2007.1.2

「映画『犬神家の一族』を観て」


私はうれしかった。

昨夜、映画「犬神家の一族」を観に行った。
監督は市川崑、主演は石坂浩二である。
この作品は30年前の作品のリバイバルという。
そのときと監督・主演は変わっていない。
私は前作をほとんど知らない。
わずかながらにテレビで観たことがあったが、覚えているのは佐清(すけきよ)をあおい輝彦が演じていたことくらいであった。
正直、それほど期待していたわけではない。

この映画は、よかった。
よかった、というより、うれしかった。

まず、映像の「古めかしさ」がうれしかった。
今はデジタル映像全盛で、必要以上に映像が美しい。
スポーツなどを観るときは、それはまことに素晴らしいことであろうが、映画となるとまた話は別で、綺麗すぎて趣に欠けてしまうこともよくある話である。

石坂浩二が、走った。
思わず、うなった。
何やら、とても懐かしかった。
石坂浩二の「金田一」をほとんど知らないはずなのに、悲しくなるほど懐かしかった。
石坂浩二は、やはりうまいのだろう。
おまけに、富司純子などもやけにうまい。
私は富司純子が嫌いなのだが、あれはうまいといわざるをえない。

古きよき日本のよさが出ている気がして、うれしかった。
設定は昭和22年である。
その雰囲気がよく出ている。
登場人物のしゃべり方なども、朴訥(ぼくとつ)であったりしてよい。

話もさすがにおもしろい。
すぐに横溝正史の原作をも読みたくなった。

石坂浩二はもう「金田一」をやらないのだろうか。
やらぬのは、何とも惜しい気がする。

Homeへ戻る