2003.12.4
「見瀬丸山古墳がすごい!」

   
               見瀬丸山古墳

 明日香村に隣接する橿原市に「見瀬丸山古墳」という前方後円墳がある。この大きさが半端でない。全長318メートル。日本の古墳で6番目の大きさだというが,その割に有名でないのはなぜだろう。かくいう私も,つい1ヶ月前までその存在を知らなかった。
 この古墳がすごいのは,大きさだけではない。巨大古墳には必ずと言っていいほど森のように木々が茂っている。教えてもらわなければ,それが古墳なのか森なのか分からない。しかし,丸山には後円部以外にはほとんど木が生えていない。よって,古墳の表面が段々畑のように階段状であることが極めてよく分かるのだ。
 加えて,この古墳への立ち入りは,後円部以外は自由なのだ。巨大な古墳でありながら立ち入り自由というのも珍しい。これには理由がある。丸山は天皇陵でないからだ。一方,皇族系の古墳は一切立ち入りができないことになっている(研究者の調査活動さえ許されていない)。しかし,これほど大きな古墳である。本当に皇族系の古墳ではないのだろうか。実は,その辺はかなり曖昧である。そもそも天皇陵の指定はかなりいい加減なものである。極端なことを言えば,世界一巨大な前方後円墳「仁徳天皇陵」も,正確に言えば「“伝”仁徳天皇陵」である。100%そうであるという保証はない(ただ「仁徳天皇陵」に関しては,きっと正しいに違いない)。事実,丸山にも「欽明天皇陵では?」「神武天皇陵では?」という説がある。いずれにしろ“現在は”天皇陵でないおかげで,前方部に立ち,自由に見学することができる。
 正直,私はこの古墳のてっぺんに立ったとき,心から感動した。。。すさまじく広い! これぞ日本で6位の大きさを誇る古墳! まさに問答無用! その迫力といったら,言葉にできない。。。前方部より南を見ると木の茂った後円部があり,北を見ると大和三山のひとつ,畝傍山がキレイに見える。実に爽快な気分だ。
 妙に私は,この古墳にロマンを感じてしまった。誰が葬られているのか。何年がかりで造られたのか。人々はどのような思いで,その造成に参加したのか。分からないことはたくさんある。ただ,その姿を見ただけで,古代の人々のスケールの大きさは十分過ぎるほど感じることができる。
 私は職業柄,「これを子どもたちに見せてあげたいなあ」と思う癖があるのだが,この丸山などその典型的な存在だ。「古代の人って,すごいんだなあ」と素直に感じることは,子どもたちにとってすごく有意義なことではないかと,私は思う。

Homeへ戻る