ベトナム!ベトナム!ベトナム!

《8月10日(土)》
 いよいよベトナムへ旅立つ。7:00頃,名古屋空港着。海外旅行は今回で2回目。前回はタイへ。前回は何がビビッたって,初めての飛行機がビビッた。今日は2回目だから,前回よりは余裕あり。まずは9:20発の中華航空機で台北へ。中華航空って,今年も墜落してるんですけどね。でも,そんなに頻繁には落ちないでしょうに。。。ただ,離陸の気分の悪さは相変わらず。浮き上がって10秒くらいはイヤな感じだね。ジェットコースターが苦手な人は,あ〜ゆ〜のダメだと思う。台北までは3時間。暇だ。機内の映画は「スパイダーマン」。見たかったけど見れなかったから,ラッキーと思ったけど,言葉が分かんない(字幕が中国語)。仕方なく映像だけ楽しむ。途中,機内食が1回あり。調子に乗ってワインを飲んだが,それはいけなかったかもしれない。頭が痛くなったぞ。それに,何となく揺れる機内。乗り物酔いする私にとっては曲者だ。何となく調子が悪いなと思ったら台北着。いつも思うけど,この空港からの景色はキライ。何も見えないんだ。早く飛び立ちたいな。
 13:05台北発。ホーチミンへは3時間半かかる。また暇だ〜と思ったけど,そんなこと言ってられなくなった。機内食を食べたが,珍しく残した。どうも調子が悪いぞ。頭が痛い。おまけにトイレに立ったとき,機内のテレビに思い切り頭をぶつけた。恥ずかしい以上に痛い! とにかく気分が悪いぞ。吐き気もしてきた。頭痛・吐き気。。。う〜ん,飛行機に酔ったのか? あ〜,やばい,やばい。「早く到着してくれ〜!」と心の中で叫んで。。。もうすぐ到着というところで,眼下にベトナムの街並みが見えてきた。でも,こっちは余裕がない。早く着陸してほしい。。。15:35,ホーチミンにやっと着いた。飛行機から降りると,頭痛・吐き気は急に楽になった。やはり飛行機酔いだったのだろうか。
 空港を出ると,出迎えのガイドさんとご対面。若いベトナム人女性。話す日本語が分かりやすい。“誠実な日本語”って感じかな。好感を持てる人でよかった。ガイドさんと共に車でホテルへ。ホーチミンの第一印象「タイと雰囲気が似てるな〜」。確かに似てる。でも,何が違うかといえば,バイクが異様に多い。最初は「バイク,多いな〜」って感心してたけど。。。多い,多すぎる! ってゆ〜か,無謀すぎる! ってゆ〜か,何なんだ,これは!!! 車のまわりはバイク・バイク・バイク! 男も女もバイク! 老いも若きもバイク! 2人乗りなんて当たり前,ときには3人・4人乗り! そんなバイクが一斉にGO STRAIGHT! まるでバイクの洪水! しかも,そこを人が平気で横切ろうとする! アンビリーバボー!!! 女性なんかは,よく日本の暴走族がやってるようなマスクをしている。聞けば,ホコリがすごいからだという。
 いきなりビックリしながらホテル着。活動の拠点となるこのホテルは,☆☆☆☆の「サイゴン・プリンス・ホテル」。なかなかいいホテルだ。
 部屋に荷物を置き,休憩したらもう夕方だ。早速夕食へ出掛けなくては。島原先生とガイドブックをパラパラめくり,決めたのはホテルから800mのところにある「ブルー・ジンジャー」。ベトナム料理のお店だ。入り口は小さいが,店内は奥行きがあり,いくつものエリアに分かれている。照明に工夫があって,とっても雰囲気のいいお店。女性と来ると最高だと思うね。ベトナム料理,楽しみにしていました! タイでは,食べれたのはタイ米のチャーハンだけ。タイ料理の前に完敗でした。ベトナム料理はいかに。注文したのは,揚げ春巻き,エビの揚げ物,脱皮ガニのてんぷら。ビールはハイネケン。もっと食べたかったけど,体の調子がイマイチだったから控え目にした。お味は。。。う,うまいぞ! これはうまい! 揚げ春巻きなんて,とくにおいしいよ! ビールに最高だ! よかった,よかった,これで食事で困ることはなさそうだ。ビールは,ベトナムには「タイガー・ビール」というのがあるけど,今回は見合わせた。明日,チャレンジしてみよう。このお店,人のいい男性店員がいて,いろいろ面倒を見てくれる。食べ方とか親切に教えてくれるんだ。日本語も少しなら分かるみたい。お勘定のとき「ねえねえ,聞いて。お勘定をお願いします」って英語とベトナム語でやったら,ベトナム語の発音も直してくれたよ(よほどひどい発音だったんだろうね)。いや〜,いい夕食でした。味よし,人よし,雰囲気よし! しかも,2人で約2600円。安いでしょう? ちなみに,ベトナム料理の最大の特徴は付けダレ。注文するたびに,その料理に合った付けダレが小皿に入って運ばれてくる。これがおいしさの秘訣だね。
 お店の帰り,サイゴン川沿いを散歩。川にはキレイに電飾された船が浮かんでいる。美しいね〜! 女性と見ると最高だと思うね(こればっかり)。今日はこれまで。機内では苦しかったけど,ベトナム料理はよかった。まずは順調な滑り出しかな?
