生活用水


  震災の前日においしい水(布引の湧き水)を2リットルのボトルに6本汲んできておりました。翌朝震災になり、飲み水がないと近所でさわいでおられ、早速持って行き、皆さんに飲んでいただきました。しかし、断水が続き、トイレに流す水もなく、風呂水(前日の残り湯)を流したりしましたが、底をつき、近所を探し回って朝日湯さんが地下水を分けて下さっていると聞き、バケツ1つ持って頂きに行きました。若いお兄さんが寒いのにホースを1日中持って皆に分けて下さっていました。本当に有難く思いました。我が家には小さいバケツ1つしかなく三階まで階段を上がるのが大変で、水を入れて運ぶブリキ缶と台車を近所の方に貸していただき、風呂場に置いていました。市からの飲料水は1度車が通り過ぎて行っただけでした。朝日湯さんが破損した家で燃料を集めて風呂をわかして下さり、雪の降る寒い日に、朝から200人程並び、38日振りに風呂に入った時は「地獄で佛に会う」とはこのことかと生きた心地がしてとても有難かったです。

(中央区、70歳、女性)

  震災という大きな災害にあった時に、普通に生活している時には絶対思い付かなかった知恵がありました。まずお風呂の水がこんなに役に立つとは思ってもみなかったです。たまっていた水をトイレなどに使用し、なくなったら水をもらってきてお風呂にためて使用していました

(須磨区、19歳、女性)

  家屋に大した被害もない私どもでは何も言えませんが、水が長時間出なかった時に、風呂桶が前夜の水で満たされていたことは助かりました。トイレはもちろん、洗面にも少々我慢して使いました。トイレはどこでも水洗トイレが使用不能になりましたが、「水が無ければ使えない」ということをまず考えるべきだったと思います。水の大切さを常日頃、知っておくようなキャンペーンがほしいですね。

(須磨区、66歳、女性)

  避難先として学校へ行きましたが、断水下の共同トイレの状態には閉口してしまいました。文化的生活も断水すればこんな状況になってしまうのかと、改めて考えさせられました。もちろん水だけに限らず、文明の名のもとに生活しているすべてのものが、その源を断たれると、こうも大きな影響を及ぼすのかと、頭では解っているけど、実際に直面してみると、何も分かっていないというか、心の準備が出来ていないことに気づかされました。今夜も我が家では、風呂の水は浴槽の八分目ぐらいまで張っています。

(長田区、56歳、男性)

  震災から5年目を迎えましたが、水道の水が止まってしまったことが大変困りました。幸い我が家には昔(明治時代)からある井戸が非常に役に立ちました。井戸の地下水は深く、昔から良質の水がわき出ていました。23年前に家を建て替えた時から、井戸をさらえて底からわきでる水を毎日使ってきたおかげで、あの時こそ近所の人々にも重宝され、分けあって使いました。あの時の水のありがたさは忘れることが出来ず感謝しております。思いますに、もしもの災害の時に地域に1本地下水のポンプがあったらと痛感いたします。

(西区、64歳、男性)

  浴槽の水張りは、夫の意向で浴槽はその日のうちに掃除をし、新しい水を張っておくことになっていた(夫は過去に、地震にあったことはないが、必ず役立つからと常日頃から言っていた)。

(灘区、45歳、女性)

  私は六甲アイランドのあるビルに勤務していた。平常は、美しく明るい快適な空間のある都市として定評があったが、大地震により、瞬時にあらゆる苦難に襲われたのは多くの市民と同じです。その中の体験から得た話を述べたい。水道の断水により、住宅・ビル・事業所等の水洗便所等が使えなくなったとき、助かったのは島の中央にある大きな泉水(リバーモール)であった。夏は子供たちの水泳や遊び場所、春秋は散策や憩いの場所として親しまれた泉水(リバーモール)、ちょうど冬季で水量は減じていたが、トイレ用水や洗濯ものなどに多くの人が汲み出しました(24時間いつでも採水できた)。

(須磨区、68歳、男性)

  内径3mmぐらいのビニールのチューブでサイホン活用しました。水道なみの便利さ、両手も使え、少しの水で食器洗いなども快適でした。

(垂水区、男性)

  震災前は一戸建ての家に住んでいましたが、その頃から雨どいを地面よりいくらか上で切り、その下にバケツを置いて雨水などをため、植木等の水やりに利用するようにしていました。地震の時、1日分くらいのトイレなどの水は、そのバケツの水で賄えましたし、雨が降ればバケツ何杯分もの水が簡単にたまりました。ささいなことですが、とても簡単で水の節約にもなることですので、ためされてはいかがかと思います。

(須磨区、37歳、女性)

  バケツの水の運び方について:水の入ったバケツは重いですが、「両手にバケツ(=やじろべえ状態)」は意外と楽です。バケツが2個ある時は、2人で1つずつ運ぶのではなく、1人で2つを持って時々交代すると楽に運べます。

(須磨区、34歳、男性)

  給水車からバケツに水を受け取る時に、ビニールの袋をバケツの中に入れて上部をくくって持ち帰るとほこりが入らず、持ち運ぶときもこぼれなくて非常に役立った。

(兵庫区、男性)