2002年製作分 作品解説

さらば、激しき夏の光よ

完成日:2002年4月
初出:小説投稿掲示板
自己評価:B−


 このサイトを立ち上げて初めてのオリジナル作品にして、私の初めてのオリジナルでの一人称作品。
 ……しつこいですが、『これの先があったのか』と聞かないで下さい。原稿がないので発表不可能です。
 ちなみにこの作品は、思いついたのが夜中の2時、書き上がったのが早朝の6時、というかなり危険なスピードで完成した、現時点で最速の作品です。

 この子は、私の作品の中でも、かなり文章が短い部類に入り、結論も曖昧に思えるかもしれません。
 別に短時間で仕上がったから、詰めの甘い作品になった――という訳でなく、これは半ば以上は故意のものです。
 私自身が確証を持っているわけでない物を、無理に断言してしまうのは『嘘』のような気がしたのです。
 尤も、それなればそもそも書かなければ良い――という意見も無論成立しますが――それは私の『書く自由』と言う事で、納得して頂きたいです。
 これ以上は毒が出そうなので、ここまでという事で。
 私の書きたい事、書けない事がわりと明確にできたこの子は、自分的な評価は、わりと高いです。

 しかし――流石にテーマがディープすぎ、まともに読んで下さった方はほとんどいらっしゃいませんでした(苦笑)
 そんな作品に感想を下さった、激!!さん、h_yさん、LEYさん。本当に有り難うございます。
 特にLEYさんにはメールでたっぷりと頂いてしまって、本当に恐縮です。

 ちなみに最後の詩は、既存作品からの引用です。
 引用作品は『ライトジーンの遺産』。
 作者は『敵は海賊』『戦闘妖精 雪風』シリーズでお馴染みの、神林長平先生。
 ゾクゾクするような言葉がふと飛び込んできて、私としてはかなりお勧めの作品です。



彼女の2月14日

完成日:2002年5月
初出:JCSDF
自己評価:C+


 私の作品にしては珍しく、テーマよりシチュエーションがメインの作品。
 そんな作品は、他にはお弁当シリーズだけです。
 『贈り物』のコンテンツ内にもあるように、インスピレーションを受けたのは雅さんのサイト『Fallin Sphere』での掲示板でのやりとりでした。
 ただ、そこで話していたような『渡せなかったシチュエーション』でなく、『渡せた』方を作ってみました。

 そこまでの下地がありながら、製作期間がやたらと長かったのは――単に『話が進まなかった』という一点のみです(苦笑)
 いやー、内気な子を主人公にすると、こんなに話が進まないんですねー……
 内面描写は進みますが、実際行動に出ると、全然前に進んでくれません。
 結局、盛大に間を省略してしまいました。そのため、多少強引に見える作品になってしまいましたが……

 ちなみに、最後の『ころころ美沙斗さん(笑)』は、最初入れるつもりのなかった……というより、思いつきもしなかったのですが、気がついたらあんな挿話が。
 きっとどこかからか電波が届いたに違いない。
 そんなジョークはともかく。私の作品には、時折私自身自覚していない伏線が存在していて驚きます。最後まで書いてみて、『おお、そうだったのか』と自分で納得してりゃ世話ないですね。



Blue Eyes

完成日:2002年6月
初出:LEY'S WORLD
自己評価:C+


 またしてもプレゼントのためのSS。
 まあ、だからといって楽だとか、手が抜けるとかいう訳では全くなく、むしろ私の中でリミットが掛かってしまうので、むしろある意味大変です。
 第一、贈り物に手を抜いたりした、いい加減なものを贈るのは、私の主義と道理に反しますからね。

 さらに今回贈らせて頂いたサイトは、あのLEYさんのサイト。
 巧い日曜作家さんが集まる(無論LEYさん自身も巧いです)このサイトに贈らせて頂くのはドキドキでした。
 他の方のサイトの場合、CGやWebコミックのサイトだったので、『SSなど贈っていいのか?』と思いながらの贈呈だったのですが……
 kyonさんの『日々凹み』の場合は……色んなものがあるサイトさんだったので、『一個くらい下手くそなSSがあってもいいか』という感じで、実は精神的には楽だったのですけどね……って非道い事言ってるぞ私。

