授業道場「野口塾」IN愛知(03.11.15/名古屋都市センター)
●野口先生の国語科模擬授業「かさこじぞう」
・ 平成10年は戦後最大の変化。学校週5日制。時数2割削減,内容3割削減。学力低下の逆風。文学教材については「詳細な読解の指導を改めよ」。これは誠に的を射た大事な指導。指導書の時間数の2/3でやれるはず。荒く言えば半分でできるはず。私の主張が法的裏付けを持って広がる,嬉しく思いました。
・ 全文精査(隅から隅まで)は詳細な読解に偏る。止めた方がいい。濃淡軽重を明確にした授業が焦点精査。「かさこじぞう」ならどんなに長くても3時間で終わるだろう。
・ 焦点精査の原理@叙述順に扱うA立ち止まり(焦点)B精査(詳しく調べる)。Bについて(@)発問…厳選が必要(A)比較・対照(B)味読…朗読したり視写したり。
・ 鑑賞指導=読解(知)+味わい(情)。
・ 子どもを鍛える。声が小さい子はやり直させる。モデルを示し,もう一度やらせる。成就の体験をさせる。声の大きさは状況に応じて。
・ 活動と学習活動は違う。犬でも猫でもミミズでも活動はしている。前進的課題解決のための目的的活動が学習活動。
・ 読むための知識を教える。お話は基本的に話す調子で,お話を聞かせるというつもりで読む。知識を与えた後,モデルを具体的に見せる。国語ではもっともっとモデルを見せないといけない。
・ 音読に正解なし。原則を踏まえれば独自の読み方でいい。担任として最高の読みをつくればいい。
・ 国語の指導で最も難しいことは指導事項の選択。その見つけ方@読み誤りは訂正・修正A読み過ごしは注目・立ち止まりB浅い・断片的は進化・総合。
・ 指示したら「やってない人?」と聞く。脱落者を聞く。確かめて次へ行く。全員参加の原則。
・ 「着語法」…芦田氏が昔,よく使った方法。これは復活したい。全部発問にするから時間がかかる。「着語」してやればいい。
 〈例〉「村の外れ」は村境です。/風の音がしますか? 寒そうですね。/「ほんにのう」は「本当にそうですね〜」ですね。
・ 「話の小銭」…「みそか」は三十日,「大みそか」は十二月三十一日のみ。「地の文」の「地」は「じ」。子どもが語彙を増やす。
・ ノートに書かせ,机間巡視をし,指名者を決める=意図的指名。授業とは組織するもの。成り行き任せでない。
・ 生活経験がない物は絵で見せるしかない。
・ 会話は張って読む。地の文は落として読む。会話と地の文の間は空けた方がいい。「外言」の前後に「内言」がある。それを意識すると味わいが出る。
・ すぐれた鑑賞は正しい読解から。発問の他に動作化を。動作化は臨場感を持たせ,診断(診察)できる。
・ 「国語の解はない」はとんでもない。だったら指導しなけりゃいい。間違うから指導しなくちゃいけない。
【「かさこじぞう」全発問】
@「じいさま じいさま」と,なぜ2回言ったんだろうねえ?
 →「興奮したから2度言っちゃった」ということなんですね。子どもは読み流しちゃう。
A「じいさま じいさま」で,強く読むのはどちらか?
 →2回目です。1回目を強く読むと,2回読む必要がない。不自然です。
B「じぞうさまは男か女か?」
 →男のイメージでつくられていることが多いですね。
C「動作化をしてもらいます」
 →「かきおとす」は指を曲げなきゃいけない。回り込まないと背をなでたことにならない。
●参加者による模擬授業(省略)
●野口先生の硬派道徳模擬授業「生きる意味」(3〜6年で追試可能)
・ ことばの教育はこころの教育。人生観の教育は大事なもの。生きていく拠り所。良い人生観を持てば必ず幸せに。人生観の貧しさが不幸を招く。最も大事な教育は人生観の教育。これに勝るものはない。しかし,案外なされていない。行動の仕方を教えるのみならず,生きる意味を考えさせる。
・ 指示は単純。○×で所属を明らかにする。立場をはっきりする。立場を決めると行く先が気になってくる。傍観者にしてはいけない。
・ 書いたことをそのまま読ませる。
・ 発表の際,次々言うとパッパッと消えちゃう。受け止め方が大事。教師は発表にペラペラ反応しないこと。必要が間を生む。指導案ができていて,それを進めていくという授業ではない。意味のある間。
・ 授業が狂っても構わない。あまりスムーズな授業は上っ面を走っていると言えるかもしれない。
・ 叱られたことを喜ぶ子を育てなければならない。
【「生きる意味」全発問】
@「皆さんは何ですか?」
A「人間に生まれてきて本当によかったと思う人は○,そうでない人は×。ノートに書いて下さい」
B「人間の素晴らしさをノートに書いてもらおうと思います」
 →人間だけが考えることができ,言語を持ち,文字を持ち,機械を発明した。動物には進化がない。文化を持っていない。本能で生きるしかない。文化を伝え,発展させることができる人間に生まれることは大変素晴らしいことであります。「人間として生まれてくるのは,1億円の宝くじに連続して100万回当たるくらい奇跡的なことだ」(村上和雄)。仏教でも「人身受け難し」と言う。これだけでも感謝いっぱい,ありがたいことであります。その輝かしいほどの人間も例外なく死んでいきます。人生有限,こういう言葉はきちっと教えた方がいい。その限りはいつ来るか分からない。
C「人生をどういきるか? こういう人生を送りたいというキーワードを1つ,ノートに書いて下さい」
D「良き人生を送るためには,どういう人がいい人生を送れるのでしょうか?」
 →一言で言えば,良き人間が良き人生を送るであろう。良い人生を送りたいと思ったら,まず良い人間になる。良い人間が良い人生を送るということへの信頼はとても大事だ。
E「良い人間になりたいと思う者は○,そうでない人は×。ノートに書いて下さい」
 →ここで真剣な語りが必要。「みんないい子だな。先生は心から嬉しい。これを否定したら何を拠り所にして生きていっていいか分からない。そういうことを思うみんなの担任であることを嬉しく思う」。×の子は,人生を斜に見ている。私はその子たちを立たせ,真剣に叱った。
F「良い人生になりたいと思うので,先生,気が付いたことがあったら教えて下さいね,と思う子は○,そうでない人は×。ノートに書いて下さい」
 →リハーサルのない人生。有限の人生。良い人間になるために直向きに。その思いを,○の人は自分に言い聞かせたわけだ。これで先生も存分に教えることができるが,先生も発展途上だ。先生の叱り方がおかしいと思ったら,遠慮なく言ってほしい。
●野口先生による講座
・ 国家成立の3条件@国土A国民B権力。今,国民を国家の民と思っている人は少ない。
・ 韓国にて,久しぶりに国歌に対して不動の姿勢をとる厳粛な場面に出会った。これが世界の常識なんだ。日本では教えない。世界の常識は日本の非常識。
・ 日本では,国家は家であり,天皇は親,臣民は子であった。この国家体制が日本の近代を成長させた。
・ アジアは白人の迫害を受けてきた。日本は,その迫害を受けないばかりか,日露戦争にてこれを破った。有色人種が白人を破ったことは大変なこと。
・ 戦後,国家を敵視するよう教育された。占領政策の根本方針は「日本が2度と立ち直れないように」。
・ 日本に親しみを持っていますか? ○の人が増えてきた。だんだん“まとも”に。×は,どっかおかしいんです,それ。現在の自分たちがあるのは誰のおかげだと思いますか? 国家のおかげであります。国家が平和を維持してくれているから,私たちはこうして勉強できる。何だかんだ言って,日本は大したものです。「国家のおかげと思っちゃいけない」というのが戦後教育のスローガン。知覧で私は涙が止まらなかった。そんなことやる国,どっこにもない。
・ GHQによる新聞の検閲,ラジオ「真相箱」。今やそれが見事に実っている。決定的なのは東京裁判。勝った国が負けた国を裁く。パール判事の発言は却下。アメリカの合理主義による裁判。
・ 個人的思いと国家的業務が全く同列で考えられている。このレベルでは話にならない。護憲平和だけを取り柄にしていた社民党が凋落。共産党も。観念論だからです。現実を見ないからです。人情に訴えた政党の役割が終わった。少しずつ「国家とは何か?」に目が向き始めた国民。
・ パスポートの記述に感激しました。これが国家というものだ。国民ひとりたりとも粗末にしない。国を敵視させるアメリカ・マジック。自国に持てないということほど不幸はない。
・ 所功著『国家・国旗と日本の教育』が分かりやすい。「君が代」の「君」とは誰か? 明確に象徴としての天皇を指す。日本にふさわしい歌。
第2回伴一孝先生1日講座イン静岡(03.8.17/静岡・グランシップ)
〈漢字スキル〉
・ 読ませない。鉛筆を持たせない。書かせるときは見て回らないといけない。
・ 姿勢指導はずっとやる。放置しちゃいけない。
・ 4年生2学期。4字で4分以内に。子どもの動きを速くしていく。
・ 空書き。“つめる”べきときは前を向かせて全員チェック。
・ 読ませる必要はない。読んで効果があるのか検証されなければならない。
・ 7月でも(1字ずつ)切らないとできない? 任せるようになってないといけない。
・ (早く終わった子に「指書き」の指示を出していたが)指書き,やってない。(1字ずつ)切ることのマイナス。早い子,バカにした感じがする。切らないで「早く終わったら,ノートに練習しなさい」でいい。
・ 右ページも左ページも検印は押した方がいい。「検印のないページは夏休み前にやってもらいます」。
・ 「自分テスト」は伴流。つめにつめる!
・ 「空書き」は教師が確認する。スキをなくす。
・ TOSSで90点いってないと「何でなのかな?」。90点を維持するのが難しい。ほんのちょっとの積み重ね。0コンマ何ミリの違い。小さいところを2学期はつめて。
・ 姿勢指導。6年生だと無理なんですけどね,でもやらなくてはいけない。
・ 机間巡視。何となく回っている。手を入れなきゃいけない。
・ 机の横に物がかかっていないのはいい。机の上に変な物が載っていない。
・ 机間巡視のとき,プレッシャー与えないといけない。教室の空気をガチッと。そうすれば7月は手が放れる。通知表ができる。