《8月11日(日)》
 4:00起床。ベトナムに来ても早起きに変わりなし。まだ時間があるので,ホテルの窓から外を眺めて,物思いにふける。。。ふりをする。。。7:00,ホテルでの朝食。バイキング形式だ。こ〜ゆ〜場合,翠は必ず食べ過ぎる傾向にあるから,注意しないとね。。。と思っていたが,やっぱり食べ過ぎた。
 今日は,午前中はガイドさんと市内観光。昨日のガイドさんと3人だけだから気楽でいい。まずは車で「統一会堂」へ。
統一会堂(旧大統領官邸)/ 南ベトナム政権時代,独立宮殿と呼ばれた旧大統領官邸。1975年4月30日,解放軍の戦車がこの官邸の鉄柵を突破して無血入城を果たし,事実ベトナム戦争は終結した。現在は統一会堂と呼ばれ,国賓を迎えるときや会議に使われるとき以外は一般に公開されている。
ベトナムはかつて南北に分かれていた。ソ連・中国が支援した北ベトナムと米国が支援した南ベトナムが戦ったのがベトナム戦争(1965〜1975年)。統一会堂は,南ベトナムの首相官邸だった。ホーチミン最大の見所と言っていいだろう。
 車で前庭を通過し,建物の前まで乗りつける。降りるとすぐに入り口が。建物は地上5階建てだけど,地下もある。地上と地下では性格が全く違う。地上は首相の公務を遂行する場所,そして首相とその家族が住居する場所だ。大会議室あり,応接室あり,宴会室あり,国書呈上室あり。。。とくに素晴らしいのは国書呈上室。国書(法案など)を首相に提出する部屋だそうだけど,絨毯が敷いてあり,大きな漆画が掲げられていて,会堂内で最も豪華な部屋と言える。屋上にはヘリポートまである。これが地上の“表の顔”。地下は一言で言えば“軍事基地”。周囲に地図が貼られた作戦会議室がいくつかあり,それらは細い通路で通じている。電話などの通信機器も目につく。爆撃を受けた場合,首相はこの地下で指揮をとるわけだ。まさしく軍事施設。ここへ来て,初めてベトナム戦争を強く意識した。前庭には「無血入城」を果たした当時の戦車も展示されていた。いきなり戦車を目の当たりにしても,現実とのギャップは簡単に埋められるものではないね。
ヴィンギエム寺(永厳寺)/ 日本留学から帰国した僧が開いた寺で,1964〜71年にかけてベトナムの伝統的な仏教建築と,最新の建築技術を駆使して建てられた。南部では最大規模の寺。
 中には,位牌らしきものが並べてある一角があったんだけど,1つ1つに顔写真が貼ってあんの。ふ〜ん,これがベトナム式か。。。そう思ってたら,いきなり太鼓が鳴り出して,大きなお経が聞こえてきた。これから何やら儀式を行うらしい。
サイゴン大教会(聖母マリア教会)/ 19世紀末に建てられた赤レンガ造りの教会。2つの尖塔を持つ美しいカトリック教会で,日曜日のミサは熱心なクリスチャンでいっぱい。
 この教会がまた大きいんだ。天を突くように伸びてるって感じ。奥行きもある。ちょうどミサの最中で,中は人がいっぱいだった。
ベンタイン市場/ 生鮮食料品から衣料,雑貨まで何でも揃う,ホーチミン市最大の市場。隅から隅までベトナムのにおいがぎっしりと詰まったところだ。
 ここで,思わずタイを思い出した。「ウッ」。。。このにおい,タイの市場と全く同じにおいだ。「ウウッ」。。。私はこ〜ゆ〜の,苦手だ。早速頭痛が。。。早く出た方がいい,これは。島原先生はここでコーヒーを買っていた。私はそんな余裕など全くなく,スリに気をつけ,においに気を取られ,その雰囲気を楽しむことはできず。でも,こ〜ゆ〜のも見ておいた方がいい。現地の人の活気がよ〜く伝わってくるから。
 この後「第一」「ミス・サイゴン」というお店へ。「第一」では,自分と弟のためにジッポライターを購入。ベトナム戦争時,米軍兵士が使用した本物と言うが,間違いなく偽物だと思う。でも,欲しいから買う。「2つ買うから」とディスカウントしてもらって,2つで50ドル。とっても汚くて,とってもそれらしく見えるジッポ。大切にしよう。ここの店員さんは日本語がかなり上手。だから買い物も安心してできる。「ミス・サイゴン」では,佐々木さんという若い日本人男性店員に遭遇。こちらへ来て3ヶ月だそうだ。「ホームシックになりませんか?」って聞いたら,「今のところは。でも,言われたらいつでも帰りますよ」だって。
 昼食は,昨夜の「ブルー・ジンジャー」。あの親切な店員さんはいなかったけどね。今回は,ベトナム風うどん「フォー」と生春巻きを食べた。共にまずまず。でも,春巻きは揚げた方が断然おいしいと思うね。
