神武天皇陵






二上山






橿原神宮






高松塚古墳






天武・持統天皇陵






石舞台古墳






畝傍山


耳成山


天香具山






藤原宮跡
年末恒例ひとり旅〜飛鳥編〜   MAP

 12月23日(月),再度,日帰りで奈良へ行ってきた。奈良へは先月行ったばかりだが。。。ま〜,とことん突きつめるタイプなのですかな。今回行くのはズバリ「飛鳥」。先月行った「山の辺の道」から西南に10qくらいのところにある。大和三山(耳成山・畝傍山・天香具山)に囲まれたこの土地は,かつて日本の中心地であった。今回はその名残を探索することにした。
 今回も名古屋から新幹線で京都まで。京都からは近鉄で畝傍御陵前まで。到着時刻は9:10。今日は超速いぞ!
 畝傍御陵前で降りる。駅名の通り,降りたとたん目前に畝傍山が見える。畝傍山の北の麓には神武天皇陵がある。まずはそこからスタート。神武天皇は言わずと知れた初代天皇であるが,あくまで伝説上の人物である。おそらく実在はしていない。神話上では,畝傍山の東南(今の橿原神宮があるあたり)に宮(皇居)を構え,即位したことになっている(ちなみに建国記念日とは,神武天皇が即位したと言われる日である)。しかし,神話上の話なので,御陵の場所もずっと明らかにはなっていなかった。この地が御陵と“認定”されたのは明治に入ってからである。御陵への長い道を,小石を踏み踏み歩いていくと,周りの森はとても静かで,誠に厳かな雰囲気である。しばらく歩くとその先には大きな御陵が。明治に“再建”されたその御陵。よってその歴史は浅いが,何とも言えない荘厳さには息をのむ。
 御陵から南へ行くとすぐに橿原神宮だが,ちょっと寄り道を。畝傍山に登ってみることにした。どれくらい時間がかかるかと心配したが,標高199Mだし,お年寄りもたくさん登っているから,きっと大丈夫だろう。案の定,15分で山頂へ。ここからの眺めは思ったよりいい。今日はとくに山々の麓が霞みがかって“いとうつくし”。西を見るとふと目にとまった山が。あまりに形が美しい。きっといわれのある山であろう。早速調べてみたら,二上山であった。やはり名山はそう呼ばれるにふさわしい品格を備えているものだと感心した。北東を見ると,さきほど行った神武天皇陵の先にこれまた形のいい小山が。耳成山である。これまた趣ありて“よろし”。
 下山した後はすぐに橿原神宮へ。祀られているのは神武天皇。これまた明治の創建だから歴史は浅い。しかし,立派な建物だ。小石をジャリジャリ音させるのが何とも心地よい。外拝殿の前に立ち,内拝殿を見る。文句なく美しい! とても清々しい気持ちで参拝する。今日は結婚式がある模様。巫女さんが忙しそうに立ち回っていた。
 さて,ここからは電車で2駅南へ。その名も「飛鳥駅」である。普通なら下車したとたん,貸自転車のお世話になるのだが,今回はとりあえず借りないことに。そのまま歩いてまずは高松塚古墳へ。高松塚古墳,名前だけは聞いたことがある。壁画で有名なはずだ。でも,どんな古墳か全く知らない。壁画もどんな感じなのかな。思わず早歩きになる。高松塚古墳周辺は「国営飛鳥歴史公園」となっていて,とても綺麗に整備されている。緑の芝生が広がっていて,まさに公園。親子が遊んでいたりする。なんだかすごく広いからもったいないくらいだ。すぐ近くにあった中尾山古墳をおまけ程度に見学し,いよいよ高松塚へ。でも,行ってみて「え?」。柵で囲った中は,パッと見,ただの竹林に見える。確かに土がかなり盛り上がってはいるが。。。やっぱりこれじゃ竹林だ。でも,それは後ろ姿だった。で,反対側へ回ってもっとビックリ! コンクリートの入り口らしきものがあるでなはいか。。。何じゃ,コレ。。。実は,発見された壁画(もちろん国宝)はすごくはがれやすいそうで,よって入り口に2階建ての装置を設置し,古墳内の湿温度を一定に保っているとのこと。なるほど,これはハイテク古墳ってわけだ。しかし,これでは内部の壁画が見れない。。。でもご安心。すぐとなりに壁画館なるものがあって,精巧な模写や実物大の石槨(せきかく)模型を展示していた。発掘していた人は,この壁画を発見したとき,興奮しただろうな〜と思うね。なんか見ているだけでこっちもドキドキしてくるよ。館内には説明係の人もいて,思わずいろいろ質問してしまった。石槨ってのは,石室の小さいヤツと思うと分かりやすい。その壁4面と天井全てに壁画があったそうだ。天井には何と星座が。壁にはそれぞれ男子群像・女子群像・青龍・朱雀・白虎・玄武等が描かれていたという。残念ながら盗掘に遭っているが,それでも鏡等が副葬品として出ている。被葬者は不明だが,骨も発見されている。いや〜,何だか想像力がかきたてられて,「高松塚についていろいろ調べてみたいな〜」と思った。思ったはいいが,思ったより長居してしまったのは誤算。この誤算を解消すべく,ここからは貸自転車のお世話になることにしよう。というわけで,また飛鳥駅に逆戻り。
 無事に自転車を借りた。5時に返せとのことだが,まだ4時間半あるから問題なかろう。