 この作品、半分くらいまではさらさらと書けたのですが、途中でたった一行が巧くいかず、なんとたかが一行に四時間もかけるという体たらくを演じてしまいました。
 文字をたいせつにしている、と言えば聞こえはよいですが……ただ単にボキャブラリーが足りないだけでしょうね、私の場合……
 時間的には約3日。夜勤明け休みをほとんど丸ごとぶっつぶして書き通しました。
 ただ……最初は全く別の作品をプレゼントしようとしていたのですが、そちらの内容が恐ろしくディープになってしまったため、こちらを先に完成させたという、駄目臭い裏事情があったり。

 真雪さんというキャラは、なんだか乱暴者&不精者って感じで書かれる事が多くて、故にあえて、こういうしんみりした真雪さんを書いてみました。
 上手くいっているかどうかは、今ひとつ不安なのですが……

 ちなみに、タイトルの『Blue Eyes』というのは、DEENの曲からとりました。
 尤も、この曲からSSをイメージしたのではなく、このSSにエンパシイを感じた曲のタイトルをつけたのですが……曲を知らない人にとっては、さっぱりなタイトルに。
 今時DEENなんて聴いてる人、ほとんどいないだろうなあ……



Don't“Just be...” Go fly high!

完成日:2002年6月
初出:でるたのほん Vol.1
自己評価:C

 初めて、同人誌というものに作品を載せて貰えることになり。
 この作品はそのために作った物……ではありませんでした(笑)
 本当は、別の作品を載せて頂く予定でしたが、今ひとつ巧くまとまらなかったので、締め切りを破る前に、急遽、製作途中だったこの子を完成させて、出張してもらう事になりました。

 私は個人的に、やや重めの話が多く、しかし後味はできるだけすっきり、という話を心がけています。
 この作品も例外ではなく、できるだけ重い、或いは暗い話で終わってしまわないように気をつけた……つもりです。
 結果として、今回のこの本は『重い話』が多かったので、軽いアクセント代わりにはなったかな?と勝手に自己評価しています。
 面白い事に、私自身で狙った訳でもないのに、この作品には綺麗に『起承転結』が備わっていました。書いた私本人が、一番驚いている訳ですが(微苦笑)

 内容としては……書き上げた後で気が付いたのですが、LEYさんの『折れた剣』に導入部分が結構似ています。別に意図してパクった訳ではないんですが……なんでかな?
 尤も、出発点が似ていても、終着点はわりと違う感じで……考えてみたらなかなか面白いですね。こういうのも作家の個性の表われ、と言うのでしょうか?

 私は実は、わりと真一郎と恭也を、似たような扱い方をしています。
 『精神的にまだ未熟』という一点において、結構彼らは似ていると思うんですよ。
 ただ、真一郎はフレキシブルなのに対して、恭也はある程度『背骨』があるため、剛性の勁さがある反面、やや柔軟性に欠ける、という感じで。
 逆に言うと、恭也はある程度話の内容が絞れる、という点に対し、真一郎は間口が広い反面、どこに話を帰結させるかが難しい、とも言える訳です。
 この話は長くなりそうなので、また別の機会にでも。

 とらハDVDで、わりと決着がついてしまった感がありますが、このSSは『恭也のその後の道』に対しての私なりの答え、みたいなものだと思います。
 兎角『暗い・とらハ主人公らしくない』と言われる恭也ですが、実際にはそんな事はない、と私は思いますし、彼はちゃんと、自分で正道を歩める人だ、と思っています。
 夜を知っている者、しかし夜に取り込まれていない者。私が恭也に抱いているイメージはそんな感じです。
 だから、機会ある事に恭也と忍をくっつけたがっている訳ですが(笑)