〈模擬授業T〉
・ 不確定要素を排除するのが手堅い授業。
・ 子どもは何度言っても直らない。繰り返し指導する。
・ くっつきの「は」を指導したければ,他の要素をなくさなければならない(不確定要素の排除)。でないとパニックの子が出る。
・ 堅い授業は不確定要素がない。繰り返し繰り返しやっていって,最後の「自分で考えろ」をやめればいい。
・ 「分かち書き」を書きでしてはいけない(見せるだけ)。グチャグチャになる。「くっつきの〜」は視写と聴写で直る。
・ 「くっつきの〜」はできなくて当たり前。簡単にはできないことを保護者にも主張していくべき。

〈伴先生が語る討論指導のイロハ〉
・ 向山型討論は誰でもできる。みんなにできる。指名なし発表(絡み合いなし)から指名なし討論へ。
・ 討論は不確定要素ばかりの授業。授業には2つのやり方がある。討論は不確定要素を大事にしないといけない授業。最後には評論文を書かせる(伴学級では300枚書いた子も!)。
・ あることを教えたい→確定要素の授業。考えさせたい→不確定要素の授業。両方必要。
・ 指名なし音読。(教師は)詩は一切読まない。解釈に関わるから。詩は何名かに自由に読ませる。
・ 趣意説明「みんなの前で読める人は力をつける」。読んだ人,読もうとした人を誉める。「ノートにAを書きなさい」「名前を言いなさい。チェックします」。ちょっとしたプレッシャー。以上,極めて大事。
・ 「気づいたこと,分かったこと,思ったこと」では,途中で「山口くんは5個書きました」。全体のモチベーションを高める。「先生が近くに寄ってくる,マズイ」という状況を。漫然と机間巡視するのではない。
・ 全ての子に意見を持たせる。3個目くらいで持ってこさせる。3個目のみ,全員に○。○は教師が承認したということ。良いのか悪いのか分からないと,子どもは発表しない。
・ 発表中,引っかかる意見が出る。気になる意見を1つだけ取り上げてあげればいい。・ 意見が分裂しそうなのは「豊かな花はあまり見栄えしないだろう」。賛成か反対か?みんなが意見を出せる学級をつくれるか。討論はそれに乗っかっているのみ。
・ 賛成・反対を交互に。3人ずつという方法も。
・ 15〜20分の討論を繰り返していく。たちどころに効果が。

〈模擬授業U〉
・ 発問づくり。人が考えつかないような心臓部はある。1箇所でいいから見つける。「オ〜ッ」と言わせないといけない。
・ 絵を描かせる場合は,出てくるものを限定するべき。

〈伴先生による発問審査道場〉※教材文「雑草」(北川冬彦)
伴先生の発問
@「句点を打ってみて下さい」
A「1文ごとに主語と述語を確定していって下さい」
B「どうして句点が省略されていたり,読点になったりしているのか?」。
C「豊かな花であれば,見栄えもするのではないですか?」
D「話者はどのような立場の人と考えられますか?」
解説
「文章が辺り構わず伸び放題,胸のすく思いだ」……文章の形式の破壊。型を破っている。アナーキズム。話者は気ままにやってる人,アナーキーな世界の人。

〈学級経営クリニックビデオ道場〉
@朝の会
・ 前に出た人(司会者)はビシッと。みんな見てるわけだから。全体がダラダラする。
・ 暗唱文素読。イスは入れさせない方がいい。0.5秒の無駄。
・ 五色百人一首。輪ゴムは手に掛けさせる。スタートは空札を1枚読めばいい。スピードがいい。(下の句を)2回読んでなければ100点。最後は1枚残して終わる。試合前後の握手はいい。
・ 健康観察はシンプルに。
A給食
・ 通常は,大きいおかずは先生が。食料分配は極めて大事。先生が入ると緊張感が生じてもっと速いでしょうね。
・ おかわりは1巡のみ。全部食べた子は2巡目OK。
B教室移動
・ 休み時間の移動は自由。授業中の移動は後ろに並んで行く。教師は後ろから行くといい。イス・シューズのチェックをして「やり直してきなさい」。
・ 体育では,きれいに後片づけをし,きれいに立ち去る。そこまでが体育の指導。時間配分も問題になる。

