< 考察 : バイオ事業所の「排気安全性検証対策」について >
・・ 例 : 武田薬品工業鰹テ南新事業所 稼動開始 H23/2011/3 ・・

文責:宮崎碩文   Orig: H21/12/20 Rev: H23/12/08

[ 排 気 ]


<主旨>
   ・ 産業活動を行う諸事業所の「排気汚染」に関わる「安全装置's」についての一考察です。
   ・ここでは 例として「遺伝子組み換え実験」等に伴ない発生するエアゾル状の「有害性」
     極微小浮遊物質(バクテリア・ファージ)を含む排気の安全"仕組み"対策に着目しま
     した。
   ・実験工程においては 目的の成果物だけではなく 作業途上でエアゾルが発生します。
   ・成果物(遺伝子組換え生物)は その性能効果評価のみならず 毒性・副作用等「有害性」
     の有無も実験動物を使って検査されます。
   ・しかしこの浮遊粒子エアゾルは「有害性」有無の定性・定量検査は行われず 高性能集
     塵装置(HEPA/ULPAフィルター)を通過させるだけで直接屋外に排出されます。
     即ち 集塵率は極めて高いので量的には激減しますが生物に対する質的検査は一切
     行われません。

   ☆ そこで裁判の判事判断(下記)をも踏まえ 現実的・有効な安全検証対策を
        提案する次第です。

           参考情報 00000: 「技術的安全・社会的安全」:社会技術研究論文より


 ☆ [東京地裁判決] : 高裁判事判断 平成13/2001年年3月27日
--- 抜粋 -----------------------------------
「エアロゾル強制排出の周辺住民への感染させ得る可能性」,「施設の安全性管理」
2 感染研の業務の危険性
 (一)病原体等を用いた実験の危険性:  Page18
 そもそも感染研の施設周辺の住民を対象とした疫学的調査を行ったことはない・・
 感染研から強制排出される排気中のウイルスが人の粘膜や皮膚の傷に接触する
  ことにより感染し得る可能性のあることは否定できない。
 感染研は、病原体等を大量に培養する実験施設であるから、エアロゾル化した
  病原体等を強制的に排出し周辺住民の身体の表面の皮膚や粘膜の小さな
  傷に接触して感染させ得る可能性が否定できない・・・・

3 設備に関する危険性
 (二) 感染研における安全管理の欠如:  Page24
    (1) 病原体等の取扱い及び組換えDNA実験に関する安全対策実施
    ・・・以上のとおり、病原体等の保管や取扱い又は組換え遺伝子実験に関して
       安全管理体制においては、十分な安全対策効果を見込むことは現実的には
       不可能である。
  [註] by 宮崎
   下記提案「バイオアッセイ:生態検証」は極めて「現実的な有効対策」である。
 


<課題>
   1: 「法遵守」はあくまでも「必要条件」であり「十分条件」ではない事。
   2: 「安心・安全」は「論と証拠」を示す事が「有効性・実効性」及び「想定される
      社会的危機・リスク規模」から見て 最低条件である事。
   3: 「HEPA」は装置の一つでありその機能は「設計・製造・保守」の質評価に
      依存するが 事業所施設「全構造体」の「仕組み」の一部である点を考慮すると
      その「総合的な運用」結果の性能確認には 多重の機能検証が欠かせない事。
   4: HEPA通過後排気の「圧力測定」及び「監視装置管理」は一助ではあるが
      「総合的仕組み機能」の評価には不十分である事。
   5: 事業所敷地内の福祉施設(託児所etc)等の隣接地「滞在者」が「安全の証明」との
      主張があるが 高層構造物屋上からの大量排気は直下影響が少ないので「証」
      としては「十分」ではない事。
   6: 国立感染研究所等の実績評価(裁判判例)は参考にはなるが 該当施設の「量的」
      規模によっては「新たな条件下」での検証が求められる事。
   7: HEPA通過後排気の「健康上の有害性」評価は「安心・安全」を担保する一策として
      「生物検証:バイオ・アッセイ」が現実的対策である事。

<提案>
   1: 生態実証案1として 「HEPA」装置通過排気を建造物内一般業務室内ににも分流
      させて日常的に勤務者の健康確保・確認を行う事。
   2: 生態実証案2として 屋上排気を「確保・捕獲」した後 マウスなどを用いて
      代替生態実証を行う事。
   3: 直接検証案として「HEPA」装置通過位置に「実時間ファージ検知装置」を設置して
      監視・管理する事。

<特記>
   1: 生態実証案1の特徴として 勤務者の通常定期健診を通じて「健康管理・検証」
      を行う事が出来る事。 事業者の安全管理責任を経営者自らが遂行する事。
   2: 生態実証案2の特徴として 創薬工程の一環として実験マウスの流用であり
      本来の実験動物の検査・経過管理を持って安全検証を実施する事。
   3: 直接検証案の特徴として「ファージ」等の検知・検出装置の工夫を要するが
      自動的な監視・管理が可能である事。
 


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