地域での備え
救援・救助
震災の経験を通して、いざという時のために、日頃から隣近所の人々と話し合って、協力体制をつくっておくことの大切さを学びました。お年寄りや身体の不自由な人、ケガ人などに声をかけ、みんなで助け合う気持ちを忘れてはなりません。「地域の安全は、地域で守る」ということが基本です。日頃から地域で、防災訓練などを実施し、もしもの時に備えておくことも大切です。
大震災発生の直後、私の頭に浮かんだことはまず、地域内から絶対に火災を発生させてはならないという一事でした。そのため私は自宅の半壊はかえりみず、防災服、安全帽で身を固め、マイクを持って地区内全域を回って、火の元の確認を呼びかけた。と同時に、ガス暖房や湯沸かし器、電熱暖房器具等、使用した状態でスイッチを切り忘れて避難した人があったため、私は無人状態の家屋へ立入りました。元スイッチを切った家も数戸ありましたが、発見が早く事なきを得ました。平素から私たちは自治会活動の中で、防火、防犯、防災は重点的に取り組んでいます。そのため万一に備えて、地域内にABC消火器50本と防犯街灯19灯を常設、毎年1回は防火消防実技訓練等も実施していました。私は今度の大震災を契機に教訓として得たものは、大多数の人達は、万一の場合、自分自身の安全をまず最優先に考えるため、直感的に、その場所から避難しようとする自己防衛の意識が働くものである。日常生活の中では誰でも、防火、防災の重要性は認識し理解されてはいます。しかし、万一の場合、自分自身の安全と同時に、他人の安全、周囲の人たちに絶対に迷惑をかけない実践行動が最も肝要であることを、あの忌わしい大震災の教訓として得た次第であります。
(垂水区、76歳、男性)
短時間で住民に情報を伝達するためには「メガホン」を多いめに自治会が準備すること。
(兵庫区、男性)
平素から考え対策を立てておくこと。自治会組織の活動を円滑にし、人間関係を大切にする。特に高齢化の時代ゆえ、不時の災難事に備え、組織内の方々の連絡先を確認する。阪神大震災では避難先は地域内の学校等が一次の避難先となりましたが、収容人員等で制限があり、第二次・第三次と考えておく必要があると感じました。私たちは、この避難先については、普段からの近隣協力が生きて、200名余りの罹災者が約2週間、近隣企業から、地下駐車場の提供を受け、助かり、今でも皆さん感謝の気持ちは忘れていません。地域内には亡くなられたり生埋めになった方もありましたが、救出のため、自治会等組織で次のものを常備しておきたいと痛感しています。ノコギリ、バール、懐中電気、携帯ラジオ、非常食等、併せて防災マップの作成。そして、「いざという時」を忘れず、二次・三次の避難先を考えて、平素より地域内の企業との交流、誠心誠意のお付合いをこころがけたい。
(兵庫区、75歳、男性)
阪神大震災発生の当日未明。兵庫区の松本地区より火の手があがり、遅々とはかどらない消火活動の中、炎は会下山地区(松本地区の北側)にも達した。私の教え子の一人の自宅にも火は燃え移ろうとしていた。入り組んだ道路事情もあり、思うように作業は進まない状況に、教え子の友人がある行動に出た。野球部に所属するその友人は、どこからか小さなビニール袋を調達してきた。近くの井戸水から汲み上げた水をそのビニール袋に入れて端をくくり、ボールのようなものを作り上げた。そして、延焼していない友人宅の壁や炎の最前線めがけて投げつけたのである。それを見たクラスメイトや野球部員は一斉にそのボールを作り、次から次へと炎に投げつけるという消火活動を行った。何時間にも及ぶ死闘の末、風向きの加減もあり、教え子の自宅は延焼を免れたのである。『ビニール袋消火ボール』、実に有効な消火につながる道具となった。
(三田市、35歳、男性)
情報伝達
震災発生から、物資の供給や給水車などの、日常生活に関する身近な情報は主に口コミで流れたようです。正確な情報を把握しておかなければ、次の行動への判断を誤ることにもなりかねません。地域での情報伝達手段のあり方をあらためて考えておく必要があります。
身近な情報収集が出来なかったので、地域での伝達のあり方について良い方法があれば不安感がやわらいだのではないかと思っています。
(兵庫区、65歳、女性)
阪神・淡路大震災で痛感したことは、災害に見舞われたときに、真っ先にほしいのは正確な情報だということ。正確な情報が得られれば不安や焦りが和らげられ、次の事態に対処する心構えもできる。そこで、1)起こった災害がどのようなものか、2)避難の必要があるのかどうか、そして安全な避難場所はどこか、3)ライフライン、特に飲料水の確保はどうすればよいのか、4)鉄道や道路の状態はどうなっているのか。ラジオ、テレビなどによる情報は報道として現況の伝達が中心であるが、市民が求めるものは、それプラス、地域ごとの詳細な情報であろう。それには行政当局からの迅速な情報がどれだけ必要であり、かつ心強いものかということである。それにもまして、住民どうしの情報も重要である。そのために、日頃から、地域住民の融和と親睦を目的とする自治会などの組織の活動に積極的に参加することも、おおいに役立つであろう。平時から、災害時の情報をいかに、正確かつ迅速に地域住民に伝達できるかを心掛けておく必要がある。
(長田区、61歳、男性)
突然の災害に混乱は当然のことながら、日がたつにつれ、食料品の支給とか、水の補給とか、周りの口こみで知る状態で自治会からの連絡等は全然なかったように思われます。もう少しきめ細い連絡網があったら、隣近所の人とも平等に分け与えられたものと思います。このごろは、地域のふれあいまちづくりと盛んにいわれておりますが、人と人とのふれあいはその人によってずいぶんむずかしいものと思います。こんなことは二度とあってはならないと思いますが、身近な情報収集が一番頼りになると思います。
(兵庫区、68歳女性)
学校での避難の時、各教室の前に名前、住所がわかるようにすると良かったのではないかと思います。(会いたい人をさがすのにたいへんでした)。
(中央区、52歳女性)