≪東南海・南海地震≫


平成17年1月12日に政府地震調査委員会は、今後30年以内に起きる確率が東南海地震は約60%、南海地震は約50%との結果を公表しました。

海沿いでは、高さ10メートル以上とも言われる大規模な津波の危険

 東南海・南海地震による死者数は最大2万7000人、重傷者数は3万人とする政府の中央防災会議の専門調査会がまとめた被害想定案が平成15年4月17日明らかになった。経済的損失も最大70兆円に達し、東海地震の被害想定や阪神大震災の被害をはるかに上回る予想。政府は17日の調査会で被害想定を正式決定し、和歌山県や大阪府など関係自治体と6月末をめどに調整し自治体などの防災対策に反映させる。
 昨年12月、地震の揺れによる建物の倒壊によって最大8000人が死亡するとする想定結果を発表。今回は新たに津波や火災などによる死者数も加えた。
 被害想定は、東南海地震と南海地震が同時にマグニチュード8・6で起こり、東海から四国の太平洋岸を中心に震度6強以上の揺れ、5メートル以上の津波が起きたとした。

 最も死傷者が多いのは、阪神大震災の起きたのと同じ冬の午前5時で、死者数は津波では避難率が71%だと2000〜4000人、避難率が20%だと5000〜10000人で、地震によって水門の閉鎖が不能な場合は8000〜15000人に増える。 火災では風速によって100〜600人、急傾斜地の崩壊では1000〜3000人と算定。倒壊被害も合わせ水門が閉められなければ8000〜27000人、閉めれば7000〜22000人と想定。重傷者は10000〜30000万人、要救助者は20000〜50000人に上るとした。



 静岡県の浜名湖沖(駿河湾から四国)四国沖まで延びる南海トラフで100〜150年周期で繰り返し発生するマグニチュード(M)8規模の南海地震と東南海地震について、平成17年1月12日に政府地震調査委員会は、今後30年以内に起きる確率が東南海地震は約60%、南海地震は約50%との結果を公表しました。2つの地震は同時か東南海〜南海の順番で連続して発生する可能性が高く、個々に起きた場合では南海がM8.4、東南海がM8.1前後、同時だとM8.5の最大級規模になると推定しています。
南海地震の震源域は、高知・足摺岬から和歌山・潮岬沖50〜100`。過去500年間に5回発生した可能性があるが、特定できた地震は1605年以降の四回。最新の発生は1946年12月、比較的小規模でM8だったが、兵庫県内でも揺れや津波で死傷者約140人、西日本一帯で1000人以上の死者を出した。
 東南海地震の発生確率は30年以内が50%、50年以内が80〜90%。さらに東よりを震源域に起こる東海地震との関係も一部では懸念され、「このまま発生しないと次の東南海地震と同時発生する可能性が出てくる」と適当な時期に再検討する必要性を指摘した。
 地震調査委員会は、1498年以降の記録を基に、太平洋岸から沖合50〜150キロまでが次の地震の震源域になると予想。前回の2つの地震の規模がそれ以前より小さかったことから、次の地震は過去の平均より短い間隔で起きると推定した。
 浜名湖沖から、和歌山県潮岬沖を震源域とする東南海地震は、最近では1944年に起き、2年後の46年に潮岬から、高知県足摺岬沖を震源域とする南海地震が発生。東南海は中部、近畿地方、南海は西日本一帯で家屋倒壊や津波でそれぞれ1000人以上の死者、行方不明者が出た。
 南海トラフ沿いの地震は被害範囲が広いのが特徴で、1946年の南海地震では日本海側や九州でも死者が出ており、津波も関東から九州まで及ぶことがある。被害想定地域には日本経済を支える太平洋ベルト地帯が含まれており、人命や経済への被害が大いに懸念されている。


<東南海地震と南海地震の区別>

 東海から四国にかけた太平洋沿岸で100〜150年周期で大被害をもたらすM8クラスの巨大地震。震源域が潮岬沖より東の場合を東南海地震、西を南海地震と呼ぶ。南海トラフで沈み込むフィリピン海プレートに押された陸側プレートがはねかえって起きる。古くは白鳳時代の684年に起きた記録もある。両方が同時に起きた1707年の宝永地震(推定M8.6)の死者は2万人以上とされる。

東南海・南海沖地震震度予想図