 午後からは完全自由行動。そこで,戦争証跡博物館へ行くことに。
戦争証跡博物館/ ベトナム戦争の歴史を,実際に使用された戦車や大砲,爆弾など戦争遺物,写真などの展示で綴る博物館。目を覆いたくなるような凄惨なパネルや,枯れ葉剤による被害状況の記録などの展示は戦争の傷痕を生々しく証明している。
 到着すると,30分ばかり待たされた。ちょうど昼休みだったようだ。博物館に昼休みなんてあるんだな。。。入場料1ドルを払って入場。入っていきなり正面に戦闘機や戦車の実物が展示してあって,そのまわりにはいくつかの建物がある。その建物を番号順に巡っていく。戦闘機は思ったより小さいと思ったね。戦車は「統一会堂」でも見たけれど,とにかく現代とのギャップは埋めがたいものがあるね。ちなみに,この戦車などが動いていたのは27年前。そして私,今,ちょうど27才であります。。。
 戦闘機などを見た後は,建物を1つずつ巡る。1つ目は,著名な戦争カメラマンが撮った写真がズラリ。でも,入った瞬間,心臓がズキリ。その写真,死体も何も写ってないんだよ。戦場に残された銃とヘルメットの写真。なのにこの迫力,この重さ。。。これがリアルな写真の力。。。日本人の戦場カメラマンとして有名なのは,沢田教一や一ノ瀬泰造(2人とも戦死)。沢田氏の写真はピュリッツァー賞を取ってるから,見ればすぐに分かると思う。一ノ瀬氏は映画『地雷を踏んだらサヨウナラ』(浅野忠信主演。この映画はオススメ)の主人公。その一ノ瀬氏の写真もあった。その先のことは,もう書けない。。。正直,見て疲れた。。。でも,見てよかったと思う。ベトナムへ来たら,一度は見なくちゃいけないと思う。ベトナム来てんのに,雑貨見て,ベトナム料理食べてるだけじゃ,そりゃ嘘だよ(なんて言ってるから,女の子に嫌われるんだ)。それにしても,今,ベトナム人は米国人に対してどんな感情を抱いているのかな。。。それがすごく知りたくなりました。
 疲れて帰ってきて,島原先生は休憩。でも,翠は買い物がしたかったので。。。珍しく単独行動である。1時間だけだけど。目指すは昼にも行った「第一」。さあ,まずそこまで行くのが大変ぞ。近いんだけど,道を横断する必要がある。。。
 ここでホーチミンの道路事情について。前述の通り,道は車とバイクであふれています。でも,ほとんどはバイク。女性も平気で2人乗りしています。信号は,あるところは守られていますが,ないところの方が多い。ってゆ〜か,信号あっても全然安全じゃない。だって,バイクがひっきりなしだもん。ホントにひっきりなし! 途切れない! しかも止まってくれない! ホーチミンのバイクは全然止まんないよ。とにかくGO STREIGHT! こんな道,横断できるかよ! でも,横断しないとどこへも行けないのです。で,現地の人はどうやって渡ってるかというと。。。フツーに渡ってるじゃん! これにはビックリだよ。女性だって無表情に平然と渡っていくんだから。カッコよすぎる。。。で,翠も仕方なく行くんだけど,やっぱり怖い。はねられたら死ぬもん! で,結局「渡らせろ,渡らせろ!」って呪文のようにつぶやきながら渡っていくの。渡り終えると,ホントにホッとするね。でも,おかしなもんで,これを繰り返すと道を渡るのが病みつきになるんだね。「こわ〜い! でも,渡りた〜い!」って感じ。ヘンだね。。。
 「第一」に到着。「あら,またいらしたの?」とは女主人らしき日本人。実は初日にも少し覗いたから,もう3回目の来店。今回はいろいろな人へのお土産を買わなくては。まずはお茶を物色していると,アオザイを着た若い女性店員が来てくれて,あれこれ説明してくれる。私は「これは英語を試すチャンスだ!」と思い,珍しく英語だけで話してみる。すると,片言だけど結構面白い会話ができるもんだね。その店員さんが「この人,ユーモアがあるワ」って言ったら,他の女の子も寄ってきた。とりあえず「皆さん,日本語がお上手ですね」とほめる。嘘じゃないからね。それから,いろいろな商品について説明してもらった。とくに初めの女の子は親切なんだ。ベトナム刺繍のお土産を買おうとして,「私のために選んで下さい」って言ったら,あれこれ真剣に選んでくれたよ。ベトナム刺繍,素敵ですよ。「これ,全部手縫いなの。難しいのよ。私はこれが好きだワ」と言って見せてくれた刺繍の絵。私も一目で気に入った。おまけに彼女まで気に入った!?