 さて,次は天武・持統天皇陵。天武は第40代,持統はその奥さんで第41代の天皇。夫婦合葬というわけだ。壬申の乱に勝利し即位(673年)した天武は,神と呼ばれるほどの絶対権力者であったという。「天皇」の称号を使ったのも天武が最初と言われている。この御陵,えらく長い階段を上らされるのだが,実はこの小山全体がかつては円墳だったという。なるほど,そういうわけね。。。
 次に辿り着いたは橘寺。聖徳太子生誕の地である。寺自体はどうということはない。あまり魅力を感じない寺である。でも,本堂にあった聖徳太子像だけは雰囲気があったね。ついでに,ここには二面石という石(1つの石に顔が2つ彫ってある妙な石)もある。
 伝飛鳥板蓋宮跡(かつての皇居跡。ここで中大兄皇子が蘇我入鹿を暗殺した)を見学し,いよいよ石舞台古墳へと向かう。石舞台古墳,超有名である。数ある古墳の中で,知名度なら日本で三本の指に入るだろう。私は10年ぶりの再会。
 あ〜,ちょっとワクワク。入り口で入場料を払い,おそるおそる目を上げると。。。確かに石舞台は,そこにあった。。。思わず息を飲んだ。大きいな。。。そう,石舞台のシンボルと言えば,なんといってもこの巨大な岩。かつては,この上に盛り土があった。大きな方墳(四角い古墳)であったはずなのだ。しかし,年月が経つにつれ,その盛り土は失われてゆき(風雨だけではない,盗掘もあったし,意識的に掘られもしたであろう),内部にあった巨大な岩が露出してしまったのだ。何となく近寄りがたい,何とも哀れ。。。でも,思わずカメラのシャッターを押してしまう。。。何とも言えぬこの魅力は,一体何であろう。それを「芸術の始原」「全く純粋な観念」と言ったのは小林秀雄であったが,まさしくそういうものが存在すると実感した。
 石舞台古墳,被葬者は蘇我馬子と言われている。内部は完全に盗掘に遭い,今は出入り自由である。中へ入ってみたが,1つ1つの岩の大きさには改めて驚いたし,この岩をここまで運び,このように組んだ当時の人々の技術に感心した。
 石舞台古墳には表情があって,写真を撮るなら東から撮るのが断然いい。みんなもよく心得ていて,ほとんどの人は東から撮影している。実際,パンフレット等の写真も多くが東からの写真である。
 また,ここも「国営飛鳥歴史公園」になっていて,とても綺麗である。家族で来ても楽しめるのではないか。
 飛鳥寺を見学。かつてはとてつもなく大きな寺であったが,今は見る影なし。有名な飛鳥大仏も見たが,実は,私は飛鳥大仏が大嫌い。いろいろな仏像を見てきたけれど,ワースト1だね。何だか怖いし,品がないと思う(と言ったらバチが当たるな。。。)。でも,折角だからとこれまた10年ぶりの再会。やっぱり嫌いだ。。。もう二度とお会いすることはありますまい。。。この寺の奥には,蘇我入鹿首塚もある。大化の改新(645年)の際,蘇我入鹿は暗殺され,この地に埋められたという。
 3時半を過ぎた。さあ,急がなくては。スタコラ甘樫丘を登る。ここも公園。まさしく丘で,展望台があり,大和三山がよく見える。まず正面に見えるは耳成山。綺麗な三角形をしている。左手が畝傍山。クセのついた帽子みたいな形。一番特徴があるかな。右手には天香具山。百人一首にも登場する山だが,何となくダラ〜としていてだらしがない。で,これから行くところは最後の目的地・藤原宮跡。耳成山のすぐ南のはずだ。
 7世紀頃,皇居はいつも飛鳥にあった(例外もあるが)。で,この位置がしょっちゅう変わる。だから,飛鳥には宮跡(皇居跡)がたくさんある。その中でも最大規模が,何と言っても藤原京(694〜710年)だ。これは日本史上初の“都城”である。都城と言えば平城京(710年〜)と平安京(794年〜)が有名だが,最も早いのは藤原京である。
 藤原京は東西2.1q,南北3.1qもあった。今,残っているのはその中でも中心地と言うべき藤原宮跡。天皇のいた場所だ。甘樫丘から北へ2.5q自転車を走らせると,そこには広〜い敷地が。。。ただ広いだけ。。。周りはグランドと田んぼがあるばかり。ここが藤原宮跡か。。。何となく寂しい気分になる。。。ホント,何もないんだ。。。でも,全く何もないわけではなくて,北へ歩いていくと,大極殿跡の木立があった。そこで写真を撮っていると,おい,敷地内に芝生があるのをいいことに,こんなところでゴルフの練習してるヤツがいるぞ。全く,この場所を何と心得る! あ〜,何だか余計に寂しくなってきた。。。
 あたりが暗くなってきた。ヤバイ,もうすぐ5時だ。自転車を返しに行かなくては。というわけで,最後は慌ただしく飛鳥駅に向かう翠であった。
 飛鳥……本当にのんびりしていて,古代ロマンあふれる里。是非また行きたい! ってゆ〜か,絶対行くぞ!
《今回のコース》神武天皇陵 → 畝傍山 → 橿原神宮 → 中尾山古墳 → 高松塚古墳・高松塚壁画館 → 天武・持統天皇陵 → 亀石 → 橘寺 → 二面石 → 川原寺跡 → 伝飛鳥板蓋宮跡 → 石舞台古墳 → 酒船石 → 飛鳥寺 → 蘇我入鹿首塚 → 水落遺跡 → 石神遺跡 → 甘樫丘 → 豊浦宮跡 → 藤原宮跡