〈伴先生が語る教師の仕事術〉
・ 仕事のやり方→@終了時刻の確定A使える時間の確認B人員の配置B場所の確保。拙くてもいいから速いのがいい。
・ 給食は少な目に。時間に限りがある。食の細い子は助かる,おかわりの楽しみもある。
・ 保護者におもねって(方針を)変えるのはサラリーマン。職人であるべき。人から何と言われようと。職人としての気概があるか。

〈QA50連発〉
・ 長縄跳びの指導法について(省略)
・ 趣意説明「給食は授業です。レストランでも恥ずかしくないよう,食事のマナーを学ぶ場です」。
・ (仕事に対して)のらないのが当たり前。モチベーションは自分で高めていく。このような時代,元気は出ないのです。自分で自分に火をつける。京都霊山はとってもいいところ。清水寺より100倍いい。時間がなくても行く。そのように自分のモチベーションを高める。
・ (少人数対応でノート指導・持ち物指導が徹底できないのに対し)変えられないものはしょうがない。我慢するしかない。無理をしないで。できないことはできない。
・ 列に並ぶ際,「うるさかったので,一番後ろに行きなさい」。
・ 保護者からのクレームについて(省略)
・ 通知表の書き方について(省略)
・ 指導要録の書き方について(省略)
・ TTで指導方法を揃えるように言われたことについて(省略)
・ 討論は11月から。それまではミニ討論。意見がどれだけ出せるようになるか。
・ 討論は意見が出なくなったら終わり。討論し終わったら書かせなければならない。
・ 中学校における女子への対応について(省略)
・ 中学校における暴力的な生徒への対応について(省略)
・ カンニングに対する指導について(省略)
・ 向山先生は分析批評において「視点」「対比」「イメージ」があれば大体読めると言っている。
・ 私は討論で拍手はさせない。
・ 単に読むのが音読,解釈を入れて読むのが朗読。
・ 朝の会では,健康観察の後,いきなり授業へ突入。
・ 反抗的な子どもへの対応について(省略)
・ 寝るのは2〜3時や12〜1時。起きるのは5時台。ほとんど学校で仕事。
第3回でき学セミナー「とちぎ教育まつり」(03.8.9〜8.10/栃木県総合文化センター)
【1日目】
@横山験也「おもしろい算数」
《感想》明るい先生である。楽しい先生である。話も上手である(なかなかあれだけは話せないものだ。重みには欠けるが)。横山先生のクラスの子どもたちは,算数が好きになるだろう。こういう先生がいてもいい。その存在を私は尊重する。しかし,私はこういう“吉本系算数”を目指さない。こういうものは主流になりえない(本人も主流を目指してはいまいが)。ただ,全く使えないかと言えば,そうとも言えない。今回の授業(「円」「重さ」「あまりのあるわり算」)などは,算数の研究授業の導入には使えるかもしれない。横山先生は学習ゲームで有名であったが,こういう先生であったのかと初めて認識した。
 余談だが,以前,横山先生とお話したことがあった。昨年の「野口塾」で一緒になり,話しかけて下さった。そのときは,横山先生とはつゆ知らず,NECの営業の方と思い込んでいた。確かに,すでに教師らしくはなかった……

A山中伸之「筆順指導と国語の発展学習」
《感想》「渡良瀬にこにこサークル」を主宰されているとのこと。その熱心さには敬意を表する。コンピュータによる筆順学習は,TOSSの方がはるかに進んでいる。また,発展学習だが,その趣旨には大賛成である。しかし,このような自習プリントを自作するは,いかにも大変である。これもTOSSにはチャレランがある。チャレランを用意すれば済むことである。 

B二瓶弘行「国語『楽室』創造記・2003年夏」
・ 「自分らしさ」を仲間に表現できるクラス集団をつくることが私の「夢」。
・ その具体的な方法。
 (1)視写/浅田次郎も毎日,三島・谷崎を視写した。視写から自分の文体が生まれる。名詩名文の視写がいい。『天声人語』も自分が納得できるものを選ばせ,視写させる。夏の自学メニューとして20編以上を視写させ,ハガキで報告させる。
 (2)音読(速読)/可能な限り速く読む。「言葉オリンピック」の種目に『天声人語』の速読もある(最速記録53秒)。MY『天声人語』で読む練習をする。初見で速読できるのは,相当に言葉の力がある証拠。
 (3)速書き/「言葉オリンピック」の種目の1つ。鉛筆の背で机の上に書く。
 (4)語り(暗唱)/「“目力”のない語りをするな!」(二瓶)。目に「聞いて!」という意志を込めて巡らせる。「“目力”を込めて聞け!」(二瓶)。視線が巡ってきたときには,下を向かず,分かるように見つめてあげる。MY『天声人語』は学習材として始業式に渡す。人物編より,価値観を排した自然編がいい。
・ 単元「新美南吉の作品世界」。「MY南吉作品」について「作品の星座」を作成し,読みの観点を駆使して「一人語り」をする。最終ゴールは「星座集」と「一人語りビデオ」を新美南吉記念館に展示してもらうこと。「ごんは,ぐったりと目をつぶったまま,うなずきました」(ちなみに,当初は「ぐったりなったまま,うれしくなりました」であった。鈴木三重吉が添削したという)を,いかに自分らしく語るか。作品全体を再構成し,考える。語りの4つの観点は,@視線A表情B間C声量。「一人語り」は最終的にDVD化。南吉の母校・岩滑(やなべ)小学校での「一人語り」も実現。

Cあまんきみこ「皆様のご質問にお答えして」
「戦争は空から来る。空は怖かった」
「(『ちいちゃんのかげおくり』について)作品が勝手にできてくる。どうしても,ちいちゃんが死んでしまうので(それでは困るので),1年置いた。それでもやっぱり死んでしまう。『書いて』と後押しされたよう」
「(『白いぼうし』について)『白いぼうし』とは,洗濯をよくする帽子,お母さんが真っ白に洗ってくれる帽子,という意味」
「作品は作者が正解を出すものではない。読み手の“人生”で読む。作者の思いと違っていてもいい。あなたがキツネと思うならキツネでしょ。どちらも正しいと思っている」
※ 講座中,あまん先生が『ちいちゃんのかげおくり』『白いぼうし』を朗読して下さった。ゆっくりやさしく,そしてやや訛りのある,味のある声……感動的な朗読であった。

D横山験也「授業で使える一押しコンピュータソフト」
《感想》横山先生は2年半前に早期退職されたそうだ。現在はNECでコンピュータソフトの開発に関わっているようである。コンピュータソフト,個人的にはあまり関心がない。今回はそのソフトの紹介であった。しかしながらこのソフト,なかなかよくできていた。さすがソフト会社が製作しただけのことはある。何と言っても映像が美しい。一番気に入ったのが,6年国語・俳句「奥の細道」。あれは欲しいと思った。授業は原則として教室の黒板の前で行うものだが,ときにはコンピュータの方が有効な場合もある。いずれにしろ,いつでもコンピュータを使える教師であるべきである。