 この日の夜は,イタリア料理。ピザとパスタ,それに地元のタイガービール。タイガービールは飲める。きっと薄いんだと思う。よし,これから帰国まではタイガーで通そう。ピザとパスタもおいしかった。満足!
《8月12日(月)》
 今日はちょっと遠出しますぞ。ホーチミンから車で1時間半のクチへ。クチには,ベトナム戦争時にベトナム人が掘った長〜い地下トンネルがあるのです。長さは何と計200q! スゴイでしょう? 戦争時,米軍は枯れ葉剤をまいて,ジャングルを丸裸にしてしまいました。そして,隠れることができなくなったベトナム人が地下に潜ったわけですが。。。それにしても200qですからね。。。車で一路クチトンネルへ。ガイドさんは先日とは別の女性。とっても穏やかでやさしい人。車を1時間走らせると,周りの景色は全然違ってくる。ホーチミンは街だけど,ここは農村。自然の川あり民家あり。人々がフツーに暮らしている。クチはそんな農村にありました。まずは全体説明を受け,現地ガイドさんと共に密林の中へ。そこでは地下トンネルの一部が公開されています。すごいですよ,このトンネル。病院もある,台所もある,食堂もある,何でも地下で営めるのです。こんなの,人間はつくっちゃうんだね。人間の“生”に対する執念を強烈に感じました。
 途中,銃を撃たせてくれる場所があって。。。拳銃とライフル銃があったけど,せっかくだからライフル銃をブッ放してきました。怖かったな〜。おまけに,そこの人に「あなたは下手だ」と言われてしまいました。
 午後からは船に乗ってサイゴン川を渡り,ホーチミンの対岸へ。でも,こちらはとくに見所なし。すぐに戻ってくる。夕食まで時間があるので,最後の買い物に。行くのはやっぱり「第一」。だって“お友だち”がいるからね。お友だち,今日はますます親切だね。今日も花瓶敷きを選んでもらった。他の女の子も集まってきたから,日本語をいろいろ教えてあげた。この子たち,日本語・英語・ハングル語を勉強しているという。大したものだ。それに,ユーモアも解する。開高健が「ベトナム人はユーモアが好きである」と書いていたけど,真実かもしれない。みんな,いい店員になれるよ,きっと。あ〜,お別れするのが残念!
 最後の晩餐は「ブルージンジャー」にて。今日は例の店員さんもいる。店内は日本人でいっぱい。最後は何を食べようか。。。結局,私は魚の香味蒸しとシーフードの串焼きを注文。あっ,もちろんタイガーも。どれもこれもおいしい。おまけに今日は店内で演奏が。ベトナム古来の4つの楽器で奏でられるは日本とベトナムの音楽。「花」「上を向いて歩こう」には感動したな。いや〜,最高の夜だ。ベトナムって,ホントにいいですね!(水野晴郎調)
《8月13日(火)》
 今日は帰国するのみ。8時にホテルを出発。帰途も中華航空。11:25ホーチミン発。台北で乗り継ぎ,名古屋へ着いたのが20:30。ナンダカンダで帰宅したのは22:00。これにて私のベトナムは終了したのでした。今,私の机の上には,汚いジッポーと“お友だち”が選んでくれたベトナム刺繍があります。ジッポーを見ると,どうしても戦争のことを思い出します。そして,刺繍を見ると,“お友だち”の笑顔が今も目に浮かんでくるのでした。。。
ベトナム旅行で……
 ○一番エキサイティングだったこと  道路を渡ること!
 ○一番うれしかったこと        素敵な人にたくさん会えたこと,英語が通じたこと
 ○一番苦しかったこと         行きの飛行機で酔ったこと……
 ○一番おいしかった料理       揚げ春巻き