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1859年6月、スイスの青年がイタリア統一戦争の激戦地ソルフェリーノにほど近いカスティリオーネという町にさしかかりました。
そこで、戦争による悲惨な光景を目のあたりにした青年は、町の人々や旅人たちの協力を求め、傷病兵の救護に献身しました。
「傷ついた兵士は、もはや兵士ではない、人間である。人間同士としてその尊い生命は救わなければならない」との信念に、青年は燃えたのです。
旅を終え、スイスに帰った青年は、自ら戦争犠牲者の悲惨な状況を語り伝えるとともに『ソルフェリーノの思い出』(UN SOUVENIR DE
SOLFERINO)という本を著し、この中で国際的な救護団体の創設を訴えました。この青年こそ、赤十字の創設者アンリー・デュナンその人です。
このデュナンの訴えは、ヨーロッパ各国に大きな反響を呼びました。やがて、スイスのジュネーブに赤十字国際委員会の前身である5人委員会が発足し、1863年10月には、ヨーロッパ16カ国が参加して最初の国際会議が開かれ、赤十字規約ができました。そして、翌1864年8月には、スイスほか15カ国の外交会議で最初のジュネーブ条約(いわゆる赤十字条約)が調印され、ここに国際赤十字組織が正式に誕生したのです。
その後、人道・博愛の精神を根底にした赤十字は、各国でつぎつぎと受け入れられ、2001年6月現在、世界178カ国に設立されており、日本赤十字社はその中の一つです。
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