研究課題名・研究番号=医療廃物の戦略的マネジメントに関する研究
研究期間(西暦)=2003-2006
研究年度(西暦)=2003-2005
代表研究者名=田中勝(岡山大学)

抜粋:
<研究方法>
   D医療廃棄物の生体影響評価と医療廃棄物処理へのHACCP(危害分析重要管理点導入について
     (1)医療廃棄物による生体影響を評価する手法として、活性酸素酸化的ストレスに着目し
       カタラーゼ変異株大腸菌を使ったスクリーニング法の開発を行った。カタラーゼ活性の低い
       大腸菌への増殖抑制評価の度合いを評価することにより、酸化的ストレスを評価した。
     (2)医療廃棄物処理へのHACCP を廃棄物管理に応用することを検討した。
   F新たな廃棄物(DNA 廃棄物)への対応
       DNA 廃棄物処理の現状と課題の整理を行った後、DNA 廃棄物の細胞増殖への影響試験、
       DNA 廃棄物の不活性化試験を行った。

<結果と考察>
   D
     (1) 電磁波滅菌処理を行った後の医療廃棄物の処分残渣の安全性を評価した。水・エタノール
       抽出を行った残渣の場合にはカタラーゼ活性による差がみられた。一方、アセトン、
       ヘキサン抽出の場合には差がみられなかった。 
     (2) 某自治体病院の内視鏡室において廃棄物の危害分析を行い、危害に応じて分別の方法を
       変更したところ、感染性廃棄物の減少(22%)がみられた。
   E医療(感染性)廃棄物中間処理残渣の安全性について、バイオアッセイによって毒性評価を、
       中間処理後の微生物の残存性については、バイオハザードの評価を行った。微生物
       の残存性の面では焼却処理が最も優れていたが、処理残渣の水抽出および有機溶媒による
       抽出液をバイオアッセイに供したところ、有害性についてポジティブの結果が得られた。
       非焼却処理ではこれと逆の結果が得られた。焼却処理では減容性と滅菌性では高い評価が
       得られたが、有害化学物質の存在が検出されることになった。非焼却処理では、十分な時間
       をかけた滅菌を行わないと、細菌類が残存する可能性があることが分かった。
   Fヒト、ラット、大腸菌に共通する塩基配列から合成したオリゴDNA はたんぱく質翻訳を強力に推し進め、
     細菌特有の塩基配列からのオリゴDNA はたんぱく質翻訳を阻害する結果が得られた。
     オートクレーブ処理は、DNA が熱安定性のため無効であり、次亜塩素酸による薬液処理は一時的に
     不活性化させるが、可逆的反応のためDNA 分子は元に戻ってしまう。
     触媒反応を利用した不活性化処理は不可逆的反応であった。