする場合に準用する。

(権限の委任)

第一二条 文部大臣は、政令で定めるところにより、この法律に規定するその権限の一部を都道府県知事に委任することができる。

(罰則)

第一三条 第九条第一項又は第一一条第二項の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は一万円以下の罰金に処する。

第十四条 第一〇条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、若しくは虚為の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、五千円以下の罰金に処する。

附則

(施行期日)

第一条       この法律は、公布の日から施行する。

(旧各種学校たる外国人学校等に関する経過措置)

第二条       この法律の施行の再現に存する学校教育法の一部を改正する法律(昭和四十三年法律第  号)附則第二条第一項の旧各種学校であって、同条第二項の外国人学校の教育を行うもの(以下、「各種学校たる外国人学校」という。)については、次項の規定による申請に基づいて認可を受けたものを除き、昭和四十五年三月三十一日までは、なお従前の例による。

  2 旧各種学校たる外国人学校で、昭和四十五年四月一日以後引き続きこの法律の規定による外国人学校の教育を行なおうとする設置者は、昭和四十四年九月三十日までに、第六条第一項の規定による外国人学校の設置の認可を申請しなければならない。

  3 文部大臣は、前項の申請について認可するかどうかの決定の通知を昭和四十五年三月三十一日までにしなければならない。

  4 旧各種学校たる外国人学校が第二項の申請をしなかったとき、又は同項の申請をしたが認可しない旨の処分を受けたときは、当該旧各種学校たる外国人学校に係る学校教育法の改正する法律による改正前の学校教育法の規定による各種学校の設置の認可は、昭和四十五年三月三十一日限りその効力を失う。ただし、当該旧各種学校たる外国人学校が修業年限二年以上の教育を行うものであるときは、この同日以降在学しなくなる日までの間における当該生徒に対する教育については、なお従前の例による。

  5 この法律の施行の再現に存する学校教育法第一条の学校でもっぱら外国人に対して教育を行っているものについては、当分の間、なお従前の例による。

(関連法律の一部改正)

第三条       文部省設置法(昭和二十四年法律第百四六号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一号「各種学校」の下に「並びに外国人学校法(昭和四十三年法律第  号)第二条に定める外国人学校」を加える。

  第五条第一項第一七号中「及び高等専門学校」を「、高等専門学校及び外国人学校」に改め、同項第一八号中「高等専門学校」の下に「、外国人学校」を加え、同項第三一号中「及び高等専門学校」を「、高等専門学校及び外国人学校」に改める。

  第一二条第一項第一号中「学校法人」の下に「(外国人学校の設置のみを目的とする法人を含む。第三号のおいて同じ。)」を加え、同号の次に次の一号を加える。

  一の二 外国人学校の設置、廃止、設置者の変更等の認可を行うこと。

  第一二条第一項第三号の三の次に、次の一号を加える。

  三の四 外国人学校の制度に関し企画し、及びこれを監督すること。

第四条       外国人学校法(昭和二十四年法律第二百七〇号)の一部を次のように改正する。

  第六四条第二項中「各種学校」の下に「又は外国人学校法(昭和四十三年法律第  号)第二条に規定する外国人学校(次項から第五項までにおいて「外国人学校」という)を加え、同条第三項中「各種学校」の下に「又は外国人学校」を、「私立各種学校」の下に「又は外国人学校」を加え、同条第五項中「含む」の下に「ものとし、外国人学校の設置のみを目的とする法人については、私立学校審議会、私立大学審議会又は高等専門学校審議会に係る部分を除く」を加え「、「私立各種学校」と」を「「私立各種学校又は私立外国人学校」と外国人学校の設置のみを目的とする法人にあっては「所轄庁とあるのは「文部大臣」と」に改める。

第五条       結核予防法(昭和二十六年法律第九六号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項中「各種学校」の下に「及び外国人学校」を加える。

第六条       首都圏の既成市街地に工業等の制限に関する法律(昭和三十四年法律第一七号)の一部を次のように改正する。

  第二条第三項中「「各種学校」という。」の下に「若しくは外国人学校法(昭和四十三年法律第   号)第二条に規定する外国人学校(政令で定める外国人学校を除くものとし、以下単に「外国人学校」という。)を加え、同条第五項中「各種学校」の下に「及び外国人学校」を加え、同条第六項中「及び 各種学校」を「「、各学校及び外国人学校」」に改める。

第七条       近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律(昭和三十九年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条第三項中「「各種学校」という」の下に「若しくは外国人学校法(昭和四十三年法律第  号)第二条に規定する外国人学校(政令で定める外国人学校を除くものとし、以下単に「外国人学校」という)」を加え、同条第五項中「各種学校」の下に「及び外国人学校」を加え、同条第六項中「及び各種学校」を「、各種学校及び外国人学校」に改める。

  理  由

 もっぱら外国人を対象とする組織的な教育施設の特殊性にかんがみ、新たに外国人学校制度を創設する必要がある。これが、この法案を提出する理由である。

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