-ときどき受ける人種差別-

私と妻と子は全員イギリスのスポーツクラブに入っていました。そのスポーツクラブの入会規定によると、私の属していた日本人会のように国籍が限定されていました。しかし、イギリス人2人の推薦があれば入会できるという例外措置があり、ADB(アジア開発銀行)に勤めている友人夫婦とネッスルに勤めている友人が推薦してくれたおかげて、私たちは入会できました。会員に日本人は一人もいなかったと思います。そこのラグビーグラウンドは芝生が青々としています。プールはものすごく深いのですが、限りなく透明で、ゴーグルをして泳ぐと底が見えてとても気持ちがよいのです。冷房付きの体育館もあります。一泳ぎしたあと、バーで飲むゲータレード(スポーツドリンク)は格別です。よくそこで野外パーティが行われるのですが、そのときにはイギリス人一色になります。食券を持って列に並んでいると、いろいろな人に話しかけられます。彼らに日本のテクノロジー(技術)はすごいねなどと言われるとちょっと鼻が高くなり、うれしくなります。ユーロトンネル開通に日本人が貢献したという話題や、阪神・淡路大震災の話題などがあがりました。日本人が珍しいのでしょう。話をしているうちに、ひとつ発見したのは、イギリス人はせみを知らないということです。せみという概念がないのです。そのため説明するのにとても苦労しました。日本のことを褒められて得意満面でバーに向かいました。ビール一本と注文すると、バーテンダーは「お前は本当に会員なのか。」と語気を強めて聞いてきます。私は会員である磁気カードと日本大使館発行のID(*)をポケットから出しました。それで彼は憮然としつつも納得しました。デパートなどでもよくこういうことがあります。フィリピンの人たちは白人にはぺこぺこし、黄色人種には横柄な態度をとるのです。 
  全く逆の経験ですが、空港で大使館員と間違えられ、非常に丁寧に扱われたこともあります。マニラ日本人学校はフィリピンの学校の中では学校として認めてもらえずに、やむを得ず大使館付属ということで認可されたいきさつがあります。

* いざというときに大使館員よりは弱いですが外交特権が少し備わっています。パスポートは大使館の人と同じで緑色です。

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