平成5年1993年赴任した当時は火力発電にたよるフィリピンには停電が多く、石油の節約のため、毎日のように停電がありました。フィリピンでは停電のことをブランナウトと言っています。英語ではブラックアウトなのですが、どうしてブランナウトになったのかは、分からずじまいでした。デパートに行くと上のような充電式ランタンが売っています。中に2本の普通の蛍光灯が入っています。各部屋に一台ぐらい用意しておきました。
 赴任当初の夜、全く荷物が届いていないがらんとしたプール付大邸宅から外に出てみました。「あれっ、オリオン座がない。」いつもの位置にありません。ヒアデス星団も、スバルもありません。どこへいってしまったんでしょう。頭を天頂の方に向けてみました。すると天頂付近にオリオン座があるではありませんか。ああ、ここは緯度15度の南国だったんだ。ほっと胸をなでおろしました。ここで百聞は一見に如かずということを身をもって体験しました。 
 天頂付近を見上げてみると、飛行機がまるでスターウォーズの宇宙船のように音もなく、点滅しながら動いていきました。これから始まる3年間に思いをはせ、身体にやるきがみなぎってきました。 
 
 ビレッジのゲートには、毎日ブランナウト情報が掲示されていました。コンピュータもデスクトップだとバッテリーがないので、ほとんどの先生はノートパソコンを利用していました。一方、日本人学校のコンピュータ室はすべてのコンピュータにAPC製のUPS(無停電電源装置)がついているので安心でした。生活にも慣れてきたころ、ケーブルテレビを見ている最中に中断されてしまうので、発電機が欲しくなりました。発電機といっても、夜店の屋台にあるようなものではありません。家一軒の電気すべてまかなうほどのものです。フィリピンの中でもリッチな人たちが住む私のビレッジでは、停電なのに電気がついているところが何軒もあります。不思議に思ってドライバーさんに尋ねてみると、初めてそこで各家庭に自家発電装置が備えてあるということが分かりました。私は日本人向けの便利屋さんから、新品のホンダ製発電機を買い入れ、停電でも明かりのある夢の生活を手にしました。しかし、電気が来たのに、自家発電するという馬鹿なこともときどきしてしまいました。街灯を見ないと、本当に電気が復旧したかどうかがわからないのです。

フィリピン○×クイズ
問23 .フィリピンのゴルフの打ちっぱなしでは係の女の子がボールを1回ごとに置いてくれる。答えは次のページへ
前回の答え ○ 解説 自動販売機ごと盗まれることが多いので、置いていません。



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