バタンガスで買ったナイフ、これがあとで問題を引き起こす鍵になってしまいました。
 中学2年生の修学旅行はセブ島に飛行機で行き、リゾートホテルのスイートルームに泊まるという豪勢な旅行です。2年生担任の私は2人の先生と修学旅行の下見に行きました。私は常々荷物が多いという習性をもっていて、ナップザックのほかに肩に十文字にサイドバックをかけてビデオカメラ・カメラ2つ・ズームレンズ・双眼鏡・気圧計や電子コンパスのついた時計など、完全装備で出かけました。空港での荷物チェックでブザーがなりました。私の手荷物の鞄の底にバタンガスで買ったバタフライナイフがそのまま入っていたのです。空港事務所で事情聴取され、ナイフはスーバニア(おみあげ)ですと何度も言い訳しました。2人の先生には多大な迷惑をかけ、後に校長におしかりを受けることになりました。結局ナイフは一時機長あずかりということですみました。セブ国際空港に着くと、また事務所に連れていかれ、ナイフはめでたく返してもらえることになりました。そこにはもう一人の人が待っていたのですが、その人に返されたものは何とピストルだったのです。その黒く鈍い光にはぞっとしてしまいました。
 ところで、フィリピンではデパートでピストルが売っています。レーザー照準器なども売っており、実験に使えそうだなあと思いましたが、許可がとれないので買えません。デパートのウインドウには電線が発射されて相手を気絶させるレーザー照準付スタンガンも売っていました。日本では銃刀法で規制されているので、防護のためといっても買うというわけにはいきません。たぶん私が買ったらニュースになって、日本人学校の教師をやめさせられるということになったことでしょう。
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バタフライナイフのてんまつ