E有田和正「今,なぜ教材開発が必要か」
・ 現在,「学習指導要領のあらゆる制限を撤廃しよう」「学力低下の元凶である総合的学習を廃止しよう」といった動きがある。「総則」が瞬く間に変わる。
・ 子どもにつけなければならない学力=「+αの学力」。「+α」とは,知識や学習技能を倍増できる力,更新できる力。
・ 子どもたちは勉強の大切さは認識しているが,好きではない。「好きではない」=授業が面白くない=教材が面白くない。
・ スイカは真ん中から食べるべし。教科書の通りにやるからまずいんだ。一番面白いところを第1時に持ってくる。スイカの真ん中のような教材をつくるべき。
・ 教材開発しないと,子どもにストレスが溜まるのではないか(笑)。教材開発では,@常識を疑ってみるAアンテナを高く広くB旅に出る(旅をすると目が変わる)。
・ 教材開発は,発問が出てくるまでやる。面白くて止められなくなる。夏休みに教材開発をして,子どもたちを喜ばせたい。「+α」のある教師になって,「+α」のある子を育てて欲しい。

【2日目】
@久埜百合「子どもたちと英語活動を楽しむために」
(省略)

A家本芳郎「群読を楽しむ」
・ 群読=大勢で分担して読む。リズムのある詩が一番いい。
・ まずは「連れ読み」(=追い読み)。読もうという決意と一番“いい顔”が必要。次に「精読」。朝の会などでやるとよい。大きな声でやる。自然に暗唱してしまう。
・ アンサンブルは全体の6分の1。上(ソロ)の声が聞こえないといけない。下は声を低くして押さえて読む。
・ 役づくりでは,「自分の名前をつけましょう」「年を考えましょう」「兄弟を考えましょう」「生い立ちを考えましょう」とやる。ノートに文や絵で表現させるとよい。
・ 大勢の中に個々を埋没させない。ずれてもいい。馴染んで揃っていくもの。声を大きくしたいときには,大きな声の出る教材を。
《実演教材》「地引あみ」「ことばのけいこ」「おむすびころりん」「江戸バカ囃子」「らいおん」「祭だわっしょい」

B野口芳宏「野口流 今どき社会思潮批判」
・ 平成11年。若い女性が“厚底”を揃って履き,揃って捨てた。流行には当てにならないものが多い。流行の最中にあるときは,それがなかなか分からない。「聖人は歴史に学び,凡人は経験に学ぶ」。男も女も「さん」で呼ぶ現象。「男女の差別をなくしていく方がいい」(=ジェンダーフリー)とのこと。これからの日本の国はああなっていくのでしょうか。明治以来の文化「くん」がなくなる。これが新しい生き方なのか。私は「くん」「さん」を明確に区別して授業しました。尊い言語文化を守っていく必要があるというのが私の主張。なぜこんなことを受け入れるのだろうか。不思議でならない。かくして,くだらない思想が広がっていくんだな。男はたくましく,女はやさしく。女性の管理職が増えることが「うるおいの生活」になるのか。日本は各国に比べて遅れているのか。「らしさ」「べき」論を壊すのは,伝統的文化に対する挑戦。「育児は託児所に任せる」は,家庭を「邪魔」「負担」と考える思想。家庭は「オアシス」のはず。アメリカ・イギリスでは,入学児童の3分の1は婚外子(日本では1%にも満たない)。教育の大失敗。そういう混乱の波がひたひたと我々のところに来ている。文化・伝統に対する麻痺。男女混合名簿,バカバカしいの一言に尽きます。私が校長なら絶対やりません。今,睨まれる校長こそいい校長だ。
・ 「自己決定はいいことだ」についての疑問。「フリーセル教育」というものがある。おやつを選択する自由,食事に遅れてくる自由……何が選択の自由ですか。善悪が教えられない。好きか嫌いかは自分が決める。良いか悪いかは社会が決める。正しいか正しくないかは歴史が決める。子どもの自己決定権,美しい言葉だが,極めて危険。親の脛かじって,学校に行かせてもらってるんですから,親や先生の言うことを聞けばいいんだ。そうすればいい人生を送れる。自信をなくしている日本の高校生。教えないから自信がないんだ。大村はま先生はいつも,教えることの大切さを言っている。日本の教師は教える自信をなくしている。「個性の重視」が教える勇気を萎えさせている。森信三先生の精神は今も西日本を中心に生きている。それを保育に取り入れている某保育園では,『論語』の素読をやっている。90人の園児が口を結び,黙って正座し,腰骨は立っている。感動しました。これが教育だ。「私の自慢の子どもたち」と胸を張れる教師が何人いるか。尻をひっぱたくのは調教ではない。ひたすら「はい,はい」と守る,それが大事。
・ 評価規準,あんなものつくったって使えませんよ。絶対評価は教師の主観に信頼する。我々がつくれたもんですか。「ん!」と思ったらA。「まあまあ」と思ったらB。「とても……」と思ったらC。苦労しているのは滑稽。いいのがあったら写しゃあいいんだよ,使わないんだもん。現実に目を注ぐことが大事。自由読書やらせりゃ,マンガと図鑑。自己決定礼賛主義,バカバカしい。無責任。時の流行に流されてはいけない。
向山型国語教え方教室「向山型暗唱指導は“前頭葉刺激”で子どもを賢くする」(03.2.22/名古屋市国際会議場)
●講 師  向山洋一 大森修 石黒修 椿原正和 伴一孝

(1)暗唱指導VTR審査(椿原・伴)
《椿原氏のコメント》
・ 教師の包み込むようなやさしさが必要。向山先生は,飛び込み授業でどかっとあぐらをかかれたこともある。
・ 黒板には何も貼らないのがいい。黒板上に貼れるスクリーン,いいと思う。
・ 「5人くらい」ではいけない。「5人」,しかも5人全員の名前が言えないといけない。
・ 1年生で「論語」,無条件でやるから意味がある。作文指導に表れてくる。年間を通してすることに意味がある。 
《伴氏のコメント》
・ ADHDの子も一緒に暗唱,とってもいい。確かに段々上手になっている。
・ (1年生の子の)机の上から物が落ちない。(小松先生の)指導が浸透してきている。
・ 暗唱の合格者は“試験官”に。子どもたちを分散させる。教師の負担も軽くなる。給食時の暗唱テストは大丈夫か。できぬ子を休み時間にやらせるのはちょっとかわいそう。
・ 道徳的価値観がある文言を与えていくのがいい。誇りを持って読んでいける。

(2)暗唱指導実践発表(石黒)
《木田氏へ》
・ 良かった点。所々でほめ言葉。それが次々に挑戦していくことになる。挑戦するシステムをいかにつくるか。
・ 悪かった点。テンポが遅い,乱れる。途中で止まるところがある。今日は,コンピュータを使ったためにテンポが乱れた。
・ ほめ言葉,同じではないか。次から次へと言えなくてはならない。
・ 暗唱指導こそ「変化のある繰り返し」。
《吉谷氏へ》
・ ほめ方がいい。音読も,全員・お互い・個人……いろいろなパターンをテンポよく取り入れていた。
・ 向山型でない部分があった。どこで区切ってテストするのか。2連までか,1連だけなのか,重要な問題。原典に返って追試を。
 
