エピソード3(名寄〜宗谷岬)

 97/8/12 名寄〜天塩中川

    急行利尻は夜中2時、名寄に着く。今回は日程の都合で夜中の2時半

    にスタート開始。国道40号線を北上する。市内を過ぎた所で何か黒

    いものがライトを横切った。ライトを向けるとキタキツネが私を見て

    いる。その距離約4m。長い時間(約2分間位)見つめていた。得し

    た気持ちで足取りが軽い。ひとりで心細いが夜中は車が少なく、その

    点安全だ。美深町(5h30'AM)を過ぎ、天塩川とは何度か交差をし、音

    威子府に10時過ぎ到着。道の駅で食事ができると思っていたらなぜ

    か開いていない。駅まで引き返し音威子府名物の駅そばを食べた。

    おいしかった。音威子府からは天塩川沿いにアップダウンはきついが

    景観は最高。しかしエネルギー切れ、佐久迄自販機は無し。途中でサ

    イクリストに水をわけて貰う。天塩中川に16時着。旅館で洗濯。

     さすらいの キタキツネの目 闇開く

     天塩中川駅前”栄屋旅館”泊(¥6630翌日弁当込み)

                           走行距離86km

97/8/13 天塩中川〜豊富

    旅館で昼の弁当を貰い、出発。雄信内を11時過ぎ通過。北産士で昼食

    をとる。その間全くコンビニらしきものが無い。弁当を頼んで正解だった。

    幌延町の近くでデーパックの左ストラップの下がほどけてとれてしまった。

    安全ピン4ヶで固定し、ばっちりだ。ほどなく北緯45度の看板が見えた。

    道端にはきすげの花が咲いている。写真を撮る。のどかだ。ペンケ沼パ

    ンケ沼の近くを過ぎ名山台展望台にて小休止。16時30分に豊富駅に

    到着。駅前の観光案内所で宿を探す。運良く温泉民宿を紹介された。豊

    富温泉まではバスで移動。宿で観光バスの運転手、ガイドさんと意気投合、

    昼間私が走っているのを覚えていてくれた。町の温泉浴場に一緒にいった。

    この温泉は原油が浮いて胸が詰まるような匂い。皮膚病アトピーによく効

    くとのこと。 

     音のない きすげの道や 亜寒帯

     

     豊富温泉”民宿むらかみ”泊(¥5500) 走行距離52km

97/8/14 豊富〜宗谷岬

    民宿のご主人に豊富駅まで車で送って頂いた。さあ、あと一息だと気持ちを

    奮い立たせる。約10km過ぎた開源と言うところで初めての雨に遭う。

    洞門のようなパーキングシェルターで雨具を着た。用意した20万分の1

    の地図も最後の1枚となった。大沼の標識が見える。稚内に近づくにつれ

    空に舞う海鳥が増えてきた。オホーツク海が見えた頃雨も上がった。40

    号線を右に折れ、238号線に入る。遙か彼方27km先に宗谷岬がある。

    海岸線に沿って進むが7mの向かい風、疲れて、稚内空港そばで菓子パン

    の昼食。道路は単調だが歩道がしっかりして安全だ。富磯、宗谷を過ぎて

    も宗谷岬は5kmも先。だんだん胸が高鳴る。間宮林蔵の渡航地で記念写真。

    そして足は速くなった。観光客の姿が、・・・とうとう来た。10年掛かった、

    やっと終わりだ。でも涙は出なかった。携帯のGPSレシーバーが北緯

    45度31分東経141度56分を示している。土産物屋の上のデジタル

    温度計は13℃、さすがに寒い。アベックの車で40号線のT字路まで送

    って貰い。そこから稚内駅迄走る。埠頭の前は盆踊り大会で明るい。銭湯

    に入り、麦酒をたらふく飲んで22時13分発夜行列車「利尻」に乗った。 

     最果てに 身を投げるかや 記念塔

 

     走行距離63km

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