 ちなみに作中の『蚤』のエピソードは……『鉄拳チンミ』のかなーり古い巻から拝借しています。といっても、最早記憶の中にしか存在していないのですが。
 どんなきっかけで、そんな話を思い出したのかはさっぱり覚えていませんが、ふとこのエピソードを思い出した時、このSSが完成したのは事実ですね。



戦時の饗宴

完成日:2002年不明
初出:当サイト
自己評価:C+

 星界SSでは初めての、オリジナルキャラ抜きの作品。

 実はわりとディープな話を内包してしまったため、薄めるためにコメディ色を強くしてみましたが……いかがでしょう?
 殿下ファンからは、かなーりお叱りがありそうな気がしないでもないですが……

 今回のこの作品には、わりと私の独自的な解釈がこもっていますが。
 元々『星界の紋章/戦旗』には、かなり深い哲学が含有されている、と私は思います。
 ジントとラフィールのバカップルっぷりに、ややもすると見失ってしまいそうになりますが(笑)
 こういう、ひとつで色々な方面から楽しめる作品って、いいですよね。

 元ネタ自体は、だいぶと昔から出来ていたのですが。
 実際に書き始めると、構想が膨らむわ内容が堅くなるわで、とても一般の方が読めるような物になりそうになく、結果、こういう一見コメディものとして落ち着きました。
 ちょっとジント君への愛が歪んでいるかもしれませんが……



ウェイトレス・ラプソティ

完成日:2002年10月
初出:LEY'S WORLD 新生リリカルフィリスROOM
自己評価:C

 久しぶりの、真一郎が主人公のSS。
 そのわりに、えらく非道い目にあわされているのはご愛敬と言う事で。
 これは当サイト15000ニアミスのリクエストとして、LEYさんと大黒さんの要望を取り入れて製作したSSだったのです。
 LEYさんのリクエストは『真一郎SS、性格はとらハDVDおまけシナリオ準拠』というもので、大黒さんのリクエストは『知佳&リスティのどたばたコメディ』というものでした。

 最初は、それぞれ別のSSとして考えていたのですが、何かの拍子にビジュアルファンブックを読み返している最中に、瞳ちゃんのラフ画の『主人公女装・瞳の私服』という所が目に入り……そこから妙な連想が入って『真一郎くんウェイトレス姿でアルバイト』というアイディアが。
 さらに、大黒さんリクで『知佳&リスティ』という所から真雪さんシナリオの知佳ぼーファミレスでアルバイトというネタを脳みそから引きずり出し……これだけだと進展が危ういので、だれかいないか、と手頃なキャラを物色していると……千堂さんちの真由さんが目に止まりました。
 実は真由は、1の時点では短大生なのですが、年齢もはっきりしていない事だし、というわけで就職して頂きました。新人でフロアマネージャーというのは不自然なので、真由は前からこの店でバイトしていた、という裏設定も存在してます。無論、今回の話の流れとは無関係ですが。
 最初は登場予定は全くありませんでしたが、せっかく真由を出したんだから、瞳ちゃんも出さないと、というわけで、今回のキャスティングが決定したという次第でした。

 正直な所、書き上げた時は、いささかなりと消化不良の感がありましたねー。
 「こんなんでいいのかなぁ?」と。
 しかし、リクエストを頂いたLEYさんと大黒さんには喜んで頂けたようですし、また『とらハSSに求められている形のひとつ』として、ある意味この作品や、『彼女の二月十四日』みたいな作風の方が、むしろ標準なのかもしれません。
 まあ、私の作品の多くは、『人を選ぶよなあ』という自覚はあるのですが(苦笑)

 不満点としては、瞳ちゃんをちょっとばかり暴走させすぎたかも、という感じが、私はしているのですが、どうでしょうね?
 瞳ちゃんは、他の人は大抵暴走させたがる傾向があるので、私はむしろ逆らいたかったのですが……むう。
 尤も、他の人は知佳が暴走しすぎだ、という印象もあるかもしれませんが……私はアレくらいなら普通だと思ってます。
 知佳とリスティの関係みたいに、多分真一郎と知佳もなるんじゃないかな、と思っているので。


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