(3)「向山型暗唱指導」入門編(石黒)
★省略★

(4)向山学級の暗唱指導分析(大森)
・ 向山氏が学級開きで言ったこと。@間違いをするという恐れるなAどのようなことをするにも全力を尽くしてもらいたい
・ 「些細なことにも全力を尽くせ」(大森)。しかし,言葉で言うほど簡単ではない。本当に調べ抜いたのか,考え抜いたのか。教師がそういう状況に立たせているか。
・ 向山氏が許さないものは「差別」と「ニセモノ」。「ニセモノ」とは,嘘をつく,格好をつけること。具体的に子どもに分からせるのは簡単ではないし,生き方を厳しく問い返される。嘘をつくのは嘘が通るから。
・ 学級開きで担任は気に入られることで精一杯。極めて甘い。子どもにおもねている。「教師として自分を賭けて子どもたちを引き出し,力をつける」という覚悟を持って臨んでいるか。子どもに対する厳しさと愛おしさを。

(5)向山型国語模擬授業
《伴氏の授業「ふるさと」(室生犀星)》
@ めいめいに読ませる。
A 数名を指名して読ませる。
 「お腹を出して,胸を開いて読んで下さい」
 「もう少し大きな声で」
 「一番良かったですね」
B【発問】「もえよ」の「よ」は何ですか?
 →命令
 「そのように読まないといけません」
C 「少し命令っぽく」めいめいに読ませる。
D【発問】雪はあるのですか?
 →両論あり
E【発問】指導する際,抜かしてはいけないキーワードはどれですか?
 →「ひとり」(「破調」について解説する)
 「『ひとり』を指導しないと指導したことになりません。これは意図的に変型させたのです」
F【発問】「ひとり」とはどういう意味ですか?
 →「独り」(「一人」ではない)
G【指示】何か失ったものがあります。そういう感じで読んでみて下さい。
 「遠くにある木に対して読んでみて下さい」
H 全文を暗唱させる。
 「全員で目をつぶって読んでみましょう」
《椿原氏のコメント》
・ 漢字は指書きをしっかりさせないと絶対に書けない。@指は机の上にA鉛筆を持っていてはいけないB「とめ・はね・はらい」をしっかりさせる
・ 基礎学力を保障する学習環境の条件は「すっきり」。@何も貼っていない黒板A貸し出し用の学習用具(鉛筆は削って返す。いつもきれいに)B必要な物のみの机上
・ 音読カードは使わない。○10個の音読指導。授業の最初に必ずチェックし,ほめる。
《椿原氏の授業「五月」(室生犀星)》
★省略★

(6)向山先生の講座
・ 忘れたら貸してあげればいい。教師は説教が仕事ではない。用意してやる。説教はその後の話。
・ 指書きの際の「はね・はらい」。そこまで見るのが教師の仕事。
・ 国語のテストの答え方は14通りしかない。△じゃなくて○か×だ。一番簡単な「書き抜きなさい」さえ教えていない。答え方の原則を教えるべき。
・ スキルは正しく使ってこそ成果が出る。我流は全然ダメ。授業の腕が向上しないのは,真っ当な教師修業を知らないから。
・ 宿題では力がつかない。見かけ倒し。やってくるのは「できる子」だけ。
・ ADHDの障害を持った子の中には,ワーキングメモリーが1つしか入らない子がいる。「一時に一事」(「教科書を出しなさい」「8ページを出しなさい」)が大切。問題解決学習は論外。
・ 0〜3才は8時までに寝かせる。でないと,将来トラブルを起こす可能性が高くなる。
・ 言葉,削れって言ってるんですよ。「はい」ひとつ入れてもずれる。「先生に続けて読みなさい。『小景異情』」だけでいい。
・ 教師が速く読めなくちゃダメだよ。
・ 「変化のある繰り返し」は自然に暗唱しちゃう。いかに組み立てていくか,これが教師の仕事。
・ 英会話・インターネット,やってないのは日本だけ。「総合的学習」で豆腐づくり・カレーづくり,許されるわけがない。
・ 今までは“落第”がなかった。相対評価で他校と比較ができなかったから。これからはアカウンタビリティー(説明責任・実行責任・結果責任)の時代。いろいろ聞かれるようになる。そのための絶対評価。従来の履修制度が学校の無責任体制をつくった。今回,履修制度の中に習得制度を取り入れた。つまり,“落第”が可能になった。
・ 「総合的学習」「基礎学力」……次は「環境」が問題になる。
・ 学級は問題の集合体。辞めると思っちゃダメですよ。学校はリセットが利くのだから。そういうときがたまにあってもいい。でも,そういう原因は自分自身が発しているのですよ。勉強していかなくてはならない。ネバーネバーネバーギブアップ!
学習公開・初等教育研修会(03.2.14/筑波大学附属小学校)
◎社会科教育研究部
《公開授業》山下真一「ごみはどこへ」(3年) 他
《提案授業》波 巌 「玉川上水を開く」(4年)

《講演》谷川彰英(筑波大学教授)

◇ 社会科は人間の行動とかかわる教科。相手の嫌なことはやらないのが国際的ルール。ブッシュは信念あるが,どうしてあんなに戦争をしたがるのか? 小泉さんも追随している。
◇ 東京は「基礎基本」で埋まっている。東京の総合は終わった。終わっちゃった。
◇ 昭和43年より「公民的資質」を謳っているが,授業しながら「公民的資質」を意識している人はない。「公民的資質」という言葉,今でも嫌いな人がいる。戦前皇民化の残滓。
◇ 田中康夫は高校の後輩。「公民的資質」はないね,「市民的資質」はあるかもしれないけど。
◇ 「社会市民的資質」(1963年のアメリカより)という言葉。行動には「パーソナル」と「ソシオシビック」がある。
◇ 今の社会科カリキュラムはハッキリ言ってつまらない。なぜなら,社会科から「人間」がなくなってきたから。「人」が出てくると,社会科に深みが出てくる。
◇ 「社会科とは何か?」が生活科をやって分かった。社会科ってのは,「人」なんだ,「人間」なんだ。今の社会科には「人間」が希薄。
◇ 「すげ〜面白いじゃん」が必要。
  《例》全国千葉さん分布図
◇ ソーシャル・マインド(社会心)という言葉。柳田国男は歴史教育の目的を「史心の育成」と言った。つまりは「心」。
◇ 学力には2つある。@鉄棒式学力(今までの教科)A雪だるま式学力(成長の過程を重視)。
◇ 歴史の最終目標は「イマジネーション」。これからの社会科は「四角四面」より「子どもの心を養う」。「公民的資質」と言うからかたくなる。社会科をもっと魅力あるものに。

