石上神宮





夜都岐神社の紅葉





崇神天皇陵





景行天皇陵





三輪山





大神神社
「山の辺の道」を歩く   MAP

 11月17日(日),日帰りで奈良へ行ってきた。有名な「山の辺の道」を歩きたかったのだ。実は高校生のときにも一度歩いているのだが,あのときはあまり気の進まない旅行だった。今回,なぜか無性に「山の辺の道」を歩きたくなり,思い立って1ヶ月半,やっとの思いで出掛けることができた。
 当日は5:00に起床。待ちきれずに目が覚めた感じ。まるで遠足の朝の子どもだね。すぐに着替え,ナップ1つ持って家を出た。名古屋までは名鉄で。名古屋からは新幹線で京都まで。普通なら近鉄で奈良へ直行すればいいのだが,できるだけ早く到着したかったから,今回は新幹線にした。
 新幹線の車中,本を読んでいたら,東から朝日が差してきた。とても眩しい。朝日を浴びるなんて久しぶりだな。とても清々しい気分だ。関ヶ原附近になると,俄然山々が近づいてくる。ここでどうしても目を奪われた。山が赤いのだ。紅葉真っ盛りである。う〜ん,とってもいいな。これだから秋は美しい!
 7:40京都着。JR奈良線で今度は奈良へ。JR奈良線から見た周囲の景色は田舎そのもの。のんびりしている。奈良ではまた乗り換え,最後は天理で降りた。
 天理からは,時間節約のためタクシーで石上神宮(いそのかみじんぐう)へ直行。途中,超ドデカイ建物を見かけた。そう,天理教教会本部だ。その大きさ,とてつもない。
 10分弱で石上神宮に到着。とりあえずは参拝だ。見ると,辺りにはかわいい着物を着た子どもたちがたくさんいる。そうか,ちょうど七五三の季節だったな。で,私も負けじと?手水舎で手と口を浄めた後,社殿の前に立ち,気を引き締めて「二拝二拍手一拝」をした(私,結構こ〜ゆ〜作法はきちっとしているのであります)。
 さあ,それではいよいよ「山の辺の道」のスタートだ。今回は,この石上神宮から三輪山にある大神神社(おおみわじんじゃ)までを歩く予定。全長約12q。天気の方は最高。あ〜,ワクワクしてくるな!
 この道,他にも歩く人が結構いて(40才以上と思われる人がほとんど),1人で来ている気がしない。いろんなグループに紛れ込んで,一緒に歩かせてもらった。私,歩くのはかなり速い方だが,今回ばかりは速く歩いてはいけない。ゆっくりゆっくり歩いて「山の辺の道」を満喫すべし!
 今回の私の持ち物は,地図とデジカメくらい。デジカメは,HPに写真を載せたいから。地図は,なくても標識が充実しているから,きっと困らないと思う。でも,あった方がいい。「この森,古墳かな?」がすぐにハッキリするから。この辺りはホントに古墳だらけ。だから,地図がないと,ただの森を「きっとコレ,古墳だよな」なんて勘違いしてしまう。逆に,ただの森だと思ったら,歴とした古墳だったりするしね。
 道は細い。ほとんど舗装されていない。そして,道端には“無人販売”がいっぱい。みかんや柿が出されていて,結構売れていたりする。私もいつもならジュースを飲むところだが,「『山の辺の道』にジュースは似合わないな」と思い,みかんを買って咽の渇きを癒すことに。う〜ん,なかなかいけますな。
 道はどんどん南下している。東側は全て山。西側は盆地。その関係で,この辺りはやけにため池が多い。これがないと,水が全部盆地へ流れてしまうのだろう。それにしても東の山々,綺麗だな〜。ほどよく紅葉もしている。こういった景色だけは,今も昔も変わらないはずだよね。
 石上神宮から2.5q歩くと夜都岐神社(よとぎじんじゃ)である。とても小さな神社だが,ここの紅葉は素晴らしかったな(写真参照)。さらに2q行くと手白香皇女衾田陵(たしらかこうじょふすまだりょう)に辿り着く。えらく長い名前だが,よ〜するに継体天皇の皇后「手白香皇女」の陵墓である。全長230bもある前方後円墳だ。とにかくデカイ! こんなのつくっちゃうんだから,人間ってすごいよね!
 通常はさらに南下するはずだが,私,特別にオプションをつけることに。一旦「山の辺の道」から離れ,大和神社(やまとじんじゃ)を参拝した。でも,この神社が期待外れ。名社と聞いていたが,参拝者はほとんどおらず,規模も小さい。何としたことか……
 というわけで,再び「山の辺の道」に戻ってきた。もうすぐ長岳寺なのだが,長岳寺は平安時代初期の創建。今回の旅には何となく似つかわしくないのでパスしよう。で,パスしたと思ったら,目の前に素敵な土手が見えてきた。とっても綺麗な土手で,何やら人がたくさん集まっている。これぞ第10代崇神天皇(すじんてんのう)の御陵。前方後円墳の全長は240b。周囲には堀があり,堀の周りの土手に人々はたむろしていたのだった。おまけにお弁当を食べている人もたくさん。その気持ち,よく分かるな〜。この辺り,とにかく様子がいい。そしてさらに,土手を歩いて反対側へまわると,その景色の素晴らしさ,のどかさといったら……とにかく最高である! これぞ「山の辺の道」!!!(写真参照)
 ちなみに,崇神天皇陵の東には櫛山古墳(くしやまこふん)がある。全長150b。双方中円墳という特殊な形をしている。天皇陵ではないので,ここは登ることができたが,古墳の段差がよ〜く体験できたよ。
 次は第12代景行天皇(けいこうてんのう)の御陵。これまた前方後円墳で全長290b! やっぱり周囲には堀があり,拝所は西側の国道沿いにある。この辺りから東を眺めると,そこにはかの有名な三輪山が……古代の人々は,この円錐形の整った形の山を神の宿るところと考え,祭祀の対象としていた。確かにその姿は美しい。
 私,この崇神天皇陵〜景行天皇陵辺りでは,思わず写真を撮りまくってしまった。他の人々も思わず足を止めている感じ。う〜ん,癒されずにはいられない……同じ奈良でも,奈良公園とは雰囲気が全然違う。時間の流れ方が全然違う。これ以上ないほどのんびりしている。あ〜,やっぱり来てよかったよ!
 道はさらに南下し,いよいよ三輪山へと向かう。ちょっとここらで足が疲れてきたが,構わないことにしよう。ナンダカンダで三輪山の麓に到着。ここからは麓を歩き続けることになる。まず参拝したのは桧原神社(ひばらじんじゃ)。この神社,神殿がない。三輪山自体が神体だからだ。この神社の近くには井寺池という池があって,ここから眺めると箸墓古墳(はしはかこふん)がよく見えるという。実際に行ってみたが,確かにその通りだった。箸墓古墳は全長280bの前方後円墳で,卑弥呼の墓ではないかとも言われている(私は違うと思うが)。時間の都合で行けないので,写真を撮るだけで我慢した。
 さあ,間もなくゴールである。狭井神社(さいじんじゃ)を通過し,最終目的地の大神神社に到着。この神社も三輪山自体が神体だから神殿がない。参拝客はかなり多い。七五三の子どもたちもあちこちに。もちろん私もしっかりと参拝してまいりました!
 これにて「山の辺の道」は終了。12qを約5時間かけて歩いた。いや〜,今回の旅には大満足! 素敵な時間を過ごすことができて,ホントによかった!