エピソード3(名寄〜宗谷岬)
急行利尻は夜中2時、名寄に着く。今回は日程の都合で夜中の2時半
にスタート開始。国道40号線を北上する。市内を過ぎた所で何か黒
いものがライトを横切った。ライトを向けるとキタキツネが私を見て
いる。その距離約4m。長い時間(約2分間位)見つめていた。得し
た気持ちで足取りが軽い。ひとりで心細いが夜中は車が少なく、その
点安全だ。美深町(5h30'AM)を過ぎ、天塩川とは何度か交差をし、音
威子府に10時過ぎ到着。道の駅で食事ができると思っていたらなぜ
か開いていない。駅まで引き返し音威子府名物の駅そばを食べた。
おいしかった。音威子府からは天塩川沿いにアップダウンはきついが
景観は最高。しかしエネルギー切れ、佐久迄自販機は無し。途中でサ
イクリストに水をわけて貰う。天塩中川に16時着。旅館で洗濯。
さすらいの キタキツネの目 闇開く
天塩中川駅前”栄屋旅館”泊(¥6630翌日弁当込み)
走行距離86km
旅館で昼の弁当を貰い、出発。雄信内を11時過ぎ通過。北産士で昼食
をとる。その間全くコンビニらしきものが無い。弁当を頼んで正解だった。
幌延町の近くでデーパックの左ストラップの下がほどけてとれてしまった。
安全ピン4ヶで固定し、ばっちりだ。ほどなく北緯45度の看板が見えた。
道端にはきすげの花が咲いている。写真を撮る。のどかだ。ペンケ沼パ
ンケ沼の近くを過ぎ名山台展望台にて小休止。16時30分に豊富駅に
到着。駅前の観光案内所で宿を探す。運良く温泉民宿を紹介された。豊
富温泉まではバスで移動。宿で観光バスの運転手、ガイドさんと意気投合、
昼間私が走っているのを覚えていてくれた。町の温泉浴場に一緒にいった。
この温泉は原油が浮いて胸が詰まるような匂い。皮膚病アトピーによく効
くとのこと。
音のない きすげの道や 亜寒帯
豊富温泉”民宿むらかみ”泊(¥5500) 走行距離52km
民宿のご主人に豊富駅まで車で送って頂いた。さあ、あと一息だと気持ちを
奮い立たせる。約10km過ぎた開源と言うところで初めての雨に遭う。
洞門のようなパーキングシェルターで雨具を着た。用意した20万分の1
の地図も最後の1枚となった。大沼の標識が見える。稚内に近づくにつれ
空に舞う海鳥が増えてきた。オホーツク海が見えた頃雨も上がった。40
号線を右に折れ、238号線に入る。遙か彼方27km先に宗谷岬がある。
海岸線に沿って進むが7mの向かい風、疲れて、稚内空港そばで菓子パン
の昼食。道路は単調だが歩道がしっかりして安全だ。富磯、宗谷を過ぎて
も宗谷岬は5kmも先。だんだん胸が高鳴る。間宮林蔵の渡航地で記念写真。
そして足は速くなった。観光客の姿が、・・・とうとう来た。10年掛かった、
やっと終わりだ。でも涙は出なかった。携帯のGPSレシーバーが北緯
45度31分東経141度56分を示している。土産物屋の上のデジタル
温度計は13℃、さすがに寒い。アベックの車で40号線のT字路まで送
って貰い。そこから稚内駅迄走る。埠頭の前は盆踊り大会で明るい。銭湯
に入り、麦酒をたらふく飲んで22時13分発夜行列車「利尻」に乗った。
最果てに 身を投げるかや 記念塔
走行距離63km