提案授業(授業者・波)の講評 有田和正(元愛知教育大学教授)
◇ 私たちは今,融通の利かない子を育てているのではないか。応用が利くものこそ「基礎基本」。
◇ こんな難しい社会科やったら,潰れる。シンプルで,誰でもできる,やさしい言葉で,授業の筋を一本通す。
◇ (今日の授業は)教材研究の欠如,子どもとのコミュニケートの欠如。波さんのこんな授業は初めて。今日に限っていい授業ではなかった。
◇ 単純明快に「今日はこれだけを押さえる」というものを。でなければ,子どもに力をつけることはできない。ねらいを小さく,具体的に,シンプルに。
◇ 子どもが事実をもとに話している。
  《例》「〜の本の〜ページに〜だから私はこう思います」
◇ 今日は子どもが粘った。すごいなと思った。
◇ 難しい発言があると,子どもに「分かったか?」と聞く。子どもの表情を実によく見ている。また,言い直させて分かるようにすることも教育。
◇ 今日の授業は重かった。1人倒れた(笑)。笑いがない。笑いが必要。
◇ 実際に書かせる,これも体験。授業後,ノートで理解を確かめる。分かっているようで分かっていない。
◇ 具体的に,鮮明に,そしてシンプル・シンプル。これが社会科の授業。
教員養成大学・学部等教官研究集会(02.12.14/愛知教育大学)
「共生時代の学校づくりの課題〜学校週五日制・新学習指導要領の理念と現実〜」
●提言者  藤田英典(東京大学大学院教育学研究科)


0 はじめに
○ 教育改革国民会議のメンバーであった。「反対ばかりしている委員」と呼ばれたが,実際はほとんどの提案についてサポートした。教育基本法の改正等については反対した。
○ 歪んだ改革が進んでいる。自信と誇りを失う教師。日本の教育のすぐれた部分が押し流される。適切な対応が必要である。

1 教育改革の動向と現場の混乱
@ 学校完全週五日制と新学習指導要領の実施(2002年4月〜)=「ゆとり教育」
 →内容・時間の大幅削減,総合的学習,絶対評価→教師の戸惑い・多忙化と現場の混乱
A文部科学省:アピール「学びのすすめ」(2002年1月17日)→学力重視
 →読書・補習・宿題・家庭教育の奨励→親の不安,塾通い→新たな進学競争と階層差の拡大
  個性等に応じた教育(習熟度別学習,中高一貫,学校選択制)→エリート主義と市場的競争
(藤田)@とAは矛盾している。教師は戸惑い,混乱している。
B 国民会議・中教審:奉仕活動等の推進,教育基本法の見直し
 →伝統・道徳・愛国心の強調
C 学校選択制,学校・教員の外部評価
 →協働性・献身性の低下,モラル・ハザード等の危険
(藤田)重要なのは,保護者も含む当事者による評価・参加・共働である。

2 何のための誰のための教育改革か?
@「ゆとり教育」「学校スリム化」は「教育病理」(=「学校性ストレス」)の改善・解決をもたらしたか?
 →増え続ける不登校,増加傾向に転じた校内暴力・いじめ,注目され始めた学級崩壊,青少年の非行・暴力・犯罪
  日本の問題行動水準の低さ,凶悪犯罪発生率の低さを支えているのは何か?
(外国の見解)なぜ日本は低い水準にとどまり得ているのか? 支えているものは何か? 教育に手掛かりがあるのではないか?
(日本の見解)少年犯罪は凶悪化・低年齢化している。
(藤田)殺人・強盗は,中卒者・高校中退者の比率が高い。これは「社会的排除の問題」である。全員に奉仕作業させれば減るのか? 全員にやらせても仕方がない。もっと焦点を絞るべきである。
A「ゆとり教育」「学校スリム化」で知識社会に対応できるのか?
 →「学力低下」への危惧・不安上昇→文部科学省「学びのすすめ」,学校6日制私立の人気上昇
※TIMSSインパクト→日本・シンガポール・韓国のすぐれた教育の秘訣は?
※欧米の最近の状況→テスト地獄
(藤田)
・ 日本は日本の教育のすぐれている面を打ち壊した。地方主導の改革の気運,この点のみ評価できる。
・ 総合のアイデアは重要。1981年以来,そのアイデアを組み込んできた。今回はその時間を“特設”した。“特設”の危険性=知識の核がなくなる。教科には核がある。教科の中に組み込んでやるのが望ましい。
・ 「意欲」については20年前から言われてきた。それに対しての「ゆとり教育」「新学力観」。「迎合すればヤル気が出る」という改革。政策的に「努力」を軽視しすぎ。新指導要領下で「努力」を等しく賞賛すべき。
・ 教育=完成し得ないプロジェクト。息切れするような改革運動は危険である。
・ 歪んだ教育改革。トップダウンは暴力的。矢継ぎ早で教育の場がおかしくなっていく。
・ 学校評価は必要ないと思っている。保護者も含めた当事者評価を必要ならやればいい。
・ ごく普通の学校づくりを。保護者は特別な学校へ行かせようとは思わない。特色づくりが先ではなく,安全・安心・信頼をいかに確保するかだ。
授業道場「野口塾」IN愛知(02.10.20/名古屋都市センター)
●講 師  野口芳宏(北海道教育大学非常勤講師)

【はじめに】

「自分の選んだ教師人生を充実させることに喜びを見出すってことに気付くってことは,これはもう生涯充実した人生を送るってことのきっかけになるわけですから,そういうことに気付かれて良かったですね」
「一番これが簡単だなあと思うのは,結局書いてある順番に読んでいく,そうしてここは子どもにちょっと分からないだろうなあというところは質問をこっちの方から問いを出して問答しながら深く分からせていく,そこが過ぎたらまた進んでいくんだけど,易しいところは特別な解説はいらない。こうやっていくのが一番簡単ですね」

【模擬授業「注文の多い料理店」】
《模擬授業「注文の多い料理店」の全発問》
@「わかいしんし」に対してどんな印象を持ちますか?
Aどんな表現からマイナスの感想を持ちましたか?
Bこの会話からこの「しんし」に対してどう思うか?
C(「しんし」は)家に帰って何と言うでしょう?
D木(こ)の葉と木(き)の葉は同じでしょうか?
Eなぜ金文字で書いてあったのでしょう?
Fこの看板(3枚目)の真層義は何でしょう?
G4枚目の真層義は何でしょう?
《指導のポイント20》
@いつもですね,自分の感想をこう自分に問いかけながら読んでいくことがとっても大事なことです。感想を持つから小説は面白いんです。
Aノートに書かせるということを常にやっていくことが必要です。問うたらノートに書かせる。なぜならノートに書きなさいという作業学習を命じますと,必ず人は考えます。考えなきゃ書けないから。
B考えざるを得ない場に追い込むことがとっても大事なことなんですね。そうすると子どもは考えるという活動をずっと続けていくことになる。しかも考えたことがかたちにあらわれる。
Cノートね,こうしてちょこちょこちょこちょこ書くことを嫌がらない教室をつくること。これが授業に全員を参加させる,まず第一のポイントです。
D書きなさいと私,言いましたから,これ書かなきゃいけない。そこで「はい,書けた人,手を挙げ」なんていう不用意なことは言っちゃだめ。
E私は必ずこういうふうに聞きます。「まだ書かない人,手を挙げ」。「まだ書かない人」って言うと,手を挙げづらい。だから挙げない。ということは誰を指してもいいということ。こういうふうにスキをつくらない。
F何を言ってもいいなんていうのは学習じゃありません。問う以上,そこにはやっぱり適否というものがあって,先生は望ましい方にその感想の持ち方を導いていけなかったら,これは教育にならないわけ。
G書いたものをそのまま音読させる。説明させると微妙に違ってくる。
Hなるべく発言はね,ズバリとすることが大事。子どもにも常に「ズバリと言ってみろ,余分なこと言うな,核心を突いて言え!」。
Iその場でやり直させる。「1つのことをズバッと言ってごらんなさい」。それでも子どもは言えないことがある。そういうときは先生がモデルを示す。
J書かせれば読み取りの深さを察することができる。「書きなさい」というのは診断のデータを私の方が手に入れるということ。
K「ノートに書きなさい」っていうのは,ノート見てけばいいわけですから,「あっ,この子を指せば,このこと言うな」。ですから的確な指名ができる。さらにノートに書くってのは全員が書きます。全員参加。
L問いを出したら必ずノートに書かせる。これを徹底して「先生が問いを出したら書かなきゃいけねえんだな」。これを私は“小刻みなノート”と言ってる。
M私のノート作業ってのはどんなに長くても20秒くらい。「まだ書かない人,手を挙げ」。こういうふうに攻めていきますから,子どもは大変忙しい。
N書かなきゃ怒られる。そういう恐怖の中で学びは進んでいく。
O仲間の発言をいつも裁く。評価する。そういう聞き耳を立てて聞くことが大事。
Pこういうふうに鍛えてくんですよ,子どもってのは。発言すりゃあ,ほめられるってのはとんでもないことなんです。発言をしたからいいんじゃないんですね。やっぱりいい発言しなきゃいけない。
Q子どもが読み流してしまう,読み落としてしまう,しかしそこには重要なキーがある。そういうところで問いを発していく。
R何を問うかを決めるのは,子どもの読みの不備・不足・不十分が予想されるとき。ここは十分読めるだろうというところに問いを発することはナンセンス。
Sかなりの長編ですが,4時間はかからねえだろう。

【TOSS型の授業について】
 流れに沿うことに夢中になって「対話」が不足している。この通りに流していくことで夢中になって,そこに出てきた発言と「対話」がない。この流れに発言を使っていくちゅうだけで,子どもが発言したらその発言にうなずいたり,「さて,これどうだろうかな?」って考えたりする,そういうことが必要なのですが,どうもプロットがあるために,どんどん進んでいっちゃうのが惜しい。例えばですね,「この詩は一言で言うと何を言いたいのですか?」と言いました。いろんなこと言いましたね。だけど言ったことについては何の位置付けもない。言わせっぱなしですね。そしてもう次に行っちゃう。何のために言わされたのかが分かりません。どうしてもプロットにとらわれるとそうなっちゃう。
指示・発問 → 応答 → 吟味・検討 → 教師の束ね → 次の指示・発問
※ 吟味・検討・束ねを欠いた授業がTOSS型には多い。それはプロットが決まっているから。応答は材料。吟味・検討こそ大事。大事でないものが次々と展開している。先生面した先生言葉だけで繋がっていくのは良くない。「対話」とは向き合って話すこと。プランに当てはめていくのは「対話」じゃない。だから授業がかたくなる。能率はいいかもしれないが,潤いがなくなる。

【おわりに】
○ 教師の本質とは影響者であるということ。伝達者であったら塾には敵わない。教師は影響者として有利である。子どもには吸収する姿勢があるから。
○ 修養とは自己変革である。自己変革の面白さに目覚めた人は幸福である。
筑波大学附属小学校 学習公開・研究発表会 研究主題「子どもの豊かさに培う共生・共創の学び」
(02.6.14/筑波大学附属小学校)
《公開授業》
1年/総合活動「がっこうの!?つたえたい」(田中 力先生)

・ 総合活動教室にて。児童40名。参観者25〜30名。
・ 「!?」=「びっくり・はてな」
・ プリント配布の際に混乱。やはり1年生。
・ 相互評価カードは観点が明確でよいが,1年生には扱いにくそう。
・ さすがの発表力。“全員に伝わる”のがすごい。
・ 発表では必ず実物か写真を提示。
・ 「先生からも問題があります」→教師の出番が明確。指導すべきことは指導している。
・ 子どもたちは間違った意見も堂々と発表。
・ (地図を提示し)「保健室はどこでしょう?」→見事に意見が分かれる。よい発問だ。
・ 子どもたちはよく喋るが,発表の瞬間はしっかり聞ける。集中している。
・ 教師も具体物を用意している。「教材研究とは,物を用意することです」
・ 附属小といえど,子どもたちがちょっと立ち歩きすぎではないか?
・ 声の小さい子には教師がその場で指導。
・ 発表は全てクイズ形式。
・ よく調べている子どもたち。根拠となる資料を必ず用意している。
・ 「帰り,見ていって下さい」「もめてるから,見てこなきゃダメですね」→さらに知的好奇心を高める指示。
・ 「今のポストと同じところ言える人,立ちます。順番に言います。やられた人は座る」→こういうところはテンポ・アップ。
・ 附属小といえど,授業を延長しすぎ。「帰りたいよ〜」(児童)
・ 「いや〜,大変だ」「いや〜」(授業中の田中氏)
《授業についての協議〜田中氏より》
・ 8年ぶりの1年生。1年生を過大評価していた。「これはえらいことを始めてしまった」「無理なことをさせてしまった」「ヒントを言っても頭の中をすり抜ける。教え込む必要が」
・ 1年生でも「企画」はできる。「調べる」は難しい。
・ (授業延長について)半分くらい見せて,という見栄えのいい,ずるいことも考えたが。発表だけでは面白くない。こちらから投げかけてふくらませる。
・ 座席はいつもはコの字型。今回は地図を見るので前向きに。
・ 子どもたちは事象に出会ってるんだけどよく見えてない。
・ 全グループがクイズ形式になってしまった。2年生の最終段階までにいろいろな方法ができるようにする。こちらから仕組んでいく。
・ 評価について。自己評価が最重要。「自己の生き方」という文言があるのは総合のみ。自己評価できるようにする。相互評価は必要なときに取り入れていく。子どもに自信をつけさせたい。
・ 低学年の「総合活動」=総合的学習+生活科+特別活動。生活科のねらいを踏まえ,総合・特活の要素を含めている。
・ 子どもたちは問題発見力が欠如している。「!?帳」を書かせ,子どもたちをうまくのせる。「よかったね!」だけではダメ。
・ クラス=オーケストラ・レインボー・サラダボール。一人一人が個性的で全体としてまとまりがある=共生・共創。
生活科・総合的学習授業研究会 第25回研修会「新学習指導要領スタート:その実践」
(02.2.23/大阪教育大学教育学部附属天王寺小学校)
《分科会》
「総合の単元づくり(問題発見力と課題設定力)」石川隆之(大阪教育大学教育学部附属天王寺小学校)
・ 総合で育てたい力=学習指導要領の「ねらい」に示されている。
 ●問題解決能力〜自ら学び,自ら考える力〜
 ●学び方,ものの考え方
 ●主体的・創造的な学習態度
 ●自己の生き方を考える
・ 課題発見・課題追究・成果発表の各段階について。
 課題追究
  ○ものをつかって
   国語辞典 事典 地図・資料集 参考書・教科書 新聞・雑誌 コンピュータ
  ○体験的に
   インタビュー 聞く 見学 観察 実験
 成果発表
  書く技能 考える技能 話し合う技能→表現の技能
 課題発見
  ○問題発見力
   国際理解 情報 福祉 環境 地域 伝統文化等→地域を見る 人と関わる
                                  VTR・写真を見る
  自己課題「〜たい」=「なぜ?」が希薄である。より煮詰めて「なぜ?」「どうして?」が必要である。
  ○課題設定力〜見通し〜
   何を(追究可能な課題か?)=中学年は教師と一緒に考えたい。教師から提示することも必要である
   どう(方法・手段等)
   どうすれば・どうなれば(結果の判断)
・ 天王寺小,5つの「育てる資質や能力および態度」。
 ●過程を大切にする
 ●能動的に働きかける
 ●多面的に思考する
 ●知識を概念的に整理する
 ●創造する
 ※ 教師として重視するものを1つ決める
・ 4年2組の実践。
 1学期
  総合で何をしたいか?=「生き物」
  楽しさの中にある物足りなさ=これは何が原因か?
 2学期
  「つまずきを大切に活動しよう!」
  本校では重視する「学び」が最優先である
  つけたい力を設定する(本校は5つ)→学習のテーマを設定する(スローガン的なもの)→どんな内容でやるか?
・ 課題設定力の育成=見通しの振り返り(修正)が重要である。子どもたち自身による活動の振り返りである。
・ 「はっぴょう名人」(ジャストシステム)は大変使いやすい。
・ 見通しがしっかりしていれば,子どもたちはゴールを見失わない。
・ 評価=姿を見る。ワークシートを見る。名簿に記入する。

《講演》
「学力低下論と新しい学校づくり」中野重人先生 
・ 「遠山アピール」の趣旨は何か?=「学力を身につけなさい!」。
・ 20世紀の学校=横並びの学校。週6日制。
・ 21世紀の学校=違っていていい学校。「特色ある学校づくり」。週5日制。
・ 新しい移り変わりにブレーキかける「遠山アピール」。新しい方向がフニャフニャしている。
・ 学力低下=教師がいけないということではないのか? 教師はもっと発言すべきである。
・ 学力低下=「ゆとり教育」? 教えないから? 「ゆるみ」?
・ 学力は低下しているのか?=「懸念するほどのことではない。今までも言われてきたんだから」(中野)。
・ 学力低下論は大学から出てきたが,このレベルは問題ではない。美術大学生が分数を分からないといけないのか? 大学はそれぞれの持ち味が大切である。
・ 学力低下について各自が意見を持つべきである。
・ 学力を向上させるためにはどうするか? 今までほとんど出ていない。@今のままで向上させるには?A今の枠組みを変える?
・ 「ゆとり教育」=「ゆるめ教育」か? そういうこともあるなら反省するべきである。
・ 「ゆとり教育」=「ゆとり」と「充実」の両方が大切である。なぜが「ゆとり」のみ“悪”としてクローズアップされる。
・ 「総合で頭悪くなるんじゃない?」という質問に教師はどう答えるのか?
・ 授業形態が明治以来,全く変わっていないが,新しい教え方を考えるべきである。学校は「できる子」を伸ばしてきたか? 最低基準さえできない子はどうするのか?
・ 学力が「落ちた」「落ちない」は意味がない。どんな学力をつけたらいいのか? 基礎基本とは何か?
・ 学力の定義:「通信簿の全てです」(中野)=教科・道徳・特別活動・総合。
・ 基礎基本の定義:「学習指導要領の全てです。総合的な学習も基礎基本です」(中野)。
・ 子どもたちが元気になるような教育活動を! どの子もヤル気と自信が満ちた教育活動を!

《パネルディスカッショッン》
木下邦太朗先生
・ 「活動あって中身なし」という授業が目につき始めている。
・ “教師のいない授業”。教師とは何か? 教育とは何か? もう一度見直しをする必要がある。
・ 子も教師も保護者も元気の出る総合。単元をつくる際,保護者も参画する。
・ “やらせっぱなしの総合”。「ねらい」がはっきりしていない。
・ 「ねらい」と評価の観点が明確でなければならない。
相部芳徳先生
・ 生活科の問題点=「普通の教科になってしまった」(相部)。
 →生活科の他教科化(既製品に頼る等)。「変なふうにいってしまっている」(相部)。
・ “原点回帰”しないと大変なことになる。
・ 一番の弊害は教科書ではないか?
・ 気づきの中に知的なものが含まれているはず。それを深めていないものが多い。
 →活動させっぱなし。討議・話し合いがない。次の活動へ繋がっていない。
・ 「活動させたら話し合え。話し合えないなら作文を書かせよ」(相部)。
・ 評価のポイント@絶対評価と共に個人内評価を重視A指導と評価の一体化B評価の客観性・信頼 性の確保。
・ A=個人別に4月からデータを取っていく。学習のプロセスを評価する。その準備が必要である。
・ 目標に準拠した評価を徹底するべきである。名簿を使えばいい。
・ 個人内評価(良くなり方)=その子の可能性を見ていく。マイナス面は見ない。

《講演》※嶋野道弘先生の講演(省略)
第23回エネルギー教育シンポジウムIN愛知(02.2.3/名古屋・電気文化会館)
●特別講演「世界と日本のエネルギー事情」(神田啓治氏)
●基調授業発表「『TOSSランド』を活用して『日本のシーレーン南沙諸島問題』を授業する」(谷和樹先生)
●授業発表@〜D
●基調講演「今後のエネルギー教育について」(向山洋一先生)
・ 南沙諸島の現状〜こういった事実を子どもたちは知るべき。子どもたちは,知識を得た上で自身で判断する。
・ 子どもたちに対して真実を教える。教師が教える。考え方を教えるのではなく,事実を教える。
・ 「エネルギーは授業すべきでない」という声,とんでもない。
・ 4つの環境教育〜@自然環境A日常の環境B公害問題C地球環境。B=原因・被害者・地域が特定できる。解決方法がある。C=全員が被害者かつ加害者。解決方法がない。
・ これから中心となるべきは当然,Cの地球環境教育。
・ NASA曰く「地球最大の環境問題は“PURE WATER”。事があまりにも重大で戸惑っている」。
・ CO2 をどうするのか。省エネなど“ままごと”。
・ 「水」は調べると面白い。環境・健康と大きく関わっている。
・ ケルン憲章。20世紀型学力と21世紀型学力。政府の責任において教育を行う。
・ カレーづくり・豆腐づくり〜教科の時間を削ってまでやるようなことではない。
・ TOSSランドの活用。子どもたちにとって分かりやすい,教師にとって便利なサイト。
・ 今こそ基礎学力が重要。教育には2つある〜@習得システムA履修システム。日本はAだが,せめて基礎学力くらいは…これが全ての出発点。
・ 文部科学省初等中等教育局視学官・遠藤氏のアピール。

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