〜孫子の兵法に学ぶ〜
将とは,智,信,仁,勇,厳なり
(将軍とは,智,信,仁,勇,厳の五条件を満たす人物でなければならない)
以って戦うべきと以って戦うべからざるとを知る者は勝つ
(彼我の戦力を検討して,戦うべきか戦わざるべきか,的確な判断をくだせる者が勝利を収める)
善く戦う者は,勝ち易きに勝つ者なり
(戦上手は,無理なく自然に勝つ)
善く戦う者は,これを勢に求めて,人に責(もと)めず
(戦上手は,なによりもまず勢いに乗ることを重視し,一人一人の兵士の働きに過度の期待をかけない)
善く戦う者は,人を致して人に致されず
(戦上手は,相手の作戦行動に乗らず,逆にこちらの作戦行動に乗せようとする)
その疾(はや)きこと風のごとく,その徐(しづ)かなること林のごとく,侵掠すること火のごとく,動かざること山のごとし
(疾風のように行動するかと思えば,林のように静まりかえる。燃えさかる火のように襲撃するかと思えば,山のごとく微動だにしない)
将,九変の利に通ぜざれば,地形を知るといえども,地の利を得(う)ること能(あた)わず
(将たる者が臨機応変の運用に精通していなければ,たとい地形を掌握していたとしても,地の利を生かすことができない)
智者の慮(りょ)は必ず利害に雑(まじ)う
(智者は必ず利益と損失の両面から物事を考える)
必死は殺さるべきなり,必生(ひっしょう)は虜(とりこ)にさるべきなり
(将たる者がいたずらに必死になれば,討ち死にをとげるのがオチだ。また,なんとか生きようとあがけば,敵の捕虜になってしまう)
軍擾(みだ)るるは,将重からざるなり
(軍に統制が欠けているのは,将に重みがないからである)
卒(そつ)を視ること嬰児(えいじ)のごとし,故にこれと深谿(しんけい)に赴(おもむ)くべし
(将帥にとって兵士は赤ん坊と同じようなものである。赤ん坊と同じように可愛がってこそ,深い谷底までも行動を共にしてくれるのだ)
兵の情(じょう)は速(すみや)かなるを主(しゅ)とす
(作戦の要諦は,何よりもまず迅速を旨とする)
軍に将たるのことは,静にして以って幽(ゆう)に,正(せい)にして以って治なり
(軍を統率するにあたっては,冷静な態度で,適切な指示をくださなければならない)