2003.12.18
「天知,地知,子知,我知」

 昔々,中国でのお話。清廉潔白で知られる楊震(ようしん)という人物がいた。ある郡の長官に任命されて赴任する途中でのこと。かつて目をかけてやった王密(おうみつ)という男が面会を求め,世話になったお礼だと言って金を贈ろうとした。むろん,今後とも“よろしく”という意味である。楊震が断ったところ,王密は,
「こんな夜更け,このことはあなたと私の2人しか知りませんから」
 と言って置いていこうとする。すると楊震は,
「誰も知らないことはあるまい。まず,天が知っている,地が知っている,それに,そなたも知っているし,わたしも知っているではないか!(天知る,地知る,子知る,我知る)」
 と怒った。
 王密は恥じ入って引きさがったという。

 以上,中国の古典『十八史略』にある故事です。「正直」について子どもたちに語る場合,ときにはこういう“事例”を通して子どもたちに話してあげると,子どもたちの心に少しでも残りやすいのではないかと思います。

 『中国古典一日一言』(守屋洋著/PHP文庫)という面白い本があります。日々の生き方,リーダーとしての心得等,珠玉の言葉の数々が収められています。一部ご紹介します。
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 驥は一日にして千里なるも,駑馬も十駕すれば則ちまたこれに及ぶ(『荀子』より)
→鈍才の馬でも,十日間走り続ければ名馬の一日の行程に追いつくことができる。

 その長ずる所を貴び,その短なる所を忘る(『三国志』より)
→人の短所には目をつぶって,もっぱら長所を評価する。

 綸言,汗の如し(『礼記』より)
→トップの言葉は,一度口から出てしまうともはや取り消しがきかない。

 善く将たる者は愛と威とのみ(『尉繚子』より)
→立派なリーダーになるためには,思いやりと厳しささえあればいい。

 兵を用うるの害は猶予最大なり(『呉子』より)
→軍を率いる将帥(=組織のリーダー)にとって最大の欠点は,優柔不断である。

 難に臨んでは苟も免れんとするなかれ(『礼記』より)
→困難にぶつかっても,逃げ腰にならないで真っ正面から立ち向かっていけ。
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 これらの言葉,学級担任としてもとても勉